再び西へ M-20
一週間後、私は飛行場で明日香にメールを打っていた。
件名:明日香へ
本文:
この間の件、私なりに考えて一つの結論に達しました。
やっぱり認知なんて認められません。
だから……私は二人の親権を放棄します。達也とほのかを秀一郎とあなたの子供として養子縁組をしてください。
いまなら、普通の養子縁組ではなく、特別養子縁組をすることが出来るはずです。一般養子縁組では、戸籍上縁組の記録が残りますが、特別養子縁組ではそれが残りません。
私の机の上に、私の2人の親権放棄と特別養子縁組にかかる書類を置いておきました。急いで裁判所に行って手続きをしてください。迷わないでください。特別養子縁組は戸籍にその痕跡を残さない分、6歳未満にしか適用されないからです。
そして、あの子たちを名実ともにあなたたち夫婦の子供にしちゃってください。子供たちもあーちゃんが母親の方が絶対に幸せになれると思うし、達也は本来なら結城の跡取りなんだから。母親としてはそういう意識も働いているんだよ。
だから、私の事は気にしないで逆に私たち親子の事を考えてくれるなら、この事に同意してほしい。
とは言っても、私がいるとあなたたちも踏ん切りがつかないだろうし、子供たちも戸惑うだろうから、私は家を出ます。そういう訳なので、探さないでください。心配しないで、私は死んだりなんかしないから。そして、いつか必ずここに帰ってきます。だから、ちゃんと私の言う通りしてないとその時めちゃくちゃ怒るからね。解った?
大好きな明日香へ
未来より
送信ボタンを押した私は、そのまま機上の人となった。




