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最凶男の自由な余生  作者: 小淵執悲
2章 学園後編
118/148

13話

2018/08/19


あれから30分、目的地まであと少しって所まで来たな…

1年共はガス欠で戦線離脱、ほとんど仁と雨沙深が、たまに創路に楓、姉さんが手助けしてるからなんとかなってるが、創路はあの後身体強化のみ、か…


「…にぃ…さん…」


またか…さっきからずっと、菫が俺を呼びながらきつく俺を抱きしめて、ふっと力を抜くというのを繰り返してる…ここまで来ると流石にな


「姉さん」


「…分かってるわ、そろそろ話そうと思ってたから…今晩あたりに話すわね。部屋に行っても?」


話しかけただけでそう返してくるってのは、想定はしてたのかな


「了解、今日は部屋にいるわ」


「うん…よろしくね」


あんま重い話じゃなきゃいいんだがなぁ…





「…なんでだ?ここのところ魔物が来ないな?まあいいんだが…」


「陸谷先輩!それフラグっすよ、止めてください!」


「フラグ?なにが…」


「!!右!」


「なっ!?」


「陸谷さん、引いてください!「氷槍(アイスランス)」!」


横から飛び出てきたゴブリンに氷の槍が突き刺さり鮮血が舞う


「あ、ありがとう郡山さん……!、やっとでゴブリンか!」


仁の視線の先を見れば少し開けた所にゴブリンがおびただしい数固まっていてこちらに武器を向けている

グキャグキャとうるせぇ奴等だ


「…着いたか。なら皆はゴブリンの方を任せる。弥生先輩と琴は用意を」


「分かった」


「はい」


「ゴブリンは?…まあ分かった」


「勇ちゃん、私達もゴブリン?」


「うん、姉さん、楓、仁が中心でいいかな…数がいそうだし」


「分かりました」


「ガス欠1年はすっこんでろ」


「は、はいぃ…」

「た、たすかったぁ…」

「…まだ行けます」


カリーナだけは…強がってる部分もあるが確かにまだいけそうか。それに創路も


「まあいい、さっさとかたを付けろよ?仁」


「おう!行くぜ!」


そう言って仁が飛び出し、直ぐ後に雨沙深が続く


楓に姉さんは後衛だよな…、詠唱時間を考えたら前衛が足りねえか


「創路、デボン、お前ら前衛に加わって楓と姉さんの詠唱時間稼げ」


「ええ!?俺も前衛っすか?!」


「そう言われたでしょ、行くわよ!」


「ちょ!」


カリーナに続いて創路も身体強化をかけゴブリンの軍団の前に躍り出る


「…さてと、始まったからな…そろそろか」


「何が来るんでしょうね?」


「さあな…ただ状況から予測すりゃ厄介極まりないやからだよなあ…普通なら危険度Cなんて所(・・・・・・・)に、ランクE(・・・・)のゴブリンがいるはずなんて無い(・・・・・・・・・)んだから」


それに見たところ一体一体のレベルに連携も通常種と比べて高い


「…ボスゴブリンが見当たりませんね…危険度Cランクならボスゴブリンがいればあるいは、と思ったんですが…」


「琴、それは違う…ゴブリンは食欲と性欲…食べるためか繁殖のためにしか人は襲わないし、ボスゴブリンがいたとしても連携なんて一体を攻撃してる人間に別のゴブリンが攻撃しようとする程度、たかが知れてる。でもあれは防御役、攻撃役とかに別れてるように見える…かなり厄介で、異常」


「弥生先輩の言う通りだな。ゴブリンの群でもランクはいいとこDだし…さらに言うならば、一体のボスゴブリンが従えられるゴブリンは2〜30程度だ…でもここには軽く数百はいるな」


