【】か っ ぱえびせ ん【】
「残りライフポイントが100しかないのに攻守0のモンスターを攻撃表示で召喚するなんて、勝負を諦めちゃったの!?」
【ふん……。サレンダーせずに止めを刺されるまで待った根性は認めてやる】
【だが、勝負は勝負。約束通り、アンティルールでお前の初めては俺のものだ……!!】
「お、俺氏!!」
「心配すんな、かなたそ」
【なあにぃ……?】
「俺氏の奴、こんな劣勢でどうして笑顔なんか」
「蟲惑魔って、ぶっちゃけどう思う?」
【対総受け用決戦部隊って感じだよな……。アレは確実に、ショタの逆転がない】
「やっぱ、逆転ナシに限るよな……。淫館とかそういうシチュエーションは、徹底的にエナジードレインされるのがベスト」
【ガチで食事としか思ってないから、逆に必須栄養素として大切にして貰えるんだよな】
「そうそう。総攻めってのは畢竟、飴と鞭を全部一人で完結させるタイプの手合いだからね」
【全てを与えられると、緩やかな死を迎えるしかなくなる……。まさに五条悟】
「逆転だなんだとイチャこいてるノンケには、一生理解できない境地ですわな」
【まったくだ。淫魔ものは逆転ナシ。これは絶対】
「ま、待ってよ二人とも」
「折角のデュエル中なのに、なんで性癖の話してるの!?」
【なんだよ、かなたそ】
「お前だって、逆転はない方がいいだろ……?」
【せめて、表紙に逆転アリ〼って書いといて欲しい】
「ほんとそれ。なまじっかシコリティが高いせいで、ノンケ向けとクソマゾ向けのサキュバスものはマジで見分けつかない」
【途中まで期待して読み進めてる分、ショタが逆転し始めた瞬間のガッカリ感が半端ないんだよな】
「そうやって互いの主義主張をぶつけ合ってばかりいるから、戦争はなくならないんだ!!」
「仲良く喧嘩しな、という概念はある……」
【譲れないものがあるから、ぶつかり合う……。ぶつかり合うからこそ、初めて相手の大切なものが理解る】
【性癖とは、そういうものだ】
「でも……。僕はみんなの性癖を否定したくない。どうやったら性癖の隔たりを埋められるの?」
「そう、だな」
【コンスタントに高い性欲を維持するには、チームでの連携が必要不可ケツだ】
「どういうこと?」
「即ち、癖外調査」
「敢えて癖ではないエロ同人を嗜むことによって、相対的に己の性癖をも極めようとする行為のこと(広辞苑第七版)」
【だが……。癖外調査にはリスクが伴う。調査兵団に入隊した兵士たちのうち、殆どがその癖外調査で命を落とすからな】
「そ、そんな」
「重要なのは、かなたその次元の裂け目が未だに未界域だということ……」
「このテーマはいきなりクソデカなモンスターが飛んでくるから、きっとかなたそも愉しめるぞ」
【未界域のかなたそ】
「そんなことより、もっと真面目にデュエルのことを教えてくれよ」
「Mの紋章を宿したデュエリスツとして……。僕は世界の命運を託されてるんでしょ?」
「そうだなあ……」
【まず、基本的な用語の解説だが】
『数十分後』
「つまり……」
「マリンは対象に取られないという効果のせいで、タイミングを逃し続けてしまった可能性があるということ!?」
【そういうことだ】
「飲み込みが早いな。流石は俺氏たちの弟子」
「弟子になった覚えはないんだけど……」
【他にも、シンクロ召喚やエクシーズ召喚、リンク召喚にペェデュラム召喚といった特殊召喚法がある】
「ぺ、ペェデュラム召喚?」
「そんなの、チュートリアルでは教わらなかったけど」
「まず、それぞれのホロメンにはペェデュラム・スケールという数値が設定されている」
