表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

卒業

作者: 中村尚裕

 校門に『卒業式』の立て看板。

 横に佇んで制服姿の彼女が一人。

「言わなきゃ……もう、今日しか……」

 一人、また一人と卒業証書を手にして背中。その影を見るたび怯え、安堵し――その繰り返し。

 中に混じって男女の影。繋いだ手と手に悪い脈を覚えた――その時。

「よう」背後から馴染みの声。「顔も見せないから心配したよ」

「先輩!」弾かれたように彼女は振り向き――そして見る。

 詰め襟の下、第二ボタンは――そこにない。

「……ッ!」

 息を詰めて彼女が俯く。肩が震える。

「あのッ……ごめ……!」

 踵を返しかけた彼女の手首に――温もり。

「勘違いするなよ」背後、掴んだ彼女の手を優しくほどいて――硬い感触。「君に取っておいたんだ――第二ボタンは」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 卒業というテーマからの王道展開ですね。 展開をわかってしまうけれど、 つい読んでしまうという安定感。 そこへ中村さんのテイストが乗って、 味のある一作へと昇華されていますね。
[一言] こんいちは。 「顔も見せないから心配したよ」 からの勘違いの展開が味が出てて羨ましいです。 卒業シーズンにこの話題、ドキッとしまして面白かったです。
[良い点] 卒業シーズンですね!タイムリーなお話しでほっこりしました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