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第一話 マイル冒険者になる

よろしくお願いします。

 

「おめでとうございます。無事に【ジョブ】を授かる事ができましたよ。それから、ジョブを得ると同時に、ステータスのスキルも得られますので詳しくはそちらでご確認下さい」


 この世界では十五歳になると教会で職業降ろしを受けられる。故郷を出て遠路はるばる【ジョブ】を得る為に教会のあるここ、グレーベルへとやって来た。


 職業降ろしとは【ジョブ】を得る為の儀式。【ジョブ】とは女神より与えられる奇跡。資質や十五歳迄に得た経験を元に個人に合った職業が与えられるのだ。



 どうやらステータスは心で念じればいいらしい。



 ーーーーーーーーーーーーー

 名前  マイル グロウリー

 年齢  十五歳

 種族  人族

 ジョブ 鑑定士

 スキル 鑑定 ステータス

 ーーーーーーーーーーーーー


 これが俺のステータスか。ジョブに鑑定士とある。というか鑑定士ってなんだろう?冒険者になる為に戦士か魔法使いがよかったんだけどな。


 俺は冒険者に憧れていた。山のようにでかい魔物を一刀両断。魔物の群れを一網打尽。まだ誰も辿り着いたことの無いような未知なる秘境への大冒険。そのような冒険譚を聞いて育った俺は冒険者に強く憧れた。


 そんな俺は幼い頃から色々爺ちゃんに冒険者に役立つであろう技術を色々教わってきた。剣術、武術、魔法や採取。その他幅広くだ。だったのだが……


 少し不安になり俺は目の前の神官に尋ねてみた。


「どんなジョブでも冒険者になれますか?」


「冒険者ですか?」


 不思議そうな顔で俺を見ながら続けて、


「詳しくは分かりませんが特に制限は無かったと思いますよ」


 とりあえず冒険者になるには問題なさそうだ。職業降ろしを終えたら正式に成人と認められる為、各ギルドに登録する義務がある。もちろん俺は冒険者ギルド一択だ。


「冒険者ギルドで直接うかがってみてはいかがですか?」


 ここで悩んでも仕方が無いしそれもそうだと、神官に冒険者ギルドの場所を聞き教会を後にした。




 教会を出て真っ直ぐ南へ向かう。教会が街のほぼ真ん中にあるのに対して冒険者ギルドは南門の近くにあるらしい。



 しばらく歩くと左手に三棟連なった大きな倉庫がありその左隣に剣と竜をモチーフにした看板のかかった二階建ての石積みの建物があった。ここが冒険者ギルドだ。



 入り口はスイング扉になっており出入りしやすくなっていた。


 中に入ると左奥にカウンターの様なものがあり、そこに冒険者達の列が出来ていた。一番並びの少ない列に加わり待つと、すぐに俺の番が来た。


「ようこそ冒険者ギルドへ!」


 受付嬢は癖のある赤毛を三つ編みにしており、サイズが合っていないと思われる大きめの眼鏡を掛けている。少しズレてる眼鏡とそばかすが可愛らしい同い年位の女性だ。


「ギルドへはどう言った御用件で?依頼ですか?」


「職業降ろしを終えたので冒険者の登録をお願いしたいんですが……」


「成人なさっていたんですね!あっ、すいません、少し幼く見えたもので。てっきりご依頼かと早とちりしてしまいました!それに未成年であっても仮は付きますが冒険者登録は可能です!ただし依頼についてはギルド側が選んだものしか受けられないのであって!」


 受付嬢が突然、しどろもどろになりながら説明してくれた。取り敢えず登録するのにジョブは関係ないって事で…いいんだよね?


