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†軌跡その17

『哀』


どうしても好きだった

誰かがあなたを口だけの人といっても

忘れられるはずもない

あの足音

あの歩き方


あなたは多分私を本当に

手放す気はないのでしょう

私がどんなに懇願しても

あなたの好きなように扱うでしょう


あなたを好きになったことを

何度も忘れたかった

小さな思い出の積み重ねを

何度も心で消していって

でも消せなくて

その度に泣くしかなかった


どうしても好きでいるしかないと

抗えない恋を

沢山の人の声の中に探す

私の名前を読んでくれた瞬間を


擦り減って擦り減って

あなたを求める限り解放されない自分を

蔑み、嘲笑いながら

涙と共に抱きしめる


あなたの路の中に

一瞬でいい

私だけを好きだった時があったと言って

あの声を私だけに向けていたと言って

口先だけでいいから


きっともう

私はあなたを無にも有にもできないの

存在だけで祈りを捧ぐ

求めることも離れることもできないなら

ただ祈るしかない


どうしても好きだった

誰かの言葉が本当でも

私にとってはあなたの言葉だけが本当だった


だからどうか私を棄てて

だからどうか私を求めて

あなたの中の私を解放してほしい

出逢っただけで済んだ頃に


あなたは私を本当に

手放す気はないのでしょう

それが悲しいのに


あなたは私を本当は

もう求めていないのでしょう

それが切ないのに


あなたの声が聞こえる

私を呼んでいる声が

でもあなたは呼んでいないことにしたいから

私も呼ばれていないふりをしている


それが哀しいのに


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