†水面その3
『何処かへの風』
100年も経ってしまえば
あなたも私も此処にはいなくて
天へ通じる隔てた河を
ただ彷徨っているのかもしれない
今こんなに何よりも
確かな想いでも
一瞬の星の煌めきより儚いことを
私は知ってる
逝くよ
どこまでも
どこまでも遠くへ
この想いを抱いたまま
舞い落ちるは桜の花
あの日あなたと歩いた
春の終わり
桜の道
どんなにこのまま
離れてしまい
2度と二人の人生が
交わること無くとも
あの夜桜は
あの時私の宇宙だった
あなたと
宇宙の片隅を歩いた
どこにも行けない風に吹かれ
河の岸 一人立つ
愛しい人への祈りだけ連れて
ああ
あなたに抱かれた冬の夜も
遠い夢だったような気がする
軌跡というのは
事実のようで
真実なんて
何処にもないのかもしれない
心にある面影だけが
真実なのかもしれない
100年経っても
100億光年経っても
この想いだけが
永遠に永遠
さよならさえ
此処では要らない
いつまでも
私の上に
花びらが降り続ける
そこへ逝くよ
もう此処に風はないから
そこへ逝くよ
行方の無い風に吹かれて
何処にも果てのない
風に吹かれて
『あまい』
本当は
甘い顔なんか
したくないのに
本当は
いつでも
甘い顔
していたいのに
あなたが
甘い声を
私にくれたら