3/32
†軌跡その3
『躊躇い』
この海に
身を投げてしまえば
楽になるのだろうか
ここから堕ちたら
助けてくれると
あなたは
躊躇わずに
言ってくれたね
あの時
私は笑っていたけれど
本当は
躊躇っていたの
あなたを
愛しすぎて
この幸せな時が
いつか苦しくなったら
…世の中の常
何事もほどほどがいい
すべてをこの海に
洗い流して
あなたへの
この想いも
海に消えてしまえたら
…この崖から
堕ちてしまっても
後悔はしないかも
あなたを
愛したことを
後悔してないように
あなたの
私だけに向けて放つ
言葉のひとつひとつが
私の心を
先に歩くか
後ろに下がるか
躊躇わせるの
このまま
死に逝く鳥のように
この海に堕ちてしまえば
あなたが
私を愛していく事に
躊躇い始める前に
『小春日和』
まるで
冬という季節を
忘れてしまうほどの
あたたかい道を
あなたと歩いた
多分
何も語らなくても
満たされてゆくような
あたたかい道を
ふたりで歩いた
あの海の白波は
イルカだよと
あなたは笑った
こんなふうに
思い出を重ねる度
ほんの少し
淋しくなってゆく
この小春日和の空が
あなたの中で
いつか褪せてゆくことを
なすすべがない
しあわせよ
あなたがいれば
もう充分なの
今日だけは
そういう言葉を
信じる自分でいられる
そんな
あたたかい道を
あなたと歩いた




