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人間の大きさ

 このあたり、「何で人間とかは観測できるサイズの真中あたりにいるのか」という疑問についてちょっと計算しました。脳とおそらく自覚可能な意識を持つという前提を加えてですが。おおまかに地球上の脳を持つ生物は同じくらいの大きさです。観測できるサイズに比べるとですが。

 その条件において、惑星サイズの生物を人間は知りません。また、原子一個サイズの生物も人間は知りません。

 まず、知っている対象として、人間の大脳皮質には140億個の神経細胞があり、脳全体あたりでは1000億とかのオーダになるようです。実際には髄鞘(ずいしょう)とかもあるので数としてはもっと多くなりますが、処理そのものに必要なのは1000億くらいの要素が必要と考えます。

 さらに、1個の神経細胞は一万の結合を持っているとも言われます。これはスパイン込みの数なのかな。まぁそうだとします。すると複雑さの程度として、140億 x 1万 か、1000億 x 1万か、ともかく兆オーダの数になります。さらには神経細胞の働きかたも考える必要がありますが、とりあえずここではそれは無視します。


 原子一個サイズの方から片付けましょう。この場合、化学反応を使うことはありません。それより小さいサイズですから。そうするととくに原子核の中の様子が問題になります。だとすると、せいぜい300個程度の粒子の間の相互作用ということになります。人間サイズのものしか基準になるものがないので、そこを基準に考えると、300個でどうにかするのは厳しいかもしれません。

 そうすると、もっと小さいサイズを参照する必要が出てきます。陽子とかの中は3個のクオーク、中間子は2個のクオークで、さらに数が足りなさそうです。では陽子とかの中から原子核サイズまでを考えるとすると、3 x 300 = 900になりますが、まだどうにも足りなさそうです。中間子とグルーオンを無理矢理ここに入れてみても、どうやら万オーダです。

 実際にはさらに別の問題があります。というのも、計算するという場合、それがどういうものであれ状態が変わらないといけません。人間の脳の場合ネットワークが変わるという方を想像されるかもしれませんが、そっちはこの際どうでもいいです。電位が伝播するという状態の変化の方を考えてください。これに関係しそうな別の話は、また後で触れます。

 さて、原子一個サイズで状態が変わるというのはちょっと難しいようです。結び付けているという作用に隠れて、実は何かあるのかもしれませんが。そこからさらに小さいサイズになると仮想フィールドあたりの話になります。そのあたりになると仮想フィールドのありかたくらいの話として状態の変化はあるかもしれません。ですが、問題は、そのサイズになるとこっちの世界からどうにかできるものではないという所です。


 では惑星サイズあたりの方です。こっちになると複雑さの程度は自由自在です。それに対して、「信号の伝播に何を使っているのか」という問題が出てきます。というのも、人間が使っている電気は、逆に使い難くなるからです。髄鞘ができたように、皮膜が現われるかもしれませんが、そうでないと漏電しまくりになります。それと、惑星サイズになると、化学での電磁気の作用、つまりどういう化合物が存在するかと、重力の作用が大きくなります。化学の範疇が一方で支配的であるため、出来やすい化合物が出来ることになります。なので、「どういうわけか電線ができて、皮膜もできた」というのは、ありえないとは言えないかもしれないけど、考え難いでしょう。それを可能にする、考えやすい方法は、惑星よりもずっと小さい何かがどうにかしてそれらを組み上げたというものです。それが微生物サイズだったとしましょう。OK、それって人間サイズに変化していかないのでしょうか。変化しないとは言い切れませんが、変化するかもしれません。

 あるいはガス惑星なら雷とかはどうだということになりますが、その場合、電線ではないとしてもどうやって伝えたい方向に伝えるのかという問題が起きます。つまり、惑星より小さい何かがどうにかして関与していないと、普通に伝わり易い最短距離を伝わるだけになります。またもや「惑星より小さい何か」が出てきてしまいました。

