異世界転移系の主人公にイラついたのでフルボッコした。
多分n番煎じ。私の脳内が勝手に書いた。だが私は後悔していない。
今年で三十歳になるアーロン・カイルは、この国の姫の専属護衛騎士である。
常に主君の傍らに存在し、主君に仇名す者共から守る最強の騎士だ。
だがそんなアーロンでも目の前にいる主君の悩みに、心を痛めていた。
「姫様……」
目の前にいるのはこの国の姫、アリス・フォン・アンディファー王女。
アンディファー王国の国王サラマンドラ・フォン・アンディファーの長女でもある彼女は、齢十七でありながらも、美しい美貌と心優しい性格を持ち、国民全員から愛されている王女様である。
そんな彼女だが、今アーロンの前で涙を流していたのだ。
「アーロン……私は……」
事の始まりは、約三か月前。
魔王の襲来。邪神の復活。テロ組織の暗躍。
大災害、天変地異、地殻変動。
おおよそ考えられる最悪な出来事が起こった当時。
亡国の姫君でもあり、全てに絶望した魔法使いがたった一つの希望を頼りに、世界を救うため異世界から勇者を召喚するという行為に出た。
その際、神々の思惑やら前世の影響やら異世界に来るときにトラックなるものに事故った等々の理由があったという事を、召喚された本人の説明で分かった。
閑話休題。
召喚されたはいいが、なんやかんやの暴走により彼は当初予定されていた地点よりもかなり遠い場所で転移されたという。その際召喚された余波で最悪な諸々の出来事は吹っ飛ばされた模様。
目覚めるとそこはSSSランク級の化け物共が蔓延る深い森で、あわや彼はその暴力により死にそうになるも、彼の肉体は限界まで最適に構築され、ありとあらゆる要素が彼にチートと呼ばれる圧倒的な力を持たしたため、余裕で切り抜けられたと彼は語った。
脱出する際、深い森にある貴重でかつ豊富な素材を集め、生産チートと呼ばれる能力でたった一つでもあれば世界のバランスが崩れる物を大量生産し、道中四神である白虎、朱雀、青龍、玄武と出会い、彼らからこの世界に関するありとあらゆる情報を聞き、修行を決行。
僅か三分で四神の経験やら知識を吸収し、森を脱出した彼はこの国に流れ着く。
それから一週間ダラダラほのぼの過ごした後、冒険者ギルドに赴き冒険者登録をする。その際深い森で討伐した諸々の素材を売っぱらい、一日で一攫千金の富を得た。
命知らずなゴロツキが彼の財産目当てで喧嘩を売ったらしいが瞬きする前に瞬殺。実力も認められ冒険者ギルドの歴史でも初の偉業となる冒険者登録をして最速でSSSランクに到達した者として名声を高める。
その時である。
アンディファー国王陛下は、その少年の圧倒的な力に希望を持ち、彼と会うことに決めた。これがアーロンと王女が彼と最初に対面した出来事である。
彼の名前はタロウ・タナカ。
僅かな会話だけでも分かる彼の圧倒的な才覚に国王陛下は、彼にこの最悪な状況を打開して欲しいという。因みに返事は即答で貰えた。
それから僅か三か月。週毎に最悪な出来事一つを解決しながら十人の嫁を一ハーレムと単位に纏めるぐらい嫁を増やし、現在。
漸く元凶の元凶の元凶以下略と呼べる最悪な黒幕を討滅し、嫁を二十ハーレムを持った勇者は、あろうことか国王様と王女様の前で世迷言を言い放った。
「姫様をください」
これが事のあらましである。国王陛下や家臣の連中も最初は姫を嫁がせるか勇者を婿に来てもらおうかと思ったらしいが、徐々に増えていくハーレムに今やもう二十ハーレムも持っている勇者タロウにはもういいかと考えた矢先にこれである。
「さぁ、一緒に行こう!」
「えっいやだぁ」
「僕が君を守る!」
「いやです」
以下無限ループ。王女様が幾ら断ってもまるで聞いていないような諦めの悪さに、ついに王女様は吐き気を覚え涙を流しながら周囲に助けを求める。
「姫様……」
