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満月のハナシ  作者: Ni:
白い月 さまよえる白亜の都市

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ユーンへ

 ユーン、そちらはどうですか?

 寒くはないですか?

 恋人にはもう会えましたか?

 こちらは、いたって平穏です。



 ユーンが冒険に出る前のこと、よく思い出します。

 私たちの『ローグとイセリアの雑貨店』で「大きな冒険になるから」って、いっぱい買ってくれたよね。

 みんなにプレゼントしたいからって、一緒に精霊のお守りも編んだよね。

 あのお守りのおかげで生きて帰れたって、ハーフエルフの女の人に感謝をされたよ。


 あとね。


 あの人、すごく泣いていたよ。


 ずっと我慢していたんだろうね。

 ユーンがどんな冒険をしたのか、説明しているうちに止まらなくなったみたい。

 それとも、私が目の前で泣いちゃったせいかな。


 きっと今頃は、月魔法使いの男の子と、ユーンの故郷に向かっているはずだよ。

 最初は自分ひとりで報告しに行くって言ってたんだけど、あの男の子がついて行くって聞かなかったみたい。

 あの人、あまりよくない精霊が集まっていたけど、あの男の子と一緒なら大丈夫だと思う。

 だって二人が並んでいる時は、すごくいい笑顔を見せていたからね。



 それから、あの女剣士さん。

 相変わらず、酒場での仕事に追われてるみたい。

 毎日剣術の修行をしながら、次の冒険のことを考えてるんだって。

 本当に強いよね。

 きっと、もっと強くなろうとしてるんだよね。

 もう誰も死なせないって。

 後ろを見るよりも、前を見るんだって。

 剣士さんって、誰よりも危険な先頭で戦うんだもんね。

 冒険者って、本当にすごいなって思う。

 ユーンは、そんな冒険者だったんだもんね。

 本当にすごいと思うよ。



 そうそう、あの寡黙なハーフエルフの男の人。

 あの人は『剣の石碑』っていう冒険者さんたちのお墓に、ユーンの冒険者タグを納めてくれたよ。

 その後、毎日のように通ってるみたい。

 遠くに行ったはずなのに、すぐそこにいるみたいだろ、だって。

 そう言われてみたらね、確かにそこに行けば、ユーンとお話しできる気がするの。

 それは、とても不思議な感覚なんだけど。

 そういう場所を、あの人は作ってくれたんだね。

 ユーンのためだけじゃなく、みんなのために。



 神官の女の人もね、毎日そこにいるの。

 朝夕と、祈りを捧げてくれてるんだって。

 あの人ね、いつも目が腫れてるの。

 でも泣いてるところを誰も見てなくて……少し心配だよね。

 芯の強い人だから、弱さを見せたくないのかな。

 それとも、誰か支えになる人がいて、その人に見せているのかな。



 みんなね、今はそんな感じです。

 一人ひとり前に向かう方法を見つけて、少しずつ前に向かっています。

 まだ少し時間はかかると思うけど、きっとまた冒険に出ると思うよ。


 だってあの人たちは、“冒険者ユーン”の、仲間なんだもの。


 だから、見守ってあげて。

 そしてまた、一緒に冒険をしてあげてね。

 きっとみんなが、ユーンを連れて行ってくれるはずだよ。

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