12話
2016/3/25 修正
「ふぅ、気持ちいいな。なんで立ち入り禁止なんだ?」
「授業サボってここに来る人が多発したからみたいですよ?」
む、俺の予定が…
「なるほどね。んで、なんで勇人が闇条さんと知り合いなのか、しっかりと説明してもらおうか?てか兄さんってどういう事だ?」
いい感じに誤魔化せる流れかと思ったがそうはいかなかったか…
「少し落ちつけ。ちゃんと説明するから。その為にここにつれてきたんだろ?」
「……まあそうだな、すまん。少し気になりすぎてな」
ま、気持ちはわからんでもない。普通十和家なんかと知り合う機会は無いし
「ん、お待たせ」
「おう、菫か。てことは…」
「……勇ちゃん?」
そちらでほおけていらっしゃるのは姉さんですか
「そうだね、こういうべきかな。菫、姉さん、ただいま」
「ん、おかえり、兄さん」
「ほんとに?ほんとにほんとにほんとの勇ちゃん?」
「あぁ、そうだよ」
「ううぅぅぅ、お帰りなざぁーい」
うぐっ、泣きながらタックルくらわすのはやめてくれ…
「うぐっ、ひぐっ、ゆ、うぢゃ、ん。ひぐっ」
「とりあえず落ちつけ、姉さん」
完全に泣き潰れてしまった姉さんをなだめる
しばらくして少しずつだが収まり始まる
「ひぐっ、ぐずっ、ん、んん。ごめんね、もう大丈夫、だと思う」
「ふぅ、落ち着いたな?なら飯食いながら話そう?昼休みはそんな長くないし」
「ん、わかった」「そうですね」「あぁ」「そうね」
「…ところで君は誰?」
「俺の友達の陸谷仁ってやつだ。いきなりで仲間はずれってのはかわいそうな気がしたからつれてきた。ダメだった?」
「んん、勇ちゃんが良いならダメじゃないよ。ささ、食べよう」
姉さんの言葉に皆が食べ始める
なんか話したそうな視線は感じるが雑談に興じるような空気でもなく黙々と箸を進め、少し経ったところでタイミングを見て俺から話を始める
「んで、まず俺と闇は家の関係だが、俺は昔闇条家の養子だったんだが、才能がなくて売られたんだ。これが俺がこの二人と面識がある理由だな」
「は!?ちょ、少しは衝撃事実を分けてほしいんだが…養子だったのか?それで闇条姉妹とは義兄弟だと。で、売られたってのは……それよりもまず闇条家はわざわざ養子なんてとってたのか?頭がついていかねーぞマジで」
「そうだな。話すとすれば……まず闇条家本家には姉さんと菫の二人しか産まれなかった。後継ぎにはどうしても男が欲しかったってのが闇条家だな。んでもって現当主が立ち寄った孤児院で俺を見つけ、養子にした」
物は言いようだな
「……は?才能無くて捨てる位ならなんで引き取ったんだ?」
「……まあ俺が黒髪だったからだな。言いたい事は分かる」
「?」
「髪の色はその人の適正のある魔力属性に影響を受けるんです。常識ですよ?陸谷さん」
「そうなのか?あぁ、それで勇人は黒髪だから闇属性に適正があるって思われて引き取られたのか……あれ?ダメだったのか?」
「俺の黒髪はさぁ、闇属性に適正のある黒髪じゃなくて、どの属性にも適正のない黒髪だったんだよ」
何か俺に感じたらしいが結果を見れば関係ないな
「はぁ!?ど、どういうことだ?……適正のない?じゃあ何の魔法も?」
「そのまんまの意味だ。菫や姉さんと比べて俺の髪の色は薄いだろ?俺のはどの属性にも染まれない、ある意味すべての属性を含むダメな色なんだよ」
二人のは漆黒、俺は黒……この違いは思ったよりデカい
「ダメって…それで才能が無かったからって捨てられたのか?あんまりじゃねぇか!」
「正確に言うならば捨てられたんじゃない、売られたんだ」
俺の言葉に菫と姉さんが顔をしかめる
「ちょっと待て、売られたってのは、そういう意味 なのか?」
「あぁ。俺は元、奴隷だよ」
「はぁ!?ふざけてんのかよ!勝手に期待して、期待はずれだったからってそんなことすんのか!?そんなの人でなしじゃねえか!!」
「俺に怒鳴られてもこまる」
「ッ……す、すまん」
他人の事でこんなにも怒れる、優しい人間だなこいつは
「怒りの矛先はそこの二人には向けないでくれよ?数少ない味方だったんだから」
「あ、あぁ」
仁は落ち着いたようだが楓が手に力が入ってるな……
二人は顔を俯かせてるが……仕方ないか
「まぁ、なんだ。一応チャンスは貰った。それをものにできなかった俺がダメだったんだよ」
「な、なんでそんな風に…」
思えるんだよ、尻すぼみにそう続ける
「怒ってない訳じゃないさ。今でも闇条って聞くだけではらわた煮えくり返るもんさ。でも怒ったところで過去は変わらないって事。ある種の諦めだ」
「……くっ」
「それでその後だけど……まぁ、変なやつに買い取られて、こき使われたり、また売られたり、慰みものにされたり、売られたり、って思い出したくないから割愛するな?まぁ、なんとか解放されたのが、7才の時。5才からだから2年間奴隷やってた」
ほんとは……まぁいいよな、言わなくても
「その後途方にくれてた俺を拾って育ててくれる人がいて、12才までその人の元で修行とか訓練とか勉強とかさせてもらって、その後一応自立した」
自立って言えるのかは分からないけど
「ほんとはそこで菫や姉さんに会おうとしたんだ。 俺を探してくれてるの分かったから。でも闇条家の見張りがいてやめた。名字を変えたのは裏で汚い仕事をして生きてくための処世術の1つ」
いくつか名乗った、二人に分かるように情報を漏らしながら
「そして、少し前に育ての親から学園入れって言われたから入った。これがここまでの俺の経緯だよ」
そう言って話を締めくくると、皆は一様に暗い顔をしていた




