4話
2016/1/10 修正
「あ、はい、郡山です」
郡山、ね
「ありがとう、郡山さん」
「い、いえ」
郡山、か。十和家が1家…
十和家、ジャッポネの中で魔法の各属性に秀でた一族に与えられる称号。魔法の力は遺伝するだとかなんとかで優秀な親からは優秀な子が生まれやすい
もちろん物事に100%はないが……
魔法にはまず、無系統と有系統がある。有系統は基本的に10属性、火、水、風、土、氷、雷、闇、光、創造、無
無系統ってのはそのどこにも属さないもので、身体強化が一番ポピュラーなものだ。他にも個人が突発的に遺伝とは関係なく発現する、どれにも属さないものを無系統に分類する
十和家ってのは、この属性のうち有系統の属性それぞれが優秀だと認められた一族のことで、氷の郡山、火の火野、水の紫水、風の風切、土の土門、雷の轟、闇の闇条、光の米光、無属の音無、創造の創路の事だ
各属性1つの一族しか得られないが、能力の遺伝は強くここ数百年変わってない
まぁ、俺には関係のない事だが
「あぁ、六郎坂か。ちゃんと聞いとけよ?後で聞かれても教えてやらんぞ」
いや、そこは教えて欲しいな、まともに話を聞く事が出来るか微妙なラインだ
「まぁいい、これから1年間このクラスの担任になった松永秀吉だ。よろしく頼む」
ひできち?そこは普通にひでよしでいいだろ
「今ひでよしでいいだろとか思ったやつ、正直に手を挙げろ。」
黒板にデカデカと書かれた漢字と読みのギャップに思わずツッコむ
おいおい、気にしてたのかよ……てか普通教師が生徒に殺気ぶつけるか?
まぁおとなしく手でも挙げときますか………っ!!!
く、クラス全員手ぇ挙げとる……
殺気を収めた先生が目に見えて落ち込んでいる
「お、お前らぁ…!!クソッ、もういい手ぇ下げろ。廊下側の1番前のやつから自己紹介してけ」
あ、少し涙目……キモい
自己紹介、ね。まぁ、席の周りの奴だけは聞いとくか。2,3人だけだが…
…
……
「次ぃ」
「はい。郡山楓です。得意属性はもちろん氷です。趣味は料理です。十和家とか気にしないで仲良くしてくれると嬉しいです」
……十和家なのに他を見下した様子が無いな
俺の偏見だが、能力が強い奴ほど下の奴を見下す傾向にあると思う。十和家はその最たる例だと思っていたが……これは認識を改めるべきかな
まぁ、おそらく他のやつらは十和家って名に勝手にへりくだってしまうだろう。普通の友達は無理だろうな…
「はぁ」
クラス全体の雰囲気が郡山の名によって変わった。そこからのため息、こりゃこいつは対等に接してくれる友達を本気で求めているのか?
…………まぁ、隣の席のよしみだ、それなりに面倒見てやるか。他のアホどもよりかは義母さんとの約束が守りやすそうだし
…
……
「次ぃ」
今度は前の奴か
「はいっ、陸谷仁だ!得意属性は火。好きなことは魔法戦闘だ!!世・露・死・苦ぅ!!」
……最後のでかなり引かれたな。本人気付いて落ち込んでるし
それはさておき、魔法戦闘とは、かなりポピュラーなものだがこうも明言する奴はそうそういない。理解してない馬鹿か本物か
実力が全てのこの世界、いざこざがあってどっちが悪いかはっきりしない時とかこれによって解決される。やるのはただの魔法を使った戦闘。ただし、肉体ダメージを全て魔力消費に置き換えてのだから死ぬ事は基本的にない……学生でも大会があったり有名だが
魔力消費に置き換えるための設備は警察やこの学校の闘技場とかにある
たしかこの学園は決闘というものがあり、生徒間のいざこざは決闘の勝敗で解決されるはずだったな
決闘以外の勝手な魔法での戦闘行為は基本禁止されていて、見つかったら生徒会や風紀委員に捕まり罰則があるらしいから気を付けないとなあ
「次ぃ!六郎坂ぁ!!さっさとやれ!」
あぁ、考え事をしてたら呼ばれてんのに気付かなかった
「はい。名前は六郎坂勇人という。姓は良く変わっていて今のに自分が慣れてないし、長くて呼びずらいから下の名で呼んでくれてかまわない。得意属性は特にない、むしろ全て苦手だ。好きなことってより目標は平凡な生活を送る事、よろしく」
「よしっ、全員終わったな。報告だが…」
…
……
ふぅ、とりあえず終わったか。このあとどうすっかなぁ……