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勝負に勝って泣いたのは、この日。
彼女に振られて泣いたのは、その日。
試験に合格して泣いたのは、あの日。
それから、夢を捨てて泣いたのは……どの日だっただろうか。
涙の数だけ強くなれるという歌があるように、僕等は泣いた数だけ強くなれただろうか。もし、強くなれたというのなら、流した涙も無駄ではないのだろう。
これは、僕等の物語。何でもできると信じ、疑うことを知らなかった無垢な子供だった頃。馬鹿な夢を、本気で追いかけた日々。
だけど、僕等は――――
――――トム・ソーヤにはなれなかった。