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†漣

『ワン・シーン』


昔 その人と眼が合う度に

一瞬よりもなお短かったけれど


確実に見つめあっている自分たちがいた



何も 語られることのなかったその瞳に

私は 言葉を見出そうとしたけれど


何も語らないことが

あなたの語りたかったことだと

気づくのにずいぶんかかった



何度も 手を伸ばそうとしたけれど

結局 指が動くことはなかった


何かを語ることで 

このつながりが途絶えてしまう可能性の方が

あの頃の私は怖かった


何よりも怖かった



あの 見つめあったその時に

あなたは私にきっと・・・・・



立ちすくんで動けなかったあのシーンが


幾年流れた今となっても


私にとっては永遠のワン・シーン



『水平線ホテル』



もうイルカがいるなんて言わないでね


そのかわり

あの夕日に照らされた水平線に

私の永遠を乗せるから


何度かこうして

何度かあなたと

肌も心も重ねてきたけど


そのたびに明らかに募ってゆくスピリチュアルな感覚

あなたとは身体以上にプラトニックだと思う


あの水平線の向こうに今夜は花火が上がるそうだよ


でも二人で観る星空の方がよっぽどキレイ

漣の音だけ聴いて私と寝て


たくさんの優しい言葉よりも

その腕の温かみの方が欲しかった


どんなに心を溶かすようなうわごとよりも

「会いたい」のひとことの方が嬉しかった


だから今夜

私はあの水平線に私の永遠を乗せるよ

あなたの知らない泡沫(うたかた)となって


あなたとは身体以上にプラトニックだと思う


漣の音だけ聴いて私と寝て

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