【】こ し あ ん【】
「二人とも、どうしちゃったの……!?」
【身体に、力が入らねぇ】
「なんだ、これは」
「どうなっとんねん」
「毒を盛られたのね」
「毒だって!?」
「虎畑ロペス、やっていいことと悪いことがあるぞっ」
「ふむ、冤罪はよしてくれませんかね……」
「私が彼らに毒を盛ったという証拠がどこにあるんです?」
「くっ」
【やめろ、たそ】
「奴に、策略で上回ろうとするのは無理だ」
「でも、このままじゃ」
「あかんことは理解っとる」
「せやけど、彼氏とずーはーが同時にダウンしてもうた場合、ロペスと戦えるデュエリスツはもうおらへん」
「そ、そんな」
「でも、一つだけ方法があるわ」
「方法……?」
「早く教えてよ、チャイカさん」
「たそ。貴女自身が三人目のデュエリスツとして目覚めること」
「それが、ここで虎畑ロペスを打ち倒す為の唯一の突破口よ」
「ぼ」
「僕が、三人目のデュエリスツに……!?」
「心配はあらへん」
「お前は、俺氏とずーはーが認めた正真正銘のクソマゾや」
【だが、デュエリスツに成るには条件がある】
「ああ」
「たそ、お前の魂に眠るエチチコンロに炎を灯すんだ」
「そ、それってまさか」
「メン限秘技常中を会得する為に、インターネッツ・サバイバーが辿り着かなくてはいけない境地」
「それこそが、エチチコンロへの点火だ」
「ほう……」
「なにやら手段を講じているようですが、もう手遅れですよ」
「貴方がた二人はデュエル続行不能として敗北」
「ルールに則り、YAGOOBOTたちがBAN獄までご案内致します」
「俺氏、ずーはー!!」
「退がりなさい、たそ」
「お前まで連れていかれるで」
「でも」
「ここは、あっしたちに任せて欲しいでやんす」
「僕だって、風真隊士の一員だからね」
「お、お前らは……!?」
【ば、馬鹿野郎】
「まさか」
『ずにゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!(時空が歪む音)』
「短い間だったけど、楽しかったでやんすよ」
「みんなと戦えてよかった」
「栗松、村田さん!!」
【俺たちの、身代わりになろうってのかよ……】
「くそっ」
『おめでとう』
『おめでとう』
『おめでとう』
『おめでとう』
「YAGOOBOTたちが巣へ帰っていくわ」
「二人をBAN獄へ連行したことで、奴らも満足したみたいやな」
「おやおや、飛んだ邪魔が入りましたね」
「まあいい」
「そちらのお二方はもう立てないみたいですし、私が直々に止めを刺してあげましょう」
「伝説の巨人だいだ・ら・ぼっち!で……」
「待てよ」
「はい?」
「あ、あかんでたそ、巻き込まれる」
【いいや、あの雰囲気は】
「まさか」
「この土壇場で、覚醒したっていうの……!?」
「虎畑ロペス」
「僕を本気で怒らせたことが、お前の敗因だよ」
「こ、この娘」
「マゾの紋章を宿しているのか……!?」
【額に浮かぶ、Mの文字】
「失う痛みは悲しみを生み、やがてその悲しみは、怒りへと変わる」
「ロペス。お前への怒りが、たそをデュエリスツとして覚醒させたんだよ」
「ふ、ふん」
「それがどうした。付け焼き刃のデュエリスツなどに、この私が負けるものか」
「あいつ、本当にたそなんか……?」
「雰囲気がまるで別人よ」
【たそ、なにか変化はないか?】
「なんだか、不思議な感覚だよ」
「みんなの性癖が、脳内に流れ込んでくる……」
「性癖が……!?」
「どういうことや、俺氏」
「エチチコンロへの点火」
「それは即ち、バカシック・レコードへと精神がリンクしたことを意味するんだ」
「バカシック・レコードだと」
【ロペス、てめぇも存在くらいは聞いたことあるだろ】
「世界の記憶、そう言い換えてもいい」
「バカシック・レコードには、ソクラテスから坂本龍馬に至るまで、あらゆる人類の性癖が記録されている」
「いまのたそは、既にマゾ男帝と同じレベルのクソマゾだよ」
「僕のターン、ドロー」
「妙だな……。初めて見るカードたちなのに、何故か使い方が理解できてしまうんだ」
「これが、バカシック・レコードの力なんだね」
「エルフ族はこの状態のことを、煩妙無の境地と呼ぶらしいがな」
【こっちの場には、前のターンでトリガーとして出たあくあ・サーファー】
「そして、コストを軽減させるピッピ・タコッピと、墓地にはロフマオの魂……」
「条件は揃っているっぴ!!」
「妖精さん」
「ブチカマしたれ、たそ!!」
「もう、なにも遠慮する必要はないわ」
「言われなくても、そのつもりだよ」
「数多の贄を束ねし時、BAN獄の彼方より福音が響く……」
「あくあ・サーファー、進化」
「総受竜イカロスジェット・アクアマリン・ファーストテイク・クソマゾドラゴン・贄!!」
「効果で、相手のバトルゾーン、墓地、手札にあるカードを全て売却」
「なにィ!?」
「その合計金額が5000円を超えていた場合、僕の勝ちだ」
【決まったな】
「少なくとも、ロペスの場には伝説の巨人だいだ・ら・ぼっち!がいる」
「しかもあれ、プロモカードやんけ」
「あれだけで5000円はくだらないわよ」
「くっ……」
「小癪な真似を」
「己の性癖に目覚めたばかりの、小娘なんぞにィ!!」
「ロペス」
「お前が僕に勝てないもう一つの理由、教えてあげようか?」
「それはね」
「お前が、ただのノンケだからだ!!」
「総受竜(以下略)でダイレクト……」
「そこまでッ」
「え?」
「あ、貴方は」
【ジャッジさん】
「公式大会でも活躍するジャッジさんが、何故ここに……」
「総受竜イカロスジェット・アクアマリン・ファーストテイク・クソマゾドラゴン・贄」
「このカードは、船長がまだ二十代だった場合と、既に三十代だった場合で適用される効果が変わるんです」
「よって」
「船長がまだ二十代であるという無限の可能性があるとして、デュエルのやり直しを宣言します!!」