29話
side美羽
負けた
1年前、2年生になった時も
私は1年生の時から第一位だった
そのあとすぐに、私は負けた
上には上がいることを知った
別に自惚れてたつもりはなかった
ただ私は強くありたかった
この世界で1人で生きるには、強くなるしかなかった…
誰かに私の存在を認めてもらうには強くある必要があった
最強なら皆が認める…最強なら見てもらえる
そこに私はいる
でも最強でなくなった私になんの意味もない
皆は新しい第一位、弥生ちゃんを見る
私はもう、いない
この世界で、私の居場所はない?
今までは違った
弥生ちゃんは私を見てくれた
だから私の居場所はあった
でも今の弥生ちゃんの興味はあの1年生に向いてる
弥生ちゃんが私を見てくれなくなったら…
私の居場所はどこ?
「とか考えてそうですが…」
っ!!?だ、だれ?
ここは学園の救護室…回りには誰も…
「ん?そうなの?」
え?弥生ちゃんの声…
「はぁ。気づいてやってくださいよ。あなたが唯一のよりどころみたいだったんだから」
「そんなの知らない。必要なのは、美羽先輩は強いってこと」
「まぁそうですけど…龍宮先輩?起きてますか?」
え?私?
「う、うん」
「お、起きてた。入っても?」
?…あぁ、カーテンがかかってたのか…それで誰もいないと…動揺しすぎだなぁ私
「うん、大丈夫」
「それじゃあ失礼します」
シャーっとカーテンがひらく
「さっきぶりです、龍宮先輩」
「お疲れさま、美羽先輩」
2人、見知った人がそこにいた
side out
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「で、龍宮先輩…部活に入ってもらえますか?」
「へ?」
「勇人の実力を認めたら入ってくれるっていってたやつ」
あれ~忘れられてる?入ってもらえなきゃ頑張り損なんだが
「わ、私、で、い、いいの?」
「先輩の実力は文句なしですよ。むしろ俺達の部活に入る価値があるのか、それを考えるのが先輩です」
やっぱりわかってないのかな、この人は…自分の立場を
「わ、私は、もう」
「居場所が無いとか考えてるなら、1つ思い出してください…弥生先輩が何時あなたの存在を否定しました?学園の誰があなたの存在を否定しました?」
「…そ、それは…私なんかいる意味無いから、何も言わないだけで…」
「勝手に邪推して勝手に勘違いして勝手に塞ぎこまないでくださいよ。あなたの実力を見て認められない奴なんかいませんよ?いたとしたら本物の馬鹿野郎かゴミくらいです。皆あなたの実力を認め、恐れてるだけですよ」
「恐れてる?」
「人間、自分より大きな力を持つものに対して萎縮するものですよ。あなたが凄くて話しかけにくかっただけでは?あなたが勝手に塞ぎこんでて話しかけにくかっただけでは?」
「そ、そうなの?」
「そんなの知りませんよ」
「え?」
「もしかしたらほんとにあなたは存在を認められてないだけかもですし」
「うぅ、やっぱり…」
「けど、ただ1つ、確実に言えることがあります」
「?」
「少なくとも、俺と弥生先輩はあなたを認め、必要としている、ということです」
「!!?」
コクン
「美羽先輩は強い。それは皆知ってる。あなただけがそれを知らない」
「あ、え、と…」
「龍宮美羽先輩。出来れば、あなたの力を貸してもらえませんか?」
「あ、あの…私の」
「あなたの居場所はここにあります。俺達が、あなたの居場所になりますよ」
「っ!!!………し、す」
?
「よろしく、お願いします」
…ふぅ、これで部員が集まったか
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「よろしく」
やっとで動き出せる
「あ、あの」
?
「部活って、何をする部活でしょう?」
…へ?
「弥生先輩?」
あ、目線そらされた
「はぁ…やることは簡単で、依頼を受けることです」
「依頼?ぶ、部活までつくって?」
またこの説明か~
「まぁ確かに、細かいとこの説明はしてなかったので、弥生先輩も聞いてください」
コクン
~説明中~
「…というわけです」
「…つまり、プロや理事長の仕事を受け持つってこと?」
「はい」
「勇人、私の時こんな詳しく言ってなかった」
「概要説明だけで入ってくれると言われたので部活ができてからで良いかと思ってまして…すいません」
「別にいい」
「あ、あの~六郎坂君、かな?」
「あぁ、名字は長いんで勇人でいいですよ」
「わ、分かった…勇人君、ね。それで、提案なんだけど、き、君の言うこと、だと、き、危険な依頼を、受けるだけだよね?」
「はい、そうですけど…」
「な、なら、生徒や先生、からの、い、依頼を、う、受けるようにしない?そ、そうすれば、立場は、悪くなりにくいか、ら」
なるほど…そうすれば確かに立場は悪くなりにくいか…てかこんなこと言われるって少ししか話してないのに俺問題起こすって思われてるのか
「や、弥生ちゃんって、き、気に入らなかったら、とことん潰すのね?そ、それで、皆から孤立してるの…」
弥生先輩のこと、よく見てるのな…てか回りの評判を理解してる!!?…なんでそれを自分の評価に関してに使えないのかなぁ
「そ、それで、皆からのい、依頼を受ければ、いいと思って…」
「立場が悪くなるのは避けたいのでそれは採用させてもらいます」
これじゃあ何でも屋だな
「私って美羽先輩から見て問題児…?」
意外と落ち込んでるな…弥生先輩
「そ、それから、どうするの?」
「どうする、とは?」
「あ、あのね?私、そんな危険な依頼とか、み、見分けつかない、よ?」
てかまだキョドってるなぁ…これからなれてもらえばいいか
「私も分からない」
「問題ありません。そこら辺見分けるのは俺の仕事なんで。部活の形にしたのは1年がひょいひょい依頼受けてたら2、3年に目ぇつけられそうだったからです」
「そ、そうなんだ…分かった、が、頑張る」
「あんま気負わないでいいですよ…とりあえず部活の名前を決めたいんですけど、なんかあります?」
「え?、い、いきなり、い、いわれ、ても」
「弥生先輩は?」
「ん、「勇人と愉快な仲間た「却下です」」……むぅ」
「本気で言ってますか?」
コクン
うわー無表情で頷くとわ…
「もう1つある」
「なんですか?」
「最強軍団」
…あながち間違ってないことが問題だな…てかこんな戦力ある組織なんて生徒会や風紀委員が許すかな…まぁそこは理事長に任せるか
「全校生徒に喧嘩売ってますね、それ」
「そ、それはちょっと…や、弥生ちゃん、本気でか、考える気ある?」
真顔で頷く弥生先輩
こりゃ決まりそうにないな…
「決まりそうにないんでそのまんま「何でも屋」でいきます。いいですね?」
「は、はい。いいと思います」
……………コクン
な、悩んだなぁ…そんなに最強軍団が良かったのか?ならそっちでも…
「……愉快な仲間たち…」
…うん、何でも屋でいこう
「それじゃあ部活申請するんでここに名前をお願いします」
………
よし
「それじゃあ何かあったら連絡します…部室は部室棟で一番依頼掲示板に近い部屋です。一応部としての活動は5月からですので」
コクン
「わ、分かりました」
「では、失礼します」
「ん、また明日」
「さ、さようなら、です」
……早くなれてくれないかなぁ、龍宮先輩
まぁいいか、とりあえず理事長室だ