【】俺氏、元カレから泡盛を貰う。【】
きちゃ!!
特筆すべき出来事きちゃ!!
土浦の年金事務所以外で俺氏にダイレクト・アタックを仕掛けられる輩は限られている。
そう、噂の元カレである。
直接顔は合わせなかったが、父河経由でお土産を貰った。
琉球泡盛「島尻パーントゥ」である。
アルコール分、30度。
い、
要らねェえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!
付属のメッセージには、ご自愛ください的なアレも書いてあったが、普段から一滴も酒を呑まない俺氏からしたら、こんなものを呑めば間違いなく体調はイカれる。
ちなみに、パーントゥとはお化け、鬼神を意味する言葉であり、
き、鬼神?
沖縄県宮古島市島尻集落の「パーントゥプナハ」は、毎年九月上旬に行われる伝統行事で、
パーントゥと称した三体のアレが神々に扮し、集落を巡って泥をつけて回り、災厄を払うというもの、
らしい。
2018年11月にユネスコ無形文化遺産に登録された、
らしい。
意外と最近である。
検索してみたら、なんかこれ、テレビかなんかで見たことあるな。
所謂、奇祭というやつなのだろう。やってることは、ナマハゲ的なアレにも通ずる。
なんでも、元カレは次に青森に向かうらしい。
お前、宮古島の前は、岩手にいたんじゃなかったか……?
これだから、旅を栖にする系男子は困りますわね。
やれやれ。
箱の中には、「泡盛のおいしい飲み方」という紙切れが同封されていた。
水割り。
一般的な飲み方で、泡盛は伸びが利くので水っぽくならず、飽きのこない飲み心地、
らしい。
ストレート。
長期貯蔵の古酒をお勧めします。芳醇な香りと熟成された風味が広がる、
らしい。
オン・ザ・ロック。
大きめの氷をグラスに入れ、泡盛を注ぐ。ひんやりとした喉越しでキレのある爽やかな風味が楽しめる、
らしい。
お湯割り。
お好みの量のお湯で割る。身体もぽかぽか、酔い心地は最高、
らしい。
カクテルのベースや、果実酒などのベースにもお楽しみ頂ける、
らしい。
肝心の泡盛は、パーントゥ(前述)に仮装した人の姿を模した陶器に密封されている。
怖っ。
こんなのが泥をつけながら練り歩いていたら、子供は泣く。
まあ、魔除けというのはドン引きされるくらいやらないと意味がない。
コロナの影響で再開したのが去年っぽいから、その時に造られたものを土産として見繕ったようだ。
沖縄の銘酒泡盛は蒸留酒の一種で、十五世紀のシャム(タイ国)から伝わったと言われている、
らしい。
当時は琉球王朝大交易時代。東南アジア諸国や中国、朝鮮、日本と貿易を行い、琉球王朝は栄華を誇っていた、
らしい。
十七世紀頃になると泡盛は、琉球王朝の御用酒として厳しい管理下に置かれ、首里城近くの限られた地域で造られていた、
らしい。
造り手の責任は重く、失敗すると家財没収、島流しの刑に遭うという命懸けの仕事だったらしい。
怖っ。
それほどまでに徹底して造られた泡盛は、琉球が生んだ世界に誇るお酒です……。
と。
取り敢えず俺氏はこれを、魔除けとして部屋の片隅に飾っておくことにした。
『カタカタ、カタカタカタ、カタカタカタカタカタカタカタ……』