59話
「準備はいい?」
「はい」
「それじゃあ行くわよ」
「よろしくお願いします」
今俺達は楓の母、椿さんの運転する車で別荘に向かうところだ
「それにしても、凄いメンバーね…各学年の一位がいるし番号持ちが3人、十和家が3人で魔王の息子までいる、と」
各学年の一位は弥生先輩、美羽先輩、菫だな。番号持ちは弥生先輩、美羽先輩に姉さん。十和家なのは菫、楓、姉さんで、魔王の息子が俺…楓と姉さんは学年2位だしすげえのが集まってんなぁ
「そうですね、ほんと…」
仁が落ち込みぎみに答える
因みに席は運転席に椿さん、助手席に仁、真ん中の列に左から楓、俺、弥生先輩、後ろの列に左から姉さん、菫、美羽先輩となってる
この席になるのにひと悶着あったが割愛させてもらおう、うん
「あんま気にすること無いよ仁くん…このメンバーの中じゃあ大抵の人はそんな気分に陥ると思うよ」
「そうですよね…まぁ俺は俺で頑張ります」
「そのいきだね…所でこれほどのメンバーはどうやって集まったの?」
「えーと、俺と郡山さんが勇人とクラスメイトで、闇条さん達が勇人の義姉義妹で、龍宮先輩と宵闇先輩が勇人と同じ部活…つまり勇人繋がりですね」
改めて言われてかんがえてみるが、やっぱそうなんだな…
「…たった一人でこれほど集めるのね。凄いわ」
「すごくありませんよ…学園で俺が親しくしてるやつはここにいる人除いたら数人ですよ?交遊関係の狭さが半端ないです。美羽先輩や弥生先輩も同じようなもんですけど」
「私はここにいる人と米光さんくらいですね」
「…私はここにいる人だけ」
「私達も同じようなもんよ…十和家の連中なんて大した力もないのに威張ってるやなやつらばっかだし、普通の人は十和家とのパイプ持とうとする人くらいしか話しかけてこないし」
「…つまり交遊関係はほとんどここにいる人で終わってると…我が娘のこともだけど大丈夫なの?あなた達」
「仁だけは交遊関係広いんですけどね…十和家はしょうがないし弥生先輩と美羽先輩はその強さからびびられてる。俺はこれから魔王の息子としてだから…ほぼ変わることはないですね。年度が変わる辺りでなら変化すると思いますが」
「…仁くんはこのメンバーの中で色々と例外みたいね…普段ってどういう会話してるの?」
「私と陸谷さん、勇人さんならふつうに世間話ですね…よく勇人さんが陸谷さんをいじってます」
「何でも屋の中だと依頼の内容や戦闘のはなしが多いですね…たまに世界情勢についてでしょうか」
「私と美羽先輩なら世界情勢」
「十和家組は大体勇ちゃんのはなしね」
「俺はここにいる人以外と話すときは大体十和家の人の好き嫌いや趣味を聞かれましたね…近頃は風紀委員の仕事の話とかが増えました」
「全員そろったら世間話から学園の話、生徒会に風紀委員会、部活も揃ってるから情報交換かな…」
…それより楓達が俺についてなに話てんのかが気になる
「え、えーと、何でも屋の子達はほんとに学生?って思うようなこと話してるのね…実力もプロと遜色ないし…他は普通なのかな…?それとも比較対象がすごすぎるだけ?」
…あれ?この道は確か
「後者ですよ…勇人、どうした?」
「へ?なにかあった?」
「いえ、結界の外に出るんだなぁと思いまして…この車自体に簡易結界も張られてるし…」
「ええ。一応転移の魔方陣もあるんだけど向こうでの足が無くなっちゃうから。それに車の中で皆の事知っておきたかったのよ。楓が連れてくる始めての十和家以外の友達だし」
「楓ほんとに友達いなかったのな」
「いいんです。そのおかげで勇人さんに会えましたから」
「俺に会うよりも他の人間にあってたほうが有意義だったかもしれないがな…お、無事ついたみたいだな」
「ほんとだ、海だー!」
「仁、車内であんまでかい声出すな、響く」
「わ、わりぃ」
「取り合えず別荘までいくわね。そこから海は歩いて数分だし着替えとかも別荘で出来るわ。荷物おいて遊んでらっしゃい」
「はい、ありがとうございます」
…
ほどなく別荘につき、さっさと俺と仁は便所で着替えて砂浜へ出てきた
「意外と人少ないな…俺はもう人で砂浜が埋まってるもんかと」
「確かにな…おもってたより少ないかな。まぁ人が多いより良いだろ…それに想像よりってだけで結構いるし」
「そうだな…よし、パラソル建て終わったぞ」
「あいよ…にしても別荘からここまで近いな。ほんと2、3分だぜ?」
「海水浴ができる海なんざ少ねーから土地の値はかなりのもんだ…流石は十和家だな」
「そうだな…」
「勇人さーん!」
お、来たか
「うおおおおおおおお!!!」
「仁、うるさいぞ」
「どうしてそんな落ち着いてんだよ!海に女子だぞ!美人だぞ!!?水着だぞ!!?」
「落ち着け、まだ上着羽織ってるだろ」
「それでもだよ!お前には分からないのか!?」
「はぁ、もういい」
