転生したら聖天使になりました。
………あれ…
僕…何してたんだっけ…?
あ。そうだ……
確か転生するとかでーーーー
「おはよう、わたるくん」
目を開けると創造神がこちらを覗き込んでいた。
全てを覗かれているような、そんな眼で。
「あ、おはようございます。」
気を失っていたみたいだ。気がつけば体がある。
しかし前の体ではない新しい、10歳ほどの幼い体だ。いままで虹色の鳥の羽根の中、まるでベッドのようなゆかに寝転んでいたようだ。
「無事に転生したよ、良かったね!君も今日から聖天使だ!」
「あ、はい。」
「えぇー君ほんとにリアクション薄いね。」
創造神が僕に手を伸ばしながら僕の反応にガッカリする
「いや、色々と展開が早すぎて追いついてないだけです…」
伸ばされた手をとり起き上がる
小さい体では生前と感覚が違い距離感がとれずふらついてしまいそうだ。
あれ?そういえばこの体に転生してくれたあの子は……
「あの、そういえばさっきの2人は…?」
「あぁ、アメテとアフロディーテだね、今から行く先で待っているよ。あ、そうだ、聖天使として生まれ変わったわけだけど、君の役目は分かってるよね?一応分かってくれてないともう一度説明するけど…」
「いや、大丈夫です。えっとー確か邪神になる赤ちゃんを育てればいいんですね?」
「そうそう、よく分かってるね。君は今から『異世界』に行ってもらうよ」
ワタルと創造神は見渡す限りの虹の鳥の羽根の世界を歩き、話す
「おぉ、やっぱり『異世界』に行くんだ!」
「そうだよ、喜んでもらえて嬉しいよ。」
少し安心したような声で創造神が言う。
「やっぱり転生といえば『異世界』ですからねー」
ライトノベルの本は異世界のものしか読まない僕にとっては嬉しかった
「あ、それとね、君にはもう一度赤子として『異世界』で生まれてもらうよ。」
「え?せっかくこの体に転生したのに?」
「うーん、えっとね、実はその体は不完全体なんだ。『異世界』に君の魂が行くと本当の転生が始まる。でも転生には条件があってね、必ず赤ちゃんからじゃないとだめなんだ」
「えぇ、赤ちゃんが赤ちゃんを育てるって無理じゃないですか?」
自分自身が赤ちゃんになってしまうのだったら赤ちゃんの邪神を育てるのは不可能だろう。
「いや、邪神は君が10歳になった時に弟、もしくは妹として君の兄弟として『異世界』に生を受けてるよ。」
「そうなんですか、わかりました…ってなんで弟か妹なんですか?」
「まぁ、簡単に言うと邪神とは神、すなわち性別を超越した存在だからそこは大して意味は無いんだよ、神としての称号が授かるまで性別がないと『異世界』で色々と不便だからね。生まれるまでのお楽しみさ」
「へぇー、出来たら弟がいいなぁ。」
「まぁ、そこは運命神が決めるからなんとも言えないけどね。さぁついたよ」
創造神はそう言い足を止めた。
「あれ?まだ羽根のなかですけど…」
「いやいや、ここだよ」
その瞬間地面から大きな、いや大きすぎて上が見えないくらいの神秘的な神々しく光る扉が出てきた。
「うわぁ」
その神々しさと圧倒的な存在に思わず口が半開きになる。
「さ、行こうか、この先にアメテとアフロディーテが待っている。君にはもう少し話さないといけないことがあるからね。」
そう言い創造神は目の前にある巨大な扉を軽々しく開け扉の先へ歩いていった
「あ!ちょっと待ってください!」
置いていかれたワタルは足早に創造神のあとを追いかける。
扉に入ると眩い光が差し込んできたーーー
ほんの数秒後すぐに光は消え目の前には古代ギリシャのパルテノン神殿のような場所に先に扉に入った創造神とアフロディーテとアメテがまっていた。
「やっほーワタルくん、どこか体でおかしい所ない?」
青髪の少女、アメテが少し心配そうに話しかけてくる。
「いや、全然大丈夫です!むしろ調子がいいくらいで!」
ワタルは腕を振り回しながら言う
「そう!なら良かったー!」
少女は笑顔になり少し照れながら創造神の元に走っていった
「さぁ、わたるくん、後は君に聖天使としてのあたらしい名前を上げるだけだ。」
創造神は少し真面目な顔をしわたるの顔に手を向ける。
「コホン」
「アラタ・ワタル、なんじに聖天使、クリファス・ノエルの名を授けよう。そして、クリファス・ノエルに勇と愛、そして光の四大聖天使、ミカエルの称号を授けよう。」
「は、ははーありがたき幸せー」
急に言われたワタルは混乱しなんて言ったらいいか分からなかった。
そして考え抜いた最善の言葉がこれだった。
「あはは!おどろかせちゃったね、ごめんね、簡単に儀式をしたんだ。これからは君はアラタ・ワタルではなくて、クリファス・ノエル・ミカエルと名乗るといい、まぁ、無理強いはしないけどね、」
「い、いえ!急に言われたから驚きました!その名ありがたく名乗らせていただきますです。」
ワタル、いや、ノエルはおかしな言葉を使いながらクリファス・ノエル・ミカエルの名を授かった。
「さぁ、後は君の好きなタイミングで異世界に転生するけどーーーーー何か他に質問はあるかい?」
「あ、アレって出来ますか?」
「なんだい?」
「魔法って使えるんですか?」
一番気になっていた。ことをようやく聞けた。
最初に転生することを聞いた時から気になってたことを
「使えるよ?」
きたーーーーー!!!!!!!!!
「なんなら君には僕の『創造神の加護』と僕とお揃いの神光魔法をあげるよ、超強いよ!」
「えぇ?マジですか?ありがとうございます!」
創造神ノエルの頭に手を置き不思議な力を送る…
するとノエルの全身が白色に輝きだす…
「でもノエル、君の役目は世界を変えることじゃない。邪神を育てることだ。それを忘れたらいけないよ。」
創造神は真剣な顔になり注意をしてくる。
自然とノエルの輝きが消えていった…
「はい!わかりました!必ずや立派な邪神に育て上げます!!」
「うん!よろしい!じゃあそろそろ転生するかい?」
「はい!」
「わかった、じゃあ僕とはしばらくお別れになるけど、頑張ってね!いつでも君を応援しているよ!アメテ、ノエルを転生してあげて」
「了解ですー!!」
創造神がアメテに指示をする。
アメテはノエルの前に行き顔の前に手をかざす
「じゃあ頑張ってね!ワタル…ちがう、ノエルくん!どうかご武運を!!」
アメテが手に力を込める
あ、1つ創造神に聞き忘れていた。
「創造神さん!最後に1つ!」
光に包まれながらノエルは叫ぶ
「なんだいー?」
「僕の新しい親はどんな人ですかぁぁぁ」
「そっちの世界神中の光の女神の配下の天使さー!『異世界』の中で光の加護を授かるからねー!!」
「わかりましたーー!!!ありがとうございますーーーーー!!!!!!!」
ノエルが言い終わると同時に転生魔術が発動した。そして、異世界にノエルが転生するのであった。