「…つまり?」


「なっ!!?ボスゴブリンが10体以上!?」

「仁君注意をそらしちゃダメ!「水壁」!!」

「あ、あぶねえ…ありがとう!「炎波」!」

「数が多すぎて幻術系の効果がうすいわね…はぁ!」

「ナイス回し蹴りだけどおしい!あと少しでパンツが…」

「…喰らいなさい、「闇の侵食(ダークイローション)」」

「ちょまっ!!?俺もここにいますって!優菜さん!」

「凍てつけ、「氷雪吹雪」」

「楓さんまで!?ちょっと待っギャァァァァ」


「……ボスゴブリンが何匹もいるってことだ」


「良くあれをスルー出来ますね…それにこんな騒いでても起きない菫先輩もなかなか…」


「でも勇人、たしかボスゴブリンって縄張り意識が強くなかった?」


「ええ、だからこそ、さらに裏がいるってことですよ……あぁ、あれか」


「…でかいわね」


「おっきいですねぇ…20メートルはありますかね?」


ゴブリン達相手に仁達が無双してる奥の森、木の上から頭をのぞかせるやつがいる


「そのくらいか…ジャイアントトロールだとしたら30〜50メートルはあるはずだからもしかしたら余計に厄介なやつかも知れねぇな…」


「余計に厄介…?」


「亜種、ですか」


「そういうことだな…弥生先輩」


「まかせて……身体強化」


ドッという音と共に一瞬で弥生先輩の姿が見えなくなりドゴンという音と共に木の上に出ていたジャイアントトロールらしきものが見えなくなる


「あっちは弥生先輩で十分そうだな…ボスゴブリンの殲滅、まかせていいか?」


「お安いご用です、では」


…ジャイアントトロールはあの辺だったよな


「ミーヤ、「闇門(ダークゲート)」」「は〜い!」


闇門を抜けた瞬間ドオォォォォオオオンと何か大きなものが倒れたような音がする


「っと、弥生先輩」


「…勇人、こいつ…」


「…ジャイアントトロール…にしては小さいがトロールの亜種にしては…でかすぎるわな……ジャイアントトロールの亜種か?いや………魔族(・・)か」


「!?…キサマ等、何者だ…」


「やはり人の言葉を解するか…このタイプの亜種には良くあるパターンだな。俺はしがない学生だよ。お前は何故こんなとこでこんな事をしている?」


「…言う必要が、あるのか?」


「まあ無いわな。大方自分を受け入れなかった人間どもへの復讐ってとこだろ?聞くまでもない」


「…キサマ等の目的は俺の討伐か?」


「そうだと言えばそうだが違うと言えば違うな」


「はっ、薄汚い人間が俺を討伐か、やれるものなら殺ってみな!」


ドガッ


いきなり立ち上がり拳を振りおろしてくるが、弥生先輩が受け止める


「…さっき膝をつかされたこと、忘れたのか?その程度の知能しか持ってないから受け入れられなかったんだろ」


「……あまり図に乗るなよ、貧弱な人間風ぜガベラッ!?」


「さっきからうるさい」


弥生先輩が顎を下から蹴り飛ばし黙らせる


「それと勇人、さっきの受け入れられなくてとか、どういうこと?」


「…えっと…………この世には、知らない方が良いことは結構ありますよ」


「そう、ならいい…これは殺していいの?」


「構いませんよ、討伐部位は確かあのでかい耳だったはずで『うがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』………仁?」


なんだ?感じたことない魔力……?


「…勇人、行って」


「はい、こっちはお願いします、ミーヤ」「何時でも!」「流石、「闇門」!」





「うがぁぁぁ、があぁぁぁぁ!」


「っ、何だあれは、何があった…」


「勇人さん!」

「勇ちゃん!」


俺が到着すると楓に姉さんが寄ってくる


仁は炎を大きく纏い近くにいるゴブリンから焼き殺している。そのそばで炎が何かを囲うように火柱をたててるな…近づくこともできずにゴブリン共が止まってる…ボスゴブリンはもう残ってるのは二体だけなのは流石琴だが…


「…チッ、忌々しい炎だ」


気分が悪くなる…この炎……まだいたのか


「へ、忌々し…い?」


「いや、何でもない…なんでああなったか、見てた人は?」


「いえ、私は丁度逆を向いていて…」


「私が見た限りじゃ雨沙深さんがゴブリンの攻撃を受けて、急に彼が叫びだしたと思ったらあんなことに…なんていうか、凄い力を感じるわね」


魔力視で仁を視る限りでは左胸、心臓の辺りから今まで感じられなかった全く質の違う魔力が溢れだしている


「…あれは魔方陣か?てことは封印されていた…?それがなにかをきっかけに…いや、姉さんが見た事を考慮すりゃ雨沙深がきっかけなのは間違いないか。だがあれは………あの魔方陣は確か…」


