第八話 初めての依頼
ーーーーーーーーーーーーーーーー
依頼内容 薬草採取
数 五十
期限 依頼開始日より三日
報酬 銀貨一枚
階級 F〜
備考 なし
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーー
依頼内容 岩兎の肉の納品
数 八羽分
期限 依頼開始日より五日
報酬 銀貨三枚
階級 F〜
備考 獲った獲物は当日直接納品
数に達したら日を待たずに依頼完了
ーーーーーーーーーーーーーーーー
一枚目は薬草の採取か。薬草としか書かれていないけどなんでもいいのか?
二枚目は俺の好物の岩兎の納品。余計に狩れば、もしかしたら納品先で調理してくれるかもしれない。そう考えるなら断然こっちだ。だけど、
「ルーイさん、確認ですが薬草の種類についての記載が無いんですが」
「ん?薬草は薬草だろ?」
薬効があれば何でもいいってことか?それじゃ、
「これ両方受けてもいいですか?」
「お前の依頼だ。お前が決めろ」
「分かりました。では両方受けてみようと思います」
「それじゃその二枚の依頼書とカードをシャンティに渡せ」
俺はカードを出して依頼書と一緒にシャンティさんに渡した。シャンティさんがカウンターの下で何かしながら、
「マイル君ね。騒がしくってごめんなさい。わたしはシャンティ。本当にルーイが指導員に付いているみたいだからギルド側からの説明は色々省くわね。……はい、依頼登録完了したからカードを返すわ。気を付けていってらっしゃい」
カードを受け取った。なんだか、だんだんワクワクして来た!これが俺の、冒険者としての第一歩だ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
南の門を出てシャフス湖へと向かう。道中ルーイさんからギルドの仕組み、冒険者の階級、カードの色によってどんな依頼が受けられるかなどなど教えてもらった。
まだまだ教える事は沢山あると言われたが必要な時に教えてもらえるらしい。
「ルーイさん。なんか流れでここまで来てしまって今更ですが指導員って何をするんですか?」
「あー、ざっくり言うと中級冒険者になるまでの全サポートだな」
F〜S級のうち、F〜Dが下級、Cが中級、B、Aが上級、Sが超級と教わった。
「俺はあくまで補助的立場で立ち回る。薬草のありそうな場所までは案内するが見つけるのも採取するのもお前一人。戦闘も一緒だ。俺は手を出さない」
「ルーイさんへの報酬は幾らぐらいなのでしょう?」
「中級への昇級試験で採取依頼がある。それの報酬から払って貰う形になってんだ。じゃんじゃん依頼こなしてちゃっちゃと昇級してくれっ!」
色々話しながら一時間程歩きシャフス湖に着いた。おれはその景色に見惚れルーイさんは伸びをしている。
「おっし!とりあえずスキルの確認だ!お前最後のやつ湖に向かって打て」
最後のって【瞬千突】の事か?
「すいません。ギルド長から禁止されてるんです」
「なんでだ?」
「たぶん超上級で危険だからと」
「なら尚更だ。どれだけ危険なのか目で見て知った方がいい。まーそれだけでも無いけどな。それにここなら被害が少ないだろ」
試験ではほぼ不発で終わってしまったが俺はこのスキルの威力を知っている。爺ちゃんが使っている所を見た事があるからだ。ただ見るのと感じるのでは違うだろう。
「分かりました。やってみます」
「あっちに向けてな」
ルーイさんは湖を指差した。湖の方へと、向き直し構える。体から赤い光が迸る。
ーーー【瞬千突!】ーーー
し〜〜〜ん
……あれ?
もう一度構え直す。体から赤い光が迸る。
ーーー【瞬千突!】ーーー
し〜〜〜ん
……あれれ?
「発動しないか?次は……あそこの木でいいか」
俺たちのいる場所から少し離れた所に一本の木がある。試験の時はまぐれだったのか?木の近くまで行き、不安に思いながらも構える。赤い光が迸る。三度目だ。
「あっ、おまっ、ちょっ!」
ーーー【瞬千突!】ーーー
直後、耳を劈く爆発音!目の前にあった木所かその後方までも余波でえぐられる様に無くなっていた。
「そのスキルは条件発動型だな」
まだ呆然としている俺に向けてルーイさんは続けて、
「ぱっと見て分かった条件は二つだ。一つ目が構えだ。さっき構えたと同時にスキル光が出た。そんで二つ目はまだ断定できねぇが、発動箇所は拳の接地面のみ。時間はある。構えないで発動準備出来るか、そのまま構えを解いても発動準備は解除されないのか?そのスキルで出来ることよりも出来ないことを知れ。威力は確かに凄まじいものがあるが本当に必要な時に発動出来なければ意味はねぇ」
そう言ったルーイさんはどこか辛そうだった。