†軌跡その5
また一年が始まりました。私の作品を読んでくださるすべての人に、今年も幸せが沢山降り注ぎますように…樹歩
『2008遥か』
無意識という
意識の中で
もはや
手の届かない人を想う
この両手に
抱えきれないほどの
溢れる優しさ
きっと
あなたにとっては
特別な事ではなかったね
今日も
何かを言い訳した
明日も
何を諦めるのかな
疲れた身体を引きずり
夕焼けに俯く
そんな自分が嫌で
寒さに震えながら
夜空の星を数える
生きているのだから
せっかく
生きているのだから
どんなに
ささやかでもいい
あなたの遺した
志に
応えたい
俯く角度が
1センチでも上がる様に
明日は
忘れないよ
あなたの優しさ
澱みない優しさ
歩いてるよ
永遠の透明な灯を
抱きしめながら
言い訳しない
諦めもしない
あなたにきっと
届け届け
明日こそ
明日こそ
『素肌』
あなたが
上着を脱いで
素肌を見せる瞬間が
1番好きかもしれない
私の無防備な身体に
覆い被さってくるあなた
愛しいひと
もともと本心を
あまり口にしない
少ない口数だけど
想いは伝わる
別れ際の抱擁だけで
私を頷かせた
やさしいひと
その腕に包まれ
その胸に顔を埋めて
その肌の匂いさえ
私に染みこませて
あなた…
いつかこの夜が
遠い記憶の果てになっても
あなたが
思い出す時に
しあわせだったと
懐かしんでほしい
私の
温かな素肌が
あなたの中で
光りを放ってほしい
あなたが
上着を脱いで
私に
覆いかぶさる瞬間
どこまでも
堕ちてゆく瞬間
…ふたりひとつだと
泡沫さえ
永遠になる瞬間