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※この小説ではうつ病の話にソフトにタッチします。苦手な方はブラウザバックをしてください。
また、この話で取り扱ううつ病の療法はあくまでフィクションであり、必ずしも正しい療法とは言えません。
うつ病など精神の病の療法は、きちんと専門の医療機関へ相談することをおすすめ致します。
「ただいま」
「 おかえり」
母は運送業のパートタイマーで、平日は毎日働いている。
最近は年齢を重ねてきたせいか辛い辛いと愚痴をこぼす。
正直、聞くのはだいぶうんざりしている。どうでもいい。
【私の話は聞かないくせに】
辛いとき悲しいとき嬉しいとき、母に話そうとしても「だけどそれはおまえのせい」、「そんなことよりもやることやりなよ」と言葉を遮られて話をつなげられない。
そのうち、母にそういったことを話すことをやめた。うんざりだった。
どうせ聞き入れられないと諦めきってしまった。
1番応えたのは、2年の秋の頃だっただろうか。
部活の試合の日に、私は選手登録に必要なカードを忘れてしまった。提示しなければ試合に参加できない。
そしてソフトテニスは2人1組が主流のため、私と当時ペアを組んでいた子も出れなくなってしまったのだ。
私は重大なミスを犯してしまった。
即座に涙が出た。何もしゃべれなくなるほど激しく慟哭した。
試合に向けて沢山練習したことが無駄になってしまったのだから。やるせなさと申し訳なさとでいっぱいいっぱいだった。
ペアの子は怒って私を責め立てた。
「なんで泣き続けてるの」
「何か言うことはないの!?」
謝るべきだとは思った。しかし、実際はさらにパニックを起こし何も言えず泣き続けるだけだった。
その日は結局帰り、母に報告をした。
優しい言葉は求めていなかった。けれども受け入れてはほしかった。
しかし実際は、
「だから入れたか確認しろって言ったじゃない!」
「ちゃんと謝りなさい!」
「そんなことで泣くな!」
受け入れる余地などなかった。
それからペアの子に会いたくなかったから部活に行かなくなった。
部員に会いたくなかったから次第に学校にも行かなくなっていった。
負の連鎖だった。
でもギリギリ、3年に進級はできた。
できたのに。
「お医者さん、行こうか」
「うん」
引きこもりになった私は精神科に連れて行かれた。
診断は軽度のうつ病。
薬を3種類出された。副作用で眠気が来るものだ。
今は2週間に1度通っている。
効いている実感はあまりない。ただ眠気だけ増した。
母もあまり変化を感じていないようだった。
「お薬効いてる?気分軽くなったりとかする?」
「あんまり…少しは軽くなるけど」
「そっか…あのね、もしよければ今度相談所へ行かない?」
「え?」
予想外の提案に驚いた。
「相談所ってなんの?」
「教育相談所。相談員の人が話を聞いてくれるの。あんたここ1年くらいお母さんに話してくれないでしょ…相談員の人ならお母さんに話せないことも話せて、スッキリするんじゃないかしらと思って」
ちょっとは分かってるなら聞けよ…
内心舌打ちしながらも、悪くない提案だったので私は了承した。