白い世界01
どこまでも白い世界だ。
ずぅっと遠くまで見ようと、オレはつま先立ちをしてみる。
いや、つま先立ちなんてホントならできないんだけども。したところで、オレの視界が広がるわけでもなし。けれど、相棒がつけてくれたせっかくのイメージ体機能だ、活用しなきゃ恨まれる。
ユーレイのオレが恨まれるってのも、おかしな話だ。
オレはイメージだけでもつま先立ちさせてみた。
やっぱり白い。
あんまりにも白すぎるから、どこまでが地面で、どこからが空なのかさっぱりわからない。
「なあミスト、ここってドコなんだろな?」
オレは相棒に聞いてみた。応えてくれるかな?
だって、オレの相棒、いっつも無口で無表情だから。オレが質問したところで、応えてくれたこともほとんどない。
そんなだから、何考えてるのかなんて、普通のヒトじゃ絶対わからない。
オレもよくわかってないんだろうけど。
今だって、オレの隣でぼぅっ……と突っ立って、風にあおがれるままになってる。何を考えているのだろう。
オレと出会わなけりゃ、今頃、相棒はどうやって旅をしてたんだろな。
「…………」
やっぱし応えてくんない。つか、オレの質問、この白い風に吸い取られて、相棒に聞こえてなかったのかも。
「ミスト――」
言いかけて、オレは黙った。
相棒は、こうやって景色を見るのが好きなんだった。
たとえ、真っ白な世界だとしても、じっと遠くまで見つめて、心にとどめているんだ。
オレはいったん俯いて、また視線を真っ直ぐに戻した。
相棒と同じものをじっと見ていた。