創造神の気まぐれ
「むかしむかし、この世界は創造神という森羅万象何でも創れる神様がいました。
神様はこの世界を創り出し、多くの亜人やヒューマン、色々な生物を創り出しました。」
「しんらばんしょうってなーにー?」
「森羅万象って言うのは全部よー」
「ぜんぶー?どうゆうことー?」
「うーーん、パパやママ、お外の鳥さんやお空も何でもよー」
「じゃあ僕もー?」
「そうね」
母親は子供に優しく微笑み返し、読み聞かしている絵本の続きを読むーーーーー
「創造神さまーー、どうするんですかーーー」
綺麗な桃色の腰辺りまである髪の女性が訴える
「うーーーん、どうしようかなーーーー」
創造神と呼ばれてる少年は頭を抱える。
「まさか邪神くんが消えるなんてねーー」
「ですねーー」
『コタツ』に入り2人は呑気に会話をする。
創造神は悩んでいた、世界の〝悪〟や〝闇〟を司る神『邪神』が消えてしまい早数十年。
世界のバランスが崩れてしまうため邪神の存在は必須なのだが、神を創り出すのはとても時間が掛かる。
いや、創り出すのは簡単だが、そう、育てるのが大変なのだ。
神々は全て赤ちゃんの頃から育てなければならない、神という者は自分の感情の分身でありその小さな感情を赤ちゃんの頃から育て上げ大きな感情にし神になるのだ。
分身といっても別物になるから、人格も全く違う。
今横にいる愛の女神、アフロディーテも元々は自分の感情から創り出したものだが、容姿はもちろん人格、性別まで違うのだ。
そして、神を育てるのはとても光栄なことで自分が創り出した聖天使達は新しい神の子育てに自分から名乗り出て育てようとする。
が
今回は別だ。
今回の神は邪神、その力は凶悪で手に負えない。その上聖天使達に嫌われているのだ。
聖天使達に頼んでみると
「恐れ多いですが創造神様、邪神様を育てるのは我々の手に終えません。」
と、言い訳をされた。
自分で育てようかと思ったが正直前の邪神を育てる時でもう十分だ。
僕のフィギアを壊すし、ゲームのデータは消すし、お菓子は勝手に食べ晩御飯を残すという悪質極まりない極道だ。
神を創るのはもうひとつ方法がある。
聖天使を神に昇格させるのだ
が
邪神になりたいものはいない
「なーーアフロディーテーー」
「なんですかー?創造神様ー」
「邪神育てない?」
「えぇ!いやですよっ!私、子育てなんてしたことないんですからっ!」
反論しながら『コタツ』の上にある『ミカン』を手に取り皮を剥いていく
「愛の女神なんだろーやってよーーー」
「いーやーでーすー!それなら聖天使達に任せたらっ!もぐもぐ…いいじゃないですか!」
『ミカン』を食べながら反論してくる
「それがさー全員断られちゃってねー」
『コタツ』から出て聖天使から運んでもらった『チョコアイス』を手に取りを食べる。
「えぇーーじゃあ、もう邪神くんはこの世に出さなくていいんじゃないですか?もぐもぐ…この『ミカン』という果実とても美味しいですよ!」
アフロディーテは愛の女神なのに残酷な事を言うなーーーそう思いつつアフロディーテに差し出されている『ミカン』の一部を貰い食べてみる。
「うんっ!?すごい!とっても甘いね!この果実!口の中で甘い汁が弾けるよ!」
「でしょでしょー?」
この『ミカン』という果実は6個目に創り出した世界の『地球』というところのものだ。
この『チョコアイス』も『コタツ』も全て『地球』のヒューマン達が作ったものだ。
「『地球』のヒューマン達は知能がどの世界よりも発達しているようだねー」
「そうですねーーあ、そうだ!創造神様!いいこと考えました!」
2個目の『ミカン』の皮を剥きながらアフロディーテが提案してくる。
「ん?どんなことだい?」
『チョコアイス』を口周りにベッタリと付けた創造神が聞き返す。
「『地球』のヒューマンに育ててもらいましょうよ!」
『チョコアイス』を食べ終え、口周りを拭く。
「それいいね!!!」
僕は大いに賛成した。
「おまたせーーあ、やっほーアフロっちー」
アフロディーテに空中浮遊しながら軽く挨拶をする肩ぐらいまでの青色の髪に黄色の目の少女がこっちに近ずいてくる。
「お待たせしました!『地球』担当、転生神のアメテです!」
元気よく挨拶する少女は『地球』の転生神。