左胸に見える魔方陣は光を発し、少しずつ歪みかけている…ありゃ封印してたものが強すぎて魔方陣を破って出てこようとしてるときと同じだ…


「…勇ちゃん?助けられる?」


「…とりあえず姉さんと楓は近づかないで、多分二人じゃ抑えられない。他にもそう言っといて。あと菫を預かってて……琴!」


菫を姉さんに引き渡しながら丁度最後のボスゴブリンを斬り殺した所の琴を呼ぶ


「はい」


数十メートル離れてたが一瞬でそばまでくる


式札(それ)じゃなくて槍でも剣でもいいから周りのゴブリン殺してくれ。あと仁と俺を勾玉の結界で…いや、殲滅は必要ないや。結界だけでいい、やってくれ」


「分かりました、結界ですね。どのレベルですか?」


「…念のため一番上、八でやってくれ」


「分かりました。少し時間を貰いますね」


「頼む……さてと、(馬鹿弟子)をとめてくるかね…」


「ちょっと菫!痛い痛い!」


…なんだ?菫が姉さんを締め付けて…あぁ、さっきまでのやつか


「…っ!?え、姉さん!??兄さんは…!!?」


「…ここだ菫」


「兄さ痛っ!?」


飛び付いてこようとするのをデコピンで止める


「少し待ってろ、寝坊助」


「う、うぅ……」


…目が潤んでるのは、デコピンの痛みじゃないわな…そうだったら幾分か楽だったものを


「神器発動、八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)……勇人先輩、準備完了です」


勾玉が八個、仁を中心に俺までを囲うように宙に浮かぶ


「了解、俺と仁、ゴブリン共はいれてもいれなくてもいいが他は入れるなよ。みんなも勾玉から出てて」


「分かってます。御武運を……「神召結界」」


勾玉どうしに光が走って繋がり、そこから垂直にうっすらと光膜ができる


「…(あの馬鹿)の胸の魔方陣、持ったとして…数分が限度か。ミーヤ、準備してくれ」「ん〜、憑依(シンクロ)する?」「いや、そこまででしたら触れないから封印をやりにくくなるな…半憑依(ハーフシンクロ)でいこう」「りょ〜かい!」「行くぞ」「うん!」


身体強化をかけ、ミーヤを纏いながら仁の懐に飛び込む


「うがぁ!」


ガッ!


「っ!?喰らえ、闇よ!」


懐に入った瞬間カウンター気味にくる攻撃をガード、後から焼き尽くさんと迫る炎を闇で飲み込み少し距離をとる


「守る…がぁぁ!俺が守る!!!!」


こいつ…


「そういう事は、それだけの力を付けてから言え!!」


「がはっ!?」


身体強化を少し強めにかけ直し鳩尾に拳を叩き込む


「うああああああああああ!!!」


仁の叫びに合わせて炎が辺り一体を飲み込む


「ちっ、ゴブリン焼き殺してくるのはありがたいがこの炎は…」


「俺が!俺が守るんだぁぁぁぁぁぁ!!!」


仁の体に赤い線が走りそこから血が吹き出す


魔力の放出の媒介となってるからか、体への負担が仁の許容量を越えたんだな


「…面倒だ、早く終わらせるぞ……「深淵(デプス)」!」


辺りすべてを飲み込む闇を生み出す最上級魔法


仁とその周辺を除いて炎やゴブリンを全て覆うように広げる


「…ああああ!!うがぁぁぁ!!」


「ちっ、手間かけさせんじゃねえよ!「闇縛り」!」


鞭のように伸ばした闇で仁の体押さえ込み、懐まで近づいて手を仁の左胸に浮かぶ魔方陣に手をかざす


やっぱりこの魔方陣、あいつのにそっくりだ…少なくとも、系統は同じ


魔力を流し込み魔方陣を解析、自分の魔力で無理矢理仁の魔力を押さえ込み魔方陣をさらに強くかけ直す


「ぁ…ぁぁ」


炎が収まったのを見計らい魔法と半憑依を解除する


「…落ち着いたか?仁」


「ゆう…と?………俺、何が…」


「知らん。今は休め、体に影響が出てるからな」


「…?」


痛みは無いのか?いや、一時的に麻痺してる程度だろうな…


「まあいい、とにかく休め」


「悪い…」


倒れかかる仁を受け止める


雨沙深は…無事、寝てるだけだな。仁の炎に守られてたのか……ん?地面に血の跡があるのに雨沙深に怪我がない?


「…さっきの炎、治癒までこなすのか……?」


仁を雨沙深の横に寝かせながら考える



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