「アーロン……私は……」
当たり前だろうか、そんな涙を流している王女様に幼い頃からずっと守ってきた護衛騎士であるアーロンが彼女に声をかけたのは。
「姫様、命令してください」
それは幼い頃から彼が王女様に言ってきた言葉。
この言葉の通りに命令やお願いをすると、アーロンは何でも願いを叶えてきた。
そんな過去の出来事を思い出した王女様はアーロンに命令を下す。
「私は……あの男と結婚するのは嫌です。……たすけてください」
「イエス、ユアハイネス」
一歩、アーロンは自身が仕えている王女様よりも前に出る。
それは見守る行為から相手に対し反撃する行為に出るという示しである。
「……僕は君に用はないけど」
「貴様の用事云々に興味はない。――ただ一つ、言えることは」
今年で三十歳という年でありながら、二十歳に見えるアーロンの顔は怒りに燃えていた。
「貴様が作った国に帰るがいい。お前には沢山の嫁がいるだろう」
「彼女を嫁にするまで帰れないけど、ねっ!!」
その瞬間、そこにはいつの間にかタロウが刀を抜刀してアーロンに振りかぶり、同じく抜刀していた剣で受け止めるアーロンの姿がいた。
「へーやるね」
「寧ろこの程度なのか?」
冷淡に驚くタロウに対し、嘲笑しながら煽るアーロン。
その言動にイラっと来たタロウは、一瞬で彼から離れ面倒臭そうに掌をアーロンに向けた。
「今度は魔法か」
「この世界の魔法と一緒にすると痛い目見るぜ?」
その瞬間、彼の周囲に無数の魔法陣が現れる。その魔法陣の数や新属性の数、無駄を削ぎ落された簡略な方式など、この場にいる魔導士が現に口を開けながら発狂している程のレベルを一度に展開したのだ。
「この世界は遅い。文化も技術も知識も、その全てが遅い。だから僕に敵わないんだ。原始人が技術で未来人の技術と勝負する位に無謀で、分かりきっていた事実。そんな奴はね、こう呼ぶんだよ」
――かませ犬と。
嘲笑でも苦笑もなく自然に笑いかけるタロウに薄ら寒さを感じる周囲。
だがアーロンだけは、その魔法陣を見て冷めたような眼をしていた。
「そんなズルして得た力で勝ち誇っているお前に教えよう」
「は?」
「努力して来た者の格の差って奴を」
「はっ死ねよ」
初めて聞くタロウの失笑と暴言を吐く出来事と共に、周囲に展開されている魔法陣から魔法が放たれ、アーロンに殺到していく。それもアーロンの後ろに未だに王女様がいることにも関わらずにだ。
後ろから聞こえるアーロンの身を心配する王女様の声を聞きながらアーロンは、殺到してくる魔法に対し掌を向けた。
――解析。
――文法の法則……解析完了。
――化学という法則を認知。
――各化学反応の法則……解析完了。
――認知、解析、認知、解析、認知、認知、解析、解析。
「『魔法相殺』」
その瞬間、コンマ数秒で描かれたアーロンの魔法陣は、そのまま向かってくる魔法に対して相反する魔法を放出。やがてそこには全ての魔法が相殺され、呆然とするタロウの顔があった。
「な、な……」
「これが努力の力って奴だ」
「ふ、ふざけるなぁ!! 何だよそれチートか!?」
その言葉を聞いた瞬間。
アーロンの周囲に膨大な魔力の波動が噴出した。
「チート? チートとはズルの事か? その様なことをこれまでしてきた私の努力と一緒にしないで貰いたい!!」
「な、なんだその魔力……ただの騎士じゃないのか?」
「分からないのなら教えてやろう。これを成すのに私がどのような努力をしたのかを」
それはアーロンが赤子の頃の姫と出会った日の事。
親から大事な者を守れるような男になりなさいと常日頃に言われていたアーロン。
実際に姫に会った瞬間、アーロンは己の使命に気づいたのだ。
「私はこの姫を守れるような人間になりたい!」
