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†水面その9


 

 『遠吠え』


どうしてそういう扱いをするのか


どうしてそういう扱いができるのか


いつも訊いてみたいと思う


突然に


何の前触れもなく


あなたの声は途絶える


私を遠ざけてわざと視野から外す


多分その時は


私と二度と逢わないつもりでいるのでしょう?


無理なくせに

そんなこと出来ないくせに


最初は泣いてばかりいたけれど


もう慣れた


その悪い癖に


あなたのその残酷な習性は


おそらく自分が同じことをされても治らない


きっと


何もかもかなぐり捨てて誰かを欲しがることなんて


あなたにはないのよね


自分が一番かわいいだけ


そして私の存在を言い訳にする


なのに

それをわかっているのに


どうして抱きしめてしまうのだろう


どうして突き飛ばしてしまえないんだろう


あなたがいなくなっても


私の人生が終わるわけじゃないし


あなたに逢えなくても


その淋しさの方がいたぶられるよりずっとまし


今となっては


もうあなたが私を本当に手放すなんて思えない


私たちの間にあるのは糸ではなくて腐れ縁


わかってるのに



でも知ってるの


本当は私の方が酷い人だって


本当にあなたを必要としていない


本当にあなただけを愛していない


あなたはそれを知ってて


何度もつかず離れずそれを確かめているだけだと


わかってるの



ごめんなさい


本当は本当に淋しいのはあなたかも知れない


私を絶対に縛れなくて


小さなプライドでそれを隠している


だからせめて


それには気付かないふりをして


あなたからの声が途絶えたら


待っててあげることくらいはしてあげたいと思う


どちらかが本当に断ち切れるまで


涙の遠吠え

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