「やぁ、よく来たねアメテ。」
「うひゃぁーー!創造神様に名前呼ばれちゃったーー!!」
うん、元気がよくてよろしい
「あ、うん、早速だけどいいかな?」
「はひぃ!なんなりとぉ!創造神様の為ならなんでもしまひゅ!!」
うん、元気がありすぎてちょっと…
「アメテ、1回落ち着こうか、、、」
「改めまして!『地球』担当の転生神アメテです!創造神様、お初目にかかり光栄でございます!!」
一緒に『コタツ』に入り、少しお茶をして落ち着いてもらった。
「はじめまして僕は創造神、君を創り出したから君を見るのは赤ちゃん以来かな?」
「は、はい!そうです!わ、私が未熟児だったので記憶になく、えっと、あの、申しわけ、、」
「あはは、かしこまらなくていいよ、別に僕はそんな偉大って柄じゃないからね」
「そうですよ、アメテ、創造神様は最近、ぐーたらしてばかりで威厳が損なわれていますからね」
アフロディーテが口を挟む
「アフロディーテ、いらないことを言わない!」
「だって本当の事じゃないですかー」
「まぁ、そうだけど…あ!君の『地球』のものはすごいね!どれもこれも素敵なものばかりだよ」
最近、確かにぐーたらしてたからと言ってアメテに言わなくてもいいじゃないか、と思い話題を変える
「あ!はい!ありがとうございます!」
「そうそう、アメテ、またあのエステって所に連れていってねー」
「もちろん!次はアルテミスちゃうも呼ぼうよ!」
「いいわねーー!あとあそこも行きたい!にゅーよーく?って所!色々な情報が集まっ、、」
「アフロディーテ」
「はい…」
女子トークは長くなりそうなのですぐに止めるべきだ。というかアフロディーテとアメテは普段いつもあってるらしいからここで話さなくてもいいのに
「こほんっ…えっと、アメテ早速だけど本題に入っていいかな?」
「はい!なんなりと!」
そんなに畏まらなくてもいいのに…まぁいいや
「君は邪神くんを知っているよね?」
「も、もちろん!全ての〝悪〟にして最高神の1人で最近消えたってゆう…」
「そうそう、話がはや、、、」
「子育てだけは勘弁をーー!!!」
アメテが食い気味に喋る
「違うよ!」
「え?」
「えっとね?邪神を育てるのは『地球』のヒューマンに任せようと思うんだ。でも、邪神の赤ちゃんをそのまま授けても完全なる邪神に育つのは多分無理だろう。だから、、、」
「えぇ!!『地球』のヒューマンに任せてくれるのですか!?」
アメテは食い気味だなぁ…
「う、うん、それでね、『地球』のヒューマンを聖天使に転生させようと思うんだ。」
「えぇ!!!聖天使に!?いいんですか!?」
「うん、1度人生をやり直して貰おうって思ってね、新しい体は聖天使の方が色々と便利だろ?」
「で、でも…それなら天使族とかにした方が…」
「いやー天使族ってプライドが高いじゃん?しかも、ろくに神に仕えてないくせに『神の意思に従ってー!』とか言って好き勝手する奴らもいるし転生させるのもなーって思って…」
天使族と聖天使は違う。簡単に言うと聖天使は神に仕える。神の血をひいているもの。
天使族は聖天使と亜人やエレフ、ヒューマンのハーフのことを指す。
まぁ、世界の生物達は神の姿を見たことないから天使族を神を崇めたりするんだけどね。
「そう…ですね!わかりました!それでは私は『地球』から聖天使なり、邪神を育てられる人格の持ち主を探し転生させればいいんですねっ!」
「いや、ちょっとちがう」
「え?」
「転生させるのは僕が決めよう!」
「「えぇーーーー!!!!!」」
アメテとアフロディーテが同時に驚く
「そんなに驚くことある?」
「い、いえ、創造神様、自らお動きになるのはとても、、あの、、、珍しいから、、、、」
アメテ、初対面でよく言えるね。
まぁ、確かにどこかに行くのは珍しいかな?聖天使になんでも持ってこさせたからなーー
「創造神様、本当に自ら出向くのですか?」
「うん、大切な邪神くんだからね、僕の目で決めるよ。」
「かしこまりました。では私は転移門を準備してきますね。」
アフロディーテはそう言い残すと聖天使を呼び去っていった。
「そんなに珍しい?」
「は、はい…結構……」
「うーーん、そっかーー」
影で馬鹿にされてないかな…
心配になる創造神様でした。