それからというもの、王国にある図書館を読破し、ありとあらゆる事件や問題に対応するように病的なまでに対策や想定を考え、様々な分野を専攻している教授に全てを学び、ありとあらゆる魔道を極めた彼は後に、最強の騎士の称号と共にとある称号を授けられた。
――最賢の魔導士。
この国で最も知識の海に近いのはアーロンであると、呼ばれるようになったのだ。
「見ればその簡略された魔法陣、様々な代替え文字を使い簡略化されていて、全ての動作が最適化されているようだな。それも文法や法則を見るに、文字の組み合わせ方によって無限の効果を生み出している」
異世界にある言葉で言えば、プログラミング言語という物である。
それをたった数コンマで言語の法則性を見抜き、習得したという。
「次にその新しい属性。なるほど、元ある元素を組み合わせて新しく作ったのか」
「こいつ、化学までも!?」
「元からこの世界でも解明されている元素もあった。それが数百種類出ただけだ」
「だがこの程度、僕でも真似できる!」
「この程度、実力の内にも入らんよ。――来ないなら行くぞ?」
そう言ってアーロンは剣を構えた。
だがその一方で、タロウは未だに武器を構えないどころか、余裕の表情で笑みを浮かべていた。
「無駄だ。僕の目には魔眼があり、全ての動きはスローモーションに見え、あらゆる攻撃を予知する事が出来る。しかも相手の目を見ると命令を下す事が出来、長時間相手の目を見ると相手が死ぬ様な能力もある。視力は限界を超えて最早千里眼レベル。しかも――」
「それがどうした?」
「へ?」
一瞬の内にタロウに接近したアーロンはタロウに一閃。
そして遅れるように一つの線がタロウの身体に走りそこから血が噴き出す。
「がぁああああああ!?? ば、馬鹿なぁぁ!? スローモーションよりも早く動き、予測できないほどの斬撃と予測できても避けられない斬撃だとぉぉぉ!!?」
「この私が、貴様の魔眼に対策を立てていないとでも?」
ついでに言えば絶対命令の魔眼や即死の魔眼などその他諸々な特殊な物までもアーロンはここら辺一体に発動しないような結界を仕込み、またこの一瞬の斬撃にそれらを発動しないように魔法を付与していた。
その際、タロウの状態異常無効化の体質にもアーロンは対策しているため発動されない。
「くっ、これまで誰にも突破されなかった防御力を貫通してくるとは……だがまだだ!」
「今度は超速再生か」
「そうだ! 僕は例え腕を斬られても再生するほどの再生能力を持っている! それに僕の回復魔法は他者を蘇生させるほどの熟練度がカンストしており……なっ馬鹿な、痛みが!? そんなもう完全に再生したというのに!?」
タロウは自身の身体を見ても、そこには無傷な肌が見えるだけだ。
しかし、先ほど斬られた痛みは再生した今でも続いていたのだ。
「例え再生しても、痛みはそのまま残るように魔法を込めてある。見れば貴様は自身の防御に絶対な自信を持ち、傷を受けることと我慢をすることに慣れていないようだな」
「この程度の痛み、学習能力カンストですぐ慣れる……だがこの僕に対する屈辱の数々、絶対に許さない! 来い、『那由多の神器』よ!!」
その言葉と共に、タロウの周囲から数えきれないほどの武器が顕現した。
「これは神々が僕に与えてくれた神器の数々!! それにこの中には、最高級ランクの素材をカンストまで行った生産チートで作った武器もある!! お前のナマクラなんぞ一瞬で叩き潰せるぞ!!」
「今度は私の剣を愚弄するか……笑止!!」
アーロンが剣を振った瞬間、タロウの周囲にある武器は粉々に切り裂かれた。
「私の魂を込めて作り上げたこの剣が、たかが与えられたゴミに劣るわけがない!!」
「ば、馬鹿な!?」
「――さて、戦いの舞台を変えよう」
その言葉と共にアーロンの足元から魔法陣が広がり、タロウが中に入った瞬間、この場から二人の姿が消えた。
「……アーロン様」
