†軌跡その12
『その手この指』
あなたと歩く
この道は
何の変哲もない
ありふれた道
いつも
並んで歩く
一緒に暮らして
幾年経っても
いつも
手をつないで歩く
毎日顔を見るのが
当たり前になっても
いつも
思いついた時
あなたの手を探す
温かい指に触れる
私の不安な癖を
慣れているあなたは
夜中でもその手を求める私を
放っておいてくれる
世界中の何処より
その手の中が
私の宇宙で
この世の果てより
この指の方が
私には尊い
『祈り』
何処にも行かないと
必ず此処にいると
約束したけれど
ずっと
二人は一緒だと
誓ったはずだけど
思ったより早く
あなたを残すことになりそうで
私は
抗えない波に
必死でもがく
毎夜眠りにつく時
目覚めることを祈る
毎朝光を見た時
明日があるように願う
あなたを残して逝けないな
この胸の予感
少しずつ大きくなる足音が
どうか
気のせいであって欲しい
何処にも行かず
ずっと此処に
あなたのそばに
一人で暮らせないから
誰かを抱くんだろうな
私のことを抱えたまま
他の温もり求めるんだろうな
やっぱりあきらめられないな
あなたのそばにいるのが
私以外になるのを
どうか
もう少し
このままで
何処にも行かず
ずっと此処に
あなたを抱いて
あなたに抱かれて
私が私であり続ける場所で
毎夜
毎朝
祈りを捧げて