「登録出来るのであれば問題ないですよ」


 俺がそう言うと受付嬢が受付の下からポケットに収まるくらいの二枚の板を出してきた。


「こちらがギルドカードになります。ギルドに登録する際に登録料が銀貨三枚掛かりますが問題ありませんか?」


「はい、大丈夫です」


 故郷を出る時に爺ちゃんから餞別として金貨二十枚渡された。四人家族で一ヶ月余裕で暮らせる額である。本当はまだまだ持たせるつもりらしかったが俺が断った。金貨は地味に重かったので出来るだけ荷物を減らしたかったと言うのは口実で、装備も揃えてもらった上にこれ以上甘えられないと思ったからだ。


 俺は爺ちゃんに感謝しながら金貨を一枚カウンターへと置いた。


「はい、金貨一枚ですね。こちらがお釣りになります」


 銀貨七枚あることをきちんと確認し受け取り皮の小袋へとしまった。


「それではギルドへの登録、ギルドカード、冒険者についての説明を致しますのでこちらへお願いします」


 裏手にいる職員に声を掛けている。どうやら受付を交代してもらうようだ。俺はそのまま受付嬢に連れられてカウンター脇へと移動した。ここで説明されるらしい。


「まずはこちらのカードに登録をして頂きます。職業降ろしは終えられたとの事なのでこの紙に書いてある通り進めていただけますか?」


 説明書のようだ。それを読みながら書いてある通りにカードを両手で挟みステータスを開いた。すると挟んだカードが薄らと光ったように感じた。続いて二枚目も同じ流れで終わせた。説明書はここで終わりだ。


「それでは今度は二枚とも挟んで下さい」


 その後も同じ流れで終わらせるとカードの色が段々と変化していった。受付嬢が一枚を手に取り、


「マイル グロウリーさんですね。失礼ですが貴族様ですか?」


「いえ、樵の子ですので平民ですね」


 正確には樵の孫だが。


「そうですか。実は先ほどまでちょっとした試験があったのですが、お分かりですか?」


「試験?」


「はい。登録料お預かり時、金貨でのお支払いでしたよね?その後お釣りを受け取った後きちんと確かめていましたよね?」


「それは普通では?」


「そう、普通です。ただし計算ができればの話ですが。それからもう一つ!」


「まだあったのですか?」


「はい!ギルドカードに登録する時、紙をお渡ししたのですが実はこれ、きちんと字を読めるか確認の為でもあったのです!」


 受付嬢は、ばばん!と擬音が聞こえそうな勢いで、申し訳程度の膨らみのある胸を張って答えた。


「そ、そうですか。でも、それが試験?」


「はい!それが試験です。ただこちらとしてはとても重要なんですよ!この後の説明で合わせてご説明しますがよろしいですか?」


「はい、お願いします」


「それではまずギルドカードについてのご説明になります。先ほど二枚のカードを登録していただきましたが、このうち一枚をギルドで保管致します。もう片方はそのままお持ち下さい。身分証代わりになりますので依頼中や街から外に出る場合は身に付けておいて下さいね。仮に紛失された場合初回とは違い金貨十枚での再発行となります。ここまてで何かわからない事はありますか?」


 金貨十枚とは驚いたが何か特別な技術で出来ているんだろう。


「大丈夫です」


「はい。ここからはギルドについての説明も入ってくるので、わからない場合はその場でおっしゃていただければ都度ご説明します。先ほどギルドカードを登録して頂きましたが最初と色が変化しているのに気がつかれましたか?」


 俺はうなずいた。最初は錆色に近いくすんだ色をしていたが、今も変化しているからだ。


「冒険者ギルドには日々多種多様な様々な依頼が舞い込んできますがその内訳を大きく分けて「戦闘系」と「採取系」に分けています。「戦闘系」は主に魔物、大型動物、盗賊などの討伐、駆除を、「採取系」は薬の原料、鉱石、魔物からの素材採取などです。カードの色が赤に近ければ「戦闘系」の依頼を、緑に近ければ「採取系」の依頼を受けることが出来ます。そろそろ色が落ち着いてきましたね……って、あっ、青っ!?」


 なにやら普通ではないらしい……



















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