「勇ちゃん?仁君ほどではなくても多少は反応するのが健全だと思うわよ?」
「そう?全く反応してないわけじゃないし普通じゃないか?」
「兄さんだしね」
「勇人さんはそれで良いですよ」
…なんかそういわれるのもな
「まぁさっさと遊ぼうぜ?こういうときってなにするもんなんだ?」
「え?…私こういうのはじめてだから」
「え?姉さんなら海くらい十和家とかで来てると思ったけど」
「十和家だと遊んで楽しもうなんて考えないのよ…大人たちが勢力争いしてるなかで子供だけ遊べるわけないでしょ?」
「じゃあ十和家は全滅…俺や弥生先輩に美羽先輩は論外…やはり仁、お前の出番のようだ」
「は?なにを固く考えてんだよ、やりたいことやりゃ良いんだよこんなの。海ではしゃいだってビーチバレーやったってな」
「特に決まりなんざねーから楽しめ、と?」
「そーゆーことだ!取り合えずあっちの離島まで遠泳勝負しようぜ!」
楽しもうとか言って初っぱなから遠泳か?女性陣はんなもん受けねぇだろ
「良いわね!やりましょう!」
なに!!?姉さんは何を
「ただやるのじゃつまらないから一位の人の命令を1つ叶えるっていうのはどう?もちろんできる範囲でだけど」
…なるほど、そういうのにすれば楽しめるのか
「やりましょう!」
楓がやけにやる気に…泳ぎが得意なのか?
「ルールは?」
あれ?弥生先輩も案外乗り気だな
「もちろん何でもあり、でしょ?姉さん」
「ええ…まぁ他のお客さんの迷惑にならない程度ならね」
「なら皆さん、あれに出ませんか?」
あれ?…は?
「THE魔法遠泳大会?なんですか、あれ?」
「さっき見たポスターによれば魔法使ってよしの遠泳勝負で、離島まで行って帰ってくる早さを競うようです。参加費はかかりません。優勝商品はペアの食事券でした」
へぇ…よくみてたな、美羽先輩。てか何でもあり?かなり無茶な遠泳だな
「やろう!」「やりましょう!」「やる」コクン
女性陣はやる気ですか
「どうする?仁」
「いや、俺は勝てる気しないからいいや…属性も火だしな」
「そうか…」
「勇人はどうすんだ?」
「パス…魔法ありなら負ける気しないし」
「そ、そうね…じゃあ待ってて。二人で食事に行きましょ♪」
「姉さん、速さなら私の方が速い」
「ふふ、あなたは水の中でも同じように動けるの?」
「それは…」
「あ、私属性雷なんですけど」
「…纏うだけで全体への妨害になる」
「速さもかなりのもの」
「…一時休戦、呉越同舟ね、菫、楓ちゃん、弥生ちゃん」
コクン
「え!!?ちょ、ちょっと待ってくださいよ!?」
皆で美羽先輩潰しを考え始めたぞ…まぁ海で雷属性なんか危険きわまりない
『そろそろ遠泳大会の受付を終わりにします!まだの人はすぐ受付をしてください!』
「あっ!行かなきゃ」
「早く行きなよ。ここら辺で見てるから」
「はい!行きましょう、皆さん」
…やる気になりすぎでしょ…ん?楓どうやって戦うんだ?まぁみてりゃわかるか
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side 楓
ペアの食事券…つまりデートですよね!
これは勝たなくてれば…自力でやったところで底は見えてるんだからうまくやらないと
side out
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side 菫
兄さんとご飯、兄さんとご飯、兄さんとご飯…うん、絶対勝つ
楓ちゃんと兄さんはデートしてたし、私も…
side out
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side 優菜
ふふ、勝てば勇ちゃんとデート…前は三人だったけどこれなら二人に…ふふふっ
身体強化は苦手でもやりようはある
これだけは負けられないからね、弥生ちゃん
side out
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side 弥生
…なんか優菜からのプレッシャーが恐い
そういえば勇人と二人きりなったのって部活作ってから一回もない…?
まだちゃんとしたこと聞いてないし言ってない…バカンスでそんなの聞くのはおかしいけどやっぱり聞いときたいな
それ以前に勇人と食事…勝たなきゃ
side out
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side 美羽
…なんか皆殺気立ってますね…皆勇人君のこと好きなんですよね
弥生ちゃんはまだ恋愛までいってないかな…いえ、あれは気付いてないだけで好きになってますね
今回の勝負は私にめっぽう有利…勝ったら誰を誘いましょう…やっぱり勇人君ですよね♪
side out