 では別の方向で考えてみましょう。電気がだめなら、単純な振動、つまり地震はどうでしょうか。問題は伝播する方向の制御ができそうにないということです。もちろん、存在する化合物やそれらの状態によって伝わり易さは変化します。振動が繰り返し起こることなどなどから、振動の伝わり易い回路が、とても長い時間をかけてできるかもしれません。ですが、その場合、惑星の大きさが問題になります。というのも、地球の大陸移動とかみたいなものによるとして、それは惑星が回路を構成するのに必要なだけ、物が動ける必要があるからです。あまり流動的すぎても困るかもしれません。ちょっと待って下さい。適度な温度という話になります。それ、別の何かが発生する条件に合ったりしないのでしょうか。条件に合うかもしれませんし合わないかもしれません。何かが発生するかもしれませんし、しないかもしれません。


 実のところ、惑星サイズよりも、恒星サイズの方が、想像しやすさから遠くなるため、少し考えやすかったりします。電磁波というよりも電磁場の変化と言う方がいいのかもしれませんが、それが使える可能性があります。太陽の場合、黒点はある程度安定してます。現われたり消えたりましてますが。フレアそのものは、どっかんという感じのようですが、フレアはだいたいそこにある電磁場依存です。何より、「もっと小さい何か」が考え難いという利点があります。


 恒星サイズを超えると、重力が支配的です。あと電磁波もありますが。こうなると、複雑さの程度はともかく、また脳のようなものは考え難くなります。というのも、重力にしても電磁波にしても、そこに場としてあるか波としてあるかです。場としてある場合、それはそこにあるだけです。波の場合、波として伝わっている間は波として伝わっているだけです。伝わっている波そのものが、波そのもの自体のみによってどうにか変化することはありません。減衰はしますが。重力波をどうこうするのは難しそうなので、電磁波を考えます。すると、恒星の関与の可能性はあるかもしれません。その場合、では恒星はどのような存在なのでしょうか。恒星そのものが脳のようなものだとするなら、上の話になります。脳細胞のようなものだとしたらどうでしょう。そのあたりはわかりません。


 というわけで、恒星サイズ以上については不明ですが、それより小さく、かつ原子より大きい場合、それよりさらに小さい何かが出て来てしまう可能性が残っている点に注意が必要になります。


 さて、では、なぜ人間とかの脳は実際にかつ具体的にこの大きさなのかという問題が残ります。他の方法はわからないので、どうにかして電気を使っているとしましょう。すると、どうにかして電位差を発生させて、それを伝播させる必要があります。もし、伝播させる距離が無茶苦茶長いとか、化学的な反応が起き難いとかだと、どうにかして最初の電位差は大きくしてやらないといけません。それには人間とは別の、何かもっと電位差を大きくしやすい方法を取るか、人間と同じ物を使うならもっと大量にということになるかもしれません。電位差を大きくしやすい方法はあるのでしょうが、オーダとして考えると、人間と似たようなものでしょう。だとすると、どっちみちもっと大量にということになります。だとすると、代謝やらなにやら色々あって、細胞がでっかい必要があるのにそれを維持するのは難しいという状況になります。細胞をベースにしない方法があれば、話は別かもしれませんが。


 というわけで、どうやら脳を持つ生物は人間くらいのサイズになりそうな感じです。これに、「宇宙を観測できる脳」という条件を付けると、もっと具体的に500ml以上とかということも言えるかもしれません。


 ただし、これは結局他のものを知らないから、こう考えてしまうのかもしれません。生物がいる惑星を地球しか知らなかったため、昔は「地球はなぜ生物に適した公転軌道、あるいは太陽からの距離にあるのか」という疑問が持たれたことがあります。主に神学方面で。ですが、この問いそのものが誤りであることは明らかです。神がいて、地球をここに配置したわけではないからです。たまたま地球と太陽の距離はこうだっただけだからです。

 なぜ人間はこのサイズなのかというのも、同じように問いが間違っている可能性があることは頭に残しておいた方がいいだろうと思います。


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