【参考だが、かなたそのペェデュラム・スケールは0だ】
「へ、へえ」
「反対に、団長のペェデュラム・スケールは12」
「たそと団長でペェデュラム召喚を行った場合、殆どのホロメンを一気に特殊召喚できる計算になるんだ」
【すごく強そう】
「でも、なんだか不服な気分になるのはなんでだろう」
「俺氏はUMISEAデッキだから採用できないけど……。ずーはー、そっちはどうだ?」
【俺は俺の箱だけで手一杯だからな……。他を当たってくれ】
「え」
「天使族デッキ……?いや、獣戦士族か?」
「トライブリゲードともワンチャン」
【ペェデュラム・モンスターとの噛み合い悪いだろ】
「ゴリラだとか貧乳だとか……。僕を馬鹿にするのも大概にしろよ!?」
「僕はなんでも吸収するんだ。そのうち、デュエルの腕だって二人を追い越しちゃうかもね」
【ベムスターかよ】
「万物の吸収じゃん」
「そんなことより、そろそろスーパーの特売の時間だ」
「お前ら馬鹿どもに構ってると、時間がいくらあっても……」
「きゃっ!?」
【かなたそ?】
「何事だ」
「一家団欒のひととき……。楽しそうでなによりなのだ」
「ずんだもん……」
「は、放せっ」
【言った筈だぜ。お前らの計画を邪魔しない代わりに、もう俺たちの前に現れるなと】
「だから、その約束通りにしたのだ」
「なんだって……?」
「Mの紋章を宿したデュエリスツを放っておけば、いずれ全てのサムネが四分割されてるタイプのゆっくりクソ動画が爆発するのだ」
【それは、別によくね?】
「地声が意外な印象のホロメン四選〜!!」
「誰だか知らないけど、僕はアイドルだぞ?」
「文句があるなら、ダンスバトルで決めようじゃないか!!」
【よせ、かなたそ】
「相手はずんだもんだぞ……!?」
「よかろう、なのだ」
「ゲートオープン」
「解放!!」
『ずにゅううううううううううううううううううううん!!(時空が歪む音)』
「はあ、はあ……」
「なんだこのスーパー。走っても走っても、レジに辿り着かねぇ」
【仕方ない……。俺氏、カゴに入ってる食玩を全て投げ捨てるんだ】
「え!?」
【そうじゃないと、このまま女型の巨人に追いつかれるぞ!!】
「う、うるるぅ〜……」
「だから嫌だったんだ、お前と一緒に癖外調査だなんて」
「二人とも、こっちだっぴ!!」
「妖精さん!?」
【いや、待て……。様子がおかしい】
「なんて立派な触手……。あの日見た、脱衣ブロック崩しの報酬みたいだ」
「あれ……?俺氏、なんでこんなことして」
【正気に戻れ、催淫だ!!】
「エッッッ」
「もう遅いっぴ……。このまま朝まで、じっくりと」
「……ッ!?」
「何故、お前がここにいるっぴ」
「ずんだもんから聞いたドン」
「死は祝福。僕は命を粗末にしたりしないから、必ず相手の好きなように死なせてやるドン」
「さあ……。今一度、君に問おう」
「好きな死に方を選べるドン!!」
『タイーヤマルゼン、タイヤ、マルゼン』
「大音響で聴覚を封じる……」
『ホイールマルゼン、ホイル、マルゼン』
「理解っていた筈なのに、実戦でやられると厄介だっぴ」
『タイーヤマルゼン、タイヤ、マルゼン』
「矢鱈と耳に残る旋律……。精神的な動揺も狙っているのか!?」
『ホイールマルゼン、ホイル、マルゼン』
「やぱいっぴ」
「和田どんの出方が」
「読めな」
『……』
「完全なる静謐」
「これが、君への鎮魂歌だドン」
「迅過ぎるっぴ……ッッッ!!」
「連打〜!!」
『ドカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ!!』