そこには、呆然とする王様以下家臣の人々と、熱の籠った感じでアーロンの名前を呟く王女の姿がいた。
◇
「がぁ!!」
アーロンに投げ飛ばされるように転がるタロウ。
見ればタロウの周囲には鬱蒼と生え茂っていた暗い森に変わっていた。
「ここなら全力を出せるだろう」
「脇役の分際で……どうして! どうして僕の邪魔をする!」
吠えるように叫ぶタロウ。ここまで来たからには、タロウの好きなように言葉を吐き出しその後に満足して撃退しようと考えたアーロンは、静かにタロウの話に耳を傾ける。
「お前たちが僕を召喚したんだろ!! 僕がお前達の脅威を排除してきただろ!! なら僕の好き勝手に生きる!! ハーレムを作り好きなように生きる!! 前の世界でのボッチとはおさらばだ!!」
「先ず誤解を解こう。貴様を召喚したのは貴様のハーレムにいる亡国の姫だ。それに貴様自身が言うには、貴様がこの世界に来たのは様々な要因と思惑があったと」
「それでも!! 魔王や邪神を倒したのは僕のお陰じゃないか!!」
「貴様よりも強い俺が動いていない筈がないだろう」
否、動く前にタロウが召喚され、その余波によりそれらの害悪が遠くに吹き飛ばされたため、動く暇がなかったという。そして、吹き飛ばされたという謎の現象などを調べる内にタロウがやってきて、国王が依頼したのが今回の出来事である。
「それに、貴様が脅威を排除しただと? 笑わせるな! 貴様とその害悪共が戦った余波が周囲を巻き込み住む場所を奪い、人を死なせた!! 挙句に人を蘇生させながらも人々の心には未だに深い傷が残っているのが脅威を排除しただと!? 寧ろ脅威を増やしていたのではないか!!」
「命が戻っただけで幸運じゃないか!!」
「責任を持てと言ってるんだ!! 何時までたってもその性根を改善してこなかったからこそ、元の世界では孤独だったのではないのか!?」
「うるさいうるさい、うるさぁぁい!! お前が僕を知ったような口で言うなぁぁぁぁ!!! 『我が命に答え、出でよ我が永遠の半身よ』!! ラドラス!!」
その場に現れたのは、人一人分の体格を持つスライムだった。
「ラドラスは前世で神様から僕に与えた神獣だ!! 出会った最初から懐いてきてくれてずっと僕と一緒だった友達だ!!」
「またもや神からの贈り物か? それにそれが永遠の友だと!? 最初から懐いてきた時点で神とやらの思惑が窺い知れるわ!! 来い! ルーチェ!!」
そしてアーロンの隣に現れたのはボール一個分の小ささしかないスライムだった。
「なっ、僕と同じスライムだと!?」
「ルーチェは私が倒れているのを見つけて助けてくれた恩獣だ。それから私はルーチェと共に姫様を守り国を救ってきた。ルーチェと私は固い絆で結ばれている一人の家族だ!! 貴様のような底の浅い絆と一緒にするな!!」
「う、うわあああああああ!!!!」
それからというもの、ラドラスはルーチェに食われ、タロウはありとあらゆるチートを使ってもアーロンの前では役に立たず、絶望の様相で自身の首に突き付けられているアーロンの剣を見ていた。
「そんな……理不尽だ……。世界はまたもや僕を見捨てるのか……?」
「絶望している最中でもかっこつけをするのか貴様は?」
「……掌返しが過ぎるんじゃないか? 僕がこれまでやってきたことに対して、用が済んだら切り捨てる……お前たちは僕から美味しい蜜を搾り取ってから捨てる悪魔だ……」
責任転嫁とはこのことである。実はこのタロウに対しては、受けた被害を考慮しても週一で害悪を討滅し、死なせたとはいえ結果的に人を蘇生をしたタロウに、国は容赦をしようと考えていた。国を作ってハーレムを作るのもこちらに害がなければ放っておこうと考えていたのだ。
