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最凶男の自由な余生  作者: 小淵執悲
1章 学園前編
11/148

10話

2016/3/13 修正


「よう、勇人。ずいぶんギリギリだな」


ふぅ、間に合ったか


教室に着くと仁が声をかけてくる


「あぁ、いろいろあってな…」


「そっか。まぁ間に合ってよかったじゃねぇか」


「ほら席につけー。ホームルーム始めるぞー」


そんな少しのやり取りの後直ぐに担任が入ってくる

初日から遅刻とかは流石に印象悪いよな……正直どうでもいいけど義母さんとの約束あるし


「よし、全員いるな。皆期待している通り今日から早速授業が始まる。通常なら午前中は座学、午後は実技なんだが今日、明日は午後に能力値の測定をする事になってる。回り方や順序は個人の自由だが、全校生徒が一斉にやるから混むぞ?2日で10個全部しっかり回りきるように。以上だ」


はぁ、能力値のテストねぇ……良い記憶は無いな


「起立、礼」


先生に指示された先頭の席に座る生徒の号令でしめる

授業に関しても学生が学ぶってのはどんなレベルのものなのかね


「よっしゃ勇人、測定一緒に「六郎坂!」…え?」


仁が振り向きざまにテンション高く誘ってくれたんだがそれを遮るようにでかい声が教室に響き渡る

まだそこまで教室内は騒がしくないんだからもっと小さい声でもいいだろうに


「はい?」


「理事長が呼んでる、今すぐ理事長室に行け」


「了解」


舞さんが?


……ああ、昨晩のことか


「お、おい勇人、お前なにやったんだ?」


「さぁ?とりあえず行ってくるさ」


「お、おう」


こいつは俺が悪事を働いて呼び出されたとでも思ったのかね

まあ完全に否定は出来ないか





……






「それでなんのようですか?」


理事長室に着いたら待っていた舞さんに迎えられソファーに腰を下ろした

開口一番この物言いはどうかと思うがまあこんなものだろう


「えっとね、ひとまずは昨日の事だけど…」


やっぱりあれか……


「誰の依頼かは分かってる?」


「すいません、変に騒がれても面倒で誰に依頼されたか聞き出す前に殺してしまいました」


「そう…となるとまだ次がありそうね。一応結界のレベルはあげといたからそうそう入ってこれるとは思わないけど、用心しといてね?」


「はい」


「それと…」


まだあるのか?


「今日の午後だけど…欠席扱いにして放課後に個人的に測ってもいいんだけど…」


あぁ


「そこまでしてもらう必要はありませんよ。実力を隠したかったらそこそこに。隠す必要ないと感じたら普通にやる、それだけです。俺のためだけに試験をやってもらわなくても大丈夫ですから」


「そう?なら良いんだけど。ま、色々と初めてのことばかりだとは思うけど、まずは楽しんでね?」


それは学園生活をって事で良いんだよな?


「はい。では失礼しますね」





……






「おかえり」


教室に戻ると仁がそんな事を言う

この程度で大げさな、とも思うが


「一応ただいま」


「一応ってなんだよ。んで、なんの話だった?」


「理事長とは昔馴染みでね。挨拶に行かなかったのを怒られた」


ま、本当の事を言う必要もないだろ

舞さんクラスの結界ならそうそう破られないだろうし、もし破られるか侵入されるかしても対処は可能だしな

新年早々侵入者を許したことを言って下手に不安にさせる必要もないだろうし


「へぇ、理事長と知り合いなのか」


「あぁ。それで仁、さっきなんか言いかけてなかったか?まあ測定のことだろうけど」


「あぁ、そうそう、その通りで午後の測定一緒に回ろうぜ?って言おうとしたんだ。お前が理事長室に行ってる間に郡山さんとも一緒に回ることになったぜ」


「あぁいいぞ。というか楓、他の十和家のやつらとかとは回らねぇのか?」


「別にそういう話はあがってないので大丈夫だと思いますよ……もし出たらその時はご一緒しましょうか」


「そ、そうか」


十和家ってだけでも仁にとっては相手し辛いだろうに、もし増えたら可哀想なことになりそうだな


「席につけー」


ま、授業が始まるな

さてさて、どんな事をやるんでしょうかね


「さて、早速だが授業を始めるぞ~」


1限は歴史か……


「んじゃぁ、まず始めに常識レベルの確認からしていこう。私達が今普通に使っている魔法だが、その存在は昔はほとんど知られてなかった。だが、その頃から、いや、それこそかなりの大昔から確かに魔法使い(・・・・)は存在していた。人間のなかでは異能の力として迫害されていたようだがな」


……


「そんでもって、転機が訪れたのは今から約1500年前だ。人間が無理矢理に開拓を進め、元々魔族の住んでいた土地を力ずくで奪おうとした。これが切っ掛けで始まった大世界戦争。その時魔族が対抗手段として使ったのが、私達が今使っている魔法だ」


…………


「その時、人間は魔法と科学の力で対抗した。終始人間側が押されていたが、人間は数が多いのを利用した戦法でなんとかこらえていた。このままだと双方の被害は増えるばかり、そう考え、魔族側が和平条約を持ちかけてきた」


………………


「その和平条約が結ばれたのが今から約1400年前。その後、人間は科学を、魔族は魔法を互いに教えあい、共存の道を選んだ。しかし、その戦争によって住みかを失った多くの魔物がいた。今魔物は世界中のどこにでもいるが、昔は限られた場所にしかいなかったらしい。魔物は今も残る戦争の爪痕、といったところだ」


……………………


「その後世界は科学と魔法が共に進歩し始めた。また、魔族と人間との子が生まれたりとした。今いる獣人はこの時魔物の方が強く表れた種、人間は人間の方が強く表れた種だ。今この世界に純粋な人間はほぼいない。魔力が乏しく、生き残れなかったためだ。だが例外も存在するのは覚えておけよ」


…………………………


「魔族は昔人間と交わらなかったもの達の子孫だな。まあ交わっても魔族があまりに強ければ魔族としての表現型らしいが、ここら辺は生物の時に話されるだろうからこの辺で良いな。むしろここからだが、皆も知っているようにその後の世界で大きな事件が起こった。魔法によるテロだ。新たな魔法という力を手にいれたバカが人間側の軍部を襲ったんだ。まだ魔法を含めた体制が整っていなかったのと、それを行ったのが魔族だけではなく人間や獣人も含まれることが問題になった。それは圧倒的で、科学と魔法の力の差をはっきりと表したらしい」


………………………………


「その事件後、科学に軍事的脅威は無いとされ開発は生活を豊かにする事に重点がおかれるようになった。今の軍事的な事はほぼ魔法が担っている」


つまらんな、戦争時の将軍の名前や魔法の開発で名を残したやつらならほぼ言えるくらいには昔知識をつけた、どこまで踏み込んで授業するかにもよるが


「ここまでがが常識だろう。私の授業では、歴史に名を残した人物などをあげながら詳しく掘り下げていく。まずはるか昔の……」


………ああ、その程度か


受ける意味が無くなったな



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