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こうやって、大切なモノを一つずつ失いながら、僕等はくだらない大人になって行くのだろう。
だって、そうだろ。
夢を見ることを忘れた大人なんて、くだらない。でも、大切な夢を捨て続けていくと、夢を見ることができなくなってしまうのだ。夢を見る前に、どうせ叶わないと諦めてしまう。
そんな大人になんかなりたくないけれど、夢を叶えた大人なんてほんの一握りしかいないことを知っている。
だから、きっと、僕らは涙を流すのだろう。大切なモノのために。
大人になりたくないといって泣いたのは、この日。
殴り合いの喧嘩をして泣いたのは、その日。
仲直りをして肩を組んで泣いたのは、あの日。
それぞれの叶わぬ夢に向かって別れて泣いたのは、どの日だっただろうか。
――――僕らは、トム・ソーヤになりたかった。
END