だがまぁ結果はアーロンがいる国に、そしてアーロンが仕えている姫を貰うという発言と姫の願い、そしてアーロン自身のタロウに対する不信感や不快感によってこのような結果になってしまったが。
「それに貴様の話を聞くと、これまでに何故害悪が起きたのかという可能性を考えてしまう」
「……?」
「聞けば貴様とこれまで戦ってきた害悪には何かしらの因縁があるらしいじゃないか」
神々の思惑であれ、前世からの因縁であれ、まるでタロウを活躍させるための展開みたいだと、アーロンは考えていた。
「まるで物語の主人公みたいだな」
ふと呟かれるアーロンの言葉に、タロウは目を見開く。
「帰れ。運命の悪戯か、神々の思惑かは知らんが貴様は被害者のようだな」
「……だ」
「……?」
「そうだ……僕は主人公なんだ……」
「貴様……何を言って……」
「主人公ならあるはずだろ……?」
圧倒的な力の奔流がタロウの周りを纏っていく。
森がざわめき、天気が荒れる現象が起こる。
「理不尽な展開を吹き飛ばす『覚醒シーン』が!!」
タロウを中心に展開される力の波動。
それにより木々がなぎ倒されていき、そこにはクレーターみたいな跡地と未だに佇んでいるアーロンがいた。
「これが僕……!! 僕の中にこんな力があったなんて!!」
「…………」
「アーロン!! この僕の本当の真の力で以てお前を倒す!!」
「もういい黙れ」
それは一瞬だった。まるで途中からフィルムが切り取られたかのように一瞬。
その違和感に気づかずに、首を傾げるタロウだが、そのまま視界が転がるように落ちていくのが見える。
「あ……れ……?」
見ればアーロンは既に剣を振っていた後だった。
ここに来てタロウは、自身の首が斬り飛ばされていることに気づく。
「チート好きな神々が貴様に不死を与えているかもしれないから、不死をも殺す魔法を込めて斬った」
「そ……んな……」
ぐしゃり。タロウの頭が地面に落ち、首のない身体は後ろに倒れる。
「運命の神とやらにあったら伝えておけ。下らぬ遊びにこっちを巻き込むなとな」
◇
「アーロン様!!」
転移し帰ったアーロンに気づいたアリス姫は、アーロンに飛びつくように抱いた。
「ひ、姫様はしたないですよ!?」
「いいえ、いいのです。私はこうしたいと考え、実行しただけです。どうか貴方のぬくもりを感じさせて下さいませ」
「そ、そんな……あっ国王陛下!! こ、これは……!!」
「良いワシが許そう。大儀であったなアーロンよ」
「い、いえこれが姫様の願いであれば当然のことです!!」
だが未だに王女様が抱き着いている状態である。
その残念な様子に国王は笑いながら、アーロンに言う。
「さてアーロンよ。これからが忙しいぞ」
「……! はい承知しております」
問題は勇者タロウとその害悪との戦いで壊滅した場所の復興。
そして死んだ者たちのメンタルケアと勇者ハーレム達の処遇。
とにかく勇者が残した問題の後始末が未だに残っていたのだ。
「私の力で以て事の解決を果たします!!」
「ははは、頼もしいことだ!」
そして国王様はアーロンの傍に寄り、こう言った。
「――さしあたっては、我が娘の事を頼む」
その言葉により、アーロンの思考は真っ白に染まった。
そしてアーロンが復帰したのはそれから一瞬、顔を真っ赤にして叫ぶ。
「え、あ、あの!? それって一体どういう意味で……!?」
「お父様ったら……」
「え、ひ、姫様!? 聞こえていたんですか!?」
これから始まるアーロン・カイルの物語。
これはこの国の最強の騎士でありながら、この国の最賢の魔導士で、そしてアリス・フォン・アンディファー王女の婿として、活躍する物語である。
「た、大変です!! 異世界に干渉する魔法陣を観測しました!! 異世界人がまた召喚されます!!」
そして異世界から召喚される者達とそれを利用しようとする神々との戦いの物語でもある。
本当は異世界恋愛もののジャンルにしようか迷った。