【】ま んご す ちん【】
「やべーよ、ずーはー。聞いてくれ」
【どしたん】
「デッキの調整してたんだけどさ……」
「ステルス・クラーゲンの効果を使えば、全てのホロメンを水属性にしてUMISEAのメンバーにできることに気づいちまった」
【天才か?】
【でも、待て。肝心のかなたそはどこだ】
「日本に帰りたそうだったから、途中で降ろした。この便は普通にエジプトへ向かってる」
「羽生えてるし、多分大丈夫だろ……。知らんけど」
【油断すんなよ。いまの王都はYAGOO暗殺の激戦区、たそも巻き込まれる可能性がある】
「まさか」
「かなたそのミラーフォースが突破されて、次元の裂け目へとダイレクト・アタックされてしまう展開があるかも知れないってこと……!?」
【そういうことだ】
「でも、たそももう大人だしな……」
「変態に好かれやすいあいつのことを心配していた時期もあったが、たそ自身もまた変態であることを悟ってからは手が掛からなくなった」
【変態には変態を対消滅させるのが最適解……。最低な男に寄ってくるのは、同じく最低な女だってのと同じだ】
「天才と変態……。最高と最低もまた、どっちか一方だけは選べないと」
【ああ】
【話は戻るが、UMISEAってのは五人以上のユニットだろ?】
「そうだけど、それがどうした」
【五人以上のホロメンによるユニットを組む場合……。通常以上に、原始生命態ニビルの存在に注意する必要がある】
「そ、そうか」
「順当にUMISEAを揃えようとした場合、さかまたを召喚するタイミングでニビルが飛んでくる確率が高い……」
「UMISEAデッキを使うなら、ニビル対策の立ち回りは必須レベル」
【二回戦の前に気づけてよかったな】
「あっぶねー……。水属性テーマだから、さかなクンとか混ぜて遊び心魅せようとか思ってたわ」
【世界大会でそんな余裕ねーよ】
【デュエルはポケカとは違う……。遊びじゃないんだ】
「悪い、ずーはー。緊張感が足りなかった」
【ま、そもそものエンタメ性がなきゃプレイする気も起きないけどな】
【それで、ステルス・クラーゲンとUMISEAの相性がいいのは理解ったが……。どうやって展開するんだ?】
「新弾に収録されてる新規カード、あてぃしガニ(水属性:星四:水族:ATK1200/DFE2000)を使う」
【一部の界隈で、非常に毛深いと話題になったカードだな】
「UMISEAデッキを使う以上、イラストアドにもこだわりたいだろ?」
「効果としては、召喚時と墓地から除外で星四以下の水属性ホロメンをデッキから手札に加えることができる」
【爆アドじゃん】
「ステルス・クラーゲンの素材に使うから、墓地での効果との噛み合いは悪いんだが……」
「③の効果。リリースされた時に、好きなホロメンを一人選んでBANすることができるんだ」
【ニビルメタだと!?】
【しかも、選んで、だから対象を取らない】
「BANってのは除外以上に強力な除去手段だからな……。このリスクをちらつかせながら展開できるのはでかい」
【UMISEAデッキなら後攻の捲りも強いしな】
「俺氏は最近、ドラゴンメイドの同人漫画を漁るのにハマっててさ」
「癖に刺さるのはパルラなんだが……。ラドリーちゃんは俺氏の娘」
【いいのか?親権を巡って、エルドリッチ卿と激突するかも知れないぞ】
「その点はUMISEAデッキとの相性もいい」
「だって、UMISEAはティアラメンツと同格かそれ以上とされるテーマだからな」
【環境じゃん】
「増Gはアイドルライン的に無理かな……。うららはワンチャン、ファンメイドでホロメン化させることはできそう」
【墓穴の指名者で最推しに指名されるかなたそのファンアートは?】
「アリ寄りのアリ。属性としては魔界組とかの方がシナジーありそうだけど」
【おしがまってシチュエーション、ぶっちゃけどう思う】
「おしがまはさあ……。する方が癖な奴と、させるのが癖な奴とで需要と供給が満たせると思うんだ」
【今後、おしがまに耐えられなかったかなたそが激流葬してしまう展開があるかも知れないってことか?】
「いや、激流葬も水属性っぽいカードだし……。どうせ激流葬させるなら、あくたんの方がいいかな」
【ブレインコントロールは?】
「催眠ものってぶっちゃけ、台詞ありきじゃん」
【あれ、私なにして……?】
【みたいなリアクションが肝だからな】
「ストーリー性を持たせる為に、複数枚のイラストになる場合も多い」
「そうなると、台詞の卑猥さでゴリ押しすることになるっていうか……。一枚絵としての作画コストは落ちるだろ」
【なるほど】
【ジャンルとしてどうこう以前に、一枚絵としてのシコリティは低下する傾向にあるということだな】
「勿論、台詞有りの方が抜けるという輩も多いだろうが、俺氏は一枚絵としてのシコリティに振ってくれた方が好みだな」
「って話」
【つーか、催眠に掛けられていることを悟られている時点で催眠術師としての質は低いよな】
「そうだな。真の催眠術師なら、催眠に掛けられていることを毛ほども悟らせずコトを済ませる筈」
「いや……。敢えてリアクションを愉しむ為に、半生の状態を保っているのか?」
【いずれにせよ、絶対に催眠に掛からなさそうな人を催眠堕ちさせた方が萌えるのは、絶対だよな】
「藍染惣右介とか?」
【藍染惣右介に催眠を掛ける同人誌で抜いてる奴が、本当の強者ってことか】
「本番前に、いい勉強になった」
【お前、それって】
「加賀美社長のオベリスクが巨神兵になってしまう同人誌だ」
「俺氏は別にあの人のこと、好きでも嫌いでもないけど……。それくらいの距離感って、気楽でいいよな」
【だな】
【ちなみにこの機内……。俺たち以外にも、YAGOO狙いのデュエリスツどもが乗ってる】
「え?」
『ずにゅうううううううううううううううううううん!!(時空が歪む音)』
『同刻 羽田空港』
「だから空路はやめろって言ったんだよ……。馬鹿ども」
「で」
「五億年前に仕留め損なった下劣な魔族たち……」
「此度の聖戦は、その清算に過ぎませんよ」
「ドラゴン族とエルフ族は天使族、昆虫族と獣人族は魔族へとついた」
「興奮するじゃなイカ……。革命前夜というものは、いつの時代も革命本番よりも熱い」
「遠足の予定を立ててる時が一番楽しい、みたいな?」
「ていうか、天使族の族長って一体誰なの」
「君、知らないの……?」
「重要な機密に触れられるのは、大天使以上の階級だから……」
「与太話は済みましたか?」
『あくたーん!!(嬌声)』
『こっち見てー!!(同上)』
「これは……。熱烈なお出迎えじゃなイカ」
「魔族の族長って、本来はベリアルでしょ?なんで元帥なんてお爺さんに譲ってるのさ」
「五億年前の大空裁判でSSR級戦犯に指定された彼は、私によって特に厳重に封印されました」
「その足枷が、まだ残っているのでしょう」
『B・F・F!!B・F・F!!』
『B・F・F!!B・F・F!!』
「スーパーズッ友条約が講和条約というのは、建前に過ぎません」
「今度こそはっきりさせましょう。天下を統べるに相応しいのは我ら天使軍……。もとい、たけのこ軍であることを」