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【】ちー ずたっ かる び【】

『ドバイ 加賀美インダスツリアルドバイ支社』


「いやあ、極楽極楽」


【こっからの眺めは最高だろ、俺氏】


「ああ。ずーはーのツテで裏口入社させて貰った加賀美インダスツリアルだが、待遇は超一級だよ」


「業務内容はえっちなサイトのバナー広告を解除するだけ……。時給は一兆円だし、アフターファイブはドバイ女子と合コンしまくりのドバドバドーバードーバー海峡だぜ」


【ドバイ、だけにな】


「少し、宜しいですか?」


「高木さん」


『加賀美インダスツリアル顧問 高木』


「お二人を遠くの支社までお呼びしたのは他でもない……。じきにカタールで開催される、YAGOOクソコラ選手権世界大会に出場して頂きたいのです」


【ちょっと待てよ。俺たちは国内予選に参加してないぜ?】


「シード権、ということで」


「マジか……。クソコラ師のトップランカーには、時給一兆円なんてゴミ同然な生活が待ってるんだろ?」


「ええ」


「虎畑ゴメスが理事長を務める国際推し活連合は、クソコラによる世界平和をスローガンに掲げていますから」


「YAGOOクソコラ選手権の行方は、毎年国際社会が固唾を飲んで見守っているのです」


【虎畑ゴメス……。虎畑ロペスの兄貴だよな?】


「マゾ男帝ランキング二位と三位のずーはーと俺氏に、白羽の矢が立ったってワケか」


【ディザさんはどうした】


「彼は十二年連続でマゾ男帝ランキングの一位に君臨する怪物ですが……。如何せん、忙しい御方でして」


「今頃は、マッターホルンの頂上でアルプス系女子とマイムマイム(意味深)を踊っていることかと」


「どゆこと?」


「ディザレベンさんには、世界各地に三百人くらいの嫁がいるのです。一通りお会いするだけでも一苦労」


【巡業じゃん】


「なので、カタールでの本選でお二人に勝ち抜いて頂かなければ最悪の場合、エックス社そのものが爆発することになる」


「地球にも、K2はあるんだよなあ……」


【俺氏、デッキの調整しようぜ】


【ロペス戦で使ったままの内容じゃ、歴戦のクソコラ師たちには勝てねぇよ】


「そうだな。高木さん、YAGOOクソコラ選手権は最強のデュエリスツを決める戦いでもあるんだろ?」


「ええ」


「国際推し活連合に加盟する170を超える国と地域から、威信を賭けてデュエルに挑むのです」


「場合よっては、そのまま本国に帰れないケースもあるとか……」


「ひえっ」


【俺たちも、ポケカ気分じゃいられないってことか……】


「だな。ポケカは女子供にやらせとけばいい」


「お二人には、こちらを」


「これは」


【完成してたのか】


「加賀美社長肝入りのソリッドビジョン。それを実現するデュエルディスクです」


「ここに召喚したカードたちは、高解像度の3Dモデルで再現されてMMDみたいな動きをします」


「すげぇな……。それって、つまり」


【ああ】


【ちょっとえっちな女の子を召喚できるカードが、今大会の環境になるってことだ】


「当然、そうなるでしょう」


「デュエリスツたるもの、本気でデッキを組みつつも、どうにかしてちょっとえっちな女の子を採用したいというもの」


「それが高解像度の3Dモデルで再現されるとなれば、尚更です」


「ちょっとえっちなカードが存在するか否かで、そのカードゲームのプレイヤーたちの雰囲気が若干違うんだよな……」


【だが、ゼリー・ワームを超えるえっちさのカードは存在しないと思うぜ】


「だな」


「さいとう先生……。どうして」


「それでは、二週間後の本選会場。そこで再びお会いしましょう」


「魂震える熱きデュエルを、期待していますよ……」




































































































『同刻 横浜中華街』


「はあ、はあ……」


「おっちゃん、水を一杯くれ」


「どうしたアルか。そんな死にそうな声出して」


『老舗中華料理屋店主 ツォン』


「ちょいと、FBIの捜査官に追われててな」


「なぬっ!?」


「まさか、私の悪行が遂に本国にチクられたアルか……?」


「いや、別にあんたには関係ない話なんだが……。ナニやらかしたんだよ、あんた」


「ビンドゥンドゥンのビンドゥンドゥンがビンビンのドゥンドゥンになってしまう同人誌を探していたんだけど、当局の規制が厳しいアルな……」


「それはそう」


「旦那、なにか注文していくアルよ」


「そうだな……。このままじゃ冷やかしになっちまう」


「もうじき、俺には5000億円の臨時収入が入る」


「そうなったら、おっちゃんにもお裾分けするよ」


「マジでアルか」


「ああ。命の恩人だからな」


「そうしたら、ビンドゥンドゥンの同人誌もセットにしてくれるアルか」


「いや、それはちょっと……」


「ところで、おっちゃん。一つだけ訊かせてくれ」


「なにアルか?」


「初期ねねちから語尾を奪ったの……。お前か?」


「はて」


「なんのことだか、さっぱりアルな」


「そうか」


「天津飯を頼む」


「りょ」


「……」


「……」


「あ。このニュース知ってるアルか?」


「なになに」


「丁度ほら、テレビに……」


『熊形県神椿市に隣接するしけむら……。行方不明になっている角巻わためェさん(6)は、ここで消息を絶ったと見られています』


『地元の方がいました。ごめんくだた〜い』


『先日から、しけむらに旅行中の女性が行方不明になっている件について……』


『はあ』


『こんな場所に旅行ですか?しかも、そんな若い女性が……。物好きな人がいたものです』


『村内で、なにかそういった話は』


『いえ……。我々は、自我を出すことを禁じられていますから』


『え?』


『あ』


『申し訳ありません、こちらの機材トラブルで……。一瞬だけ、スタジオにお戻しします』


『……』


「なんだ」


「放送事故アルか?」


『……』


『失礼しました。もう大丈夫です』


『取材にご協力頂き、ありがとうございました』


『いえいえ、なんのお力にもなれずに』


『農作業中のところ、本当に申し訳ない』


『よかったら、私たちの集落センターに寄っていってください。新鮮な野菜を振る舞いますよ』


『いいんですか?』


『ええ。テレビの取材とはいえ、これもなにかの縁』


『全ては、ドドド因子の導きのままに……』




























































































































「戌神峠からしけむらへ繋がる戌神トンネルは、利用者の減少と老朽化から数年前に封鎖されたんです」


「いまではすっかり心霊スポット……。YouTuber?みたいな若者が押し寄せて、汚して帰っていくんで困ったもんですよ」


「タクシー運転手なんてやってると、不思議な出来事に遭遇することもありましてね」


「そんな人気のない場所に二人もお客さんが……。いえ、すいません。与太話が過ぎました」

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