泣き虫になった訳 2 M-7
お昼過ぎ、ぼーっとしている私のところへ、午前の部を終えた加奈子さんが来てくれた。
「未来ちゃん、調子悪いんだってね」
「あ、今は何ともないです」
「そう?」
加奈子さんは私の返事に、疑わしそうに返事をしてから、
「でも、夕方には私と一緒にお医者さんに行こうね」
と強い調子で私に言った。
「えっ、でもいたくらは?」
「ランチタイム以外は大体修司だけで大丈夫だし、今日はマナに手伝うように言ってあるわ。定期試験が終わったばっかだから……」
「でも、マナちゃんは受験……」
「1日くらいは、息抜きでちょうどいいのよ。それに、マナは愛想人間だから、結構お客様のウケも良いしね。それより私は、未来ちゃんの身体が心配」
「あ、ありがとうございます……」
ただ店にふらりと現れただけの私にここまで優しくしてくれる加奈子さん。そんな加奈子さんを文句も言わずに送り出してくれた修司さんや瞳ちゃんの優しさに、私はまた涙が出た。
「そうなのよ、そういうとこが余計そうだと思うから……」
でも、その後加奈子さんはぼそっとそう、私に解らないことをつぶやいた。
「そうそう、それとコレ」
それから加奈子さんはおにぎりを取り出して、
「どうせ朝から何も食べてないんじゃないかと思って」
と笑った。ホントに何でもお見通し何だなぁ……私はそう思いながら肯いて、そのおにぎりを半分に割った。中身は梅干しだった。たぶん、私の胃の調子を考えてそうしてくれたんだろうけど、実は私は梅干しが苦手。でも、そんなこと言っちゃ失礼だから、私は黙って口に入れた。
「美味しい……」
でも、予想に反してそれはすごく美味しく感じた。酸っぱさが却って心地よく感じた。
「良かったやっと笑ったわね」
そういうと、加奈子さんはマグボトルから味噌汁を取り出し、紙コップに入れて私の前に置いた。
そして、夕方私は加奈子さんに連れられて、近くの病院に向かった。
しかし、連れられたクリニックを前にして私は固まったまま立ち尽くした。
そこは……