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カラダがどんどん改造されるわけ  作者: 739t5378
第1章 カラダが改造されるまで
9/45

第8話 カラダの変化ってなに?

俺は教室の中で、極力目立たないようにしていた。


だってさ、俺の見た目、中一ぐらいに若返ってるんだもん。


そりゃもう、朝見た時はびっくりさ。


こんな非常識、心当たりは一つしかない。



如月さん・・・・。


例のカプセル剤の副作用。



まあ、後で説明してもらうさ。


彩乃には、「バイトの成果だ」とだけ言っておいたが、自分と同い年位の見た目になった俺が嬉しいらしく、「同級生みたいですよぉ」と言ってルンルンで腕組みしながら登校してきた始末。


なんだかなあ。


受け入れるの早すぎだろ。


普通、心配しない?


兄が若返ったら。


しかも、クラスのやつら、誰一人その事に気付いてないし・・・・。


その方が都合がいいけどさ。


そんなに俺って影薄いのか?


しかも、前の席で大あくびをしているこの男。


坂崎慎太郎君。


「お、神崎、イメチェンか?」


イメチェンか?じゃねえよ!


そんな一言で片付けやがって!


背が10センチも縮んだ友人を見て、言う台詞かこの野郎。


馬鹿はほっといて、俺は気になる席を見る


斜め前方をチラチラ見る。


白河は来ていない。


今日はこのまま、来ないんだろうか?


いつも遅れて来たり、早退したりと、忙しいあいつ。


アイドルの仕事、再開したのかな?


いやいや、絶対あいつも俺と同じような目にあってるはず。


同じ薬、飲んだはずだし。


さては、恥ずかしくて学校来れないんだろ。


ふっ、青いな。



・・・・・・・・。



授業中、担任の先生が、「お、神崎」と話しかけてきて、注目を浴びた時はドキッとしたが、


「なんだか、今日は可愛らしいな、お前。イメチェンか?」


と、またしても瞬殺された俺。


けっ、いじけてやる。




そんなこんなで昼休み、俺は食堂に来ていた。


当然、食堂はいつもの如く生徒で溢れ、数量限定の定食にありつこうと食券売り場が戦場と化している。


俺は戦う元気も無く、きつねうどんを購入。


そして食堂の隅っこで、一人ずるずると食べていた。


すると、「ご一緒しても構わないかい?」と、奇特な奴が現れた。


目の前に座ったこいつ・・・いや先輩は、たしか・・斉賀秀一さいがしゅういち



「一人寂しく、昼飯かい?」


「ほっといて下さい。来栖先輩は一緒じゃないんですか?」



馴れ馴れしい雰囲気で話しかけてはいるが、はっきりいって初対面。


何の用なんだ。



「ああ、彼女は事務所で食事中さ。会いたかったかい」


「いえ別に」



そっけなく返す。


人を見下すような態度で話すこいつに、俺は嫌悪感を抱いていた。


ちなみに俺は知っている。


こいつは、来栖美月先輩が所属する事務所の社長、兼マネージャーだ。


なぜ高校生が?って思うだろ?


こいつはとんでもない金持ちってことで有名で、ほとんど金の力で来栖先輩をアイドルデビューさせったって噂だ。


しかも、学園内に仮事務所まで建造しちまった。


な?聞いただけでも気分悪いだろ?



「そんな邪険にしないでくれ。仮にも僕は先輩なのだから」


そう言って、髪を掻きあげるその仕草が、ナルシストな感じで気持ち悪い。



女子には人気あるみたいだけどな。



関わりたくないと思った俺は、さっさと切り上げるべく、


「用がないなら、失礼します」


と、食べかけのうどんを持って立ち上がった。



すると先輩は、「ちょっと待ってくれないか」と言って、


「君は最近、白河真琴と仲が良いらしいじゃないか」


ニヤリとする斉賀先輩。



その言葉にピクッと反応して立ち止まる俺。



「まあ、同じクラスですし、多少は仲良いと思いますけど」



当たり障り無く返すと、「そうですか」と携帯を弄りだす先輩。



「成程。多少仲が良いと、彼女はこんな事もしてくれるんですねえ」


と、携帯の画面を見つめる。



「見たいですか?」


ニヤけ顔のまま俺に問う。



気になるがムカツクので、「結構です」と断る。


しかし、ふふふと気持ち悪い笑みを浮かべ、


「見た方が君の為ですよ、神崎君?でしたよね。写真より、幼い感じがします」


そう言うと、携帯の画面をこちらへと向けた。


そこに写っていたのは・・・・。



「な!?・・・・・」



俺は言葉が出なかった。


予想出来なかったとはいえ、それは人に見られたくないものだった。



携帯には、恥ずかしそうに、俺に弁当を渡す白河の写真。


そう。


これはたぶん、来栖先輩がふざけて撮った、あの時の写真だ。


なぜ、こいつが持ってる。


いや、こいつは来栖先輩のマネージャーだ。


接点はいくらでもあるか。



俺がどう言い訳しようか考えていると、ニヤけ顔の斉賀先輩が話しを続け、


「どう見ても付き合ってる感じですね、二人は。おめでとうございます」


と馬鹿にした態度。



こ、こいつ・・・・。


何をしたいんだ。



「いえ別に二人の愛を邪魔するつもりではないですよ。むしろ応援しようかと」


「どういう意味ですか」


「このまま付き合って、彼女に言ってほしいんですよ」


「何をです?」


「アイドルをやめて、自分だけのものになってくれと」


ふふふ・・と、不敵に笑う。



アイドルをやめろだって?


馬鹿言ってんじゃねえ。


大体、俺達はそんな仲じゃねーし。



「俺が言っても無駄ですよ。ぶっちゃけ俺嫌われてるし」


「成程、白を切ると。まあ、僕は構いませんよ。それならこの写真をネットに流すだけですし」


「楽しいですね」とニヤけ顔をキープしている。



こ、こいつ。


白河を潰す気なのか・・・・?



「ま、どうしようと貴方の自由ですよ。思わぬ収穫につい嬉しくなって、貴方に声をかけてしまった。僕も心配してるんでよ。何でも、白河さんの事務所には色々嫌がらせがあるとか。しかも誘拐未遂まで起きてしまって。いやはや、アイドルって大変なんですねえ」


「て、てめえ・・・・」


「それでは、彼女には気を付けて下さいとお伝え下さい」


そう言い残すと、「ふふふふ」と含み笑いをしながら、この場を去る斉賀先輩。



奴が見えなくなるまで、背中を睨み続けた俺だった・・・。




・・・・・・・・・・・・・・・・・。




放課後――――――――



俺は、如月さんの研究所を目指していた。



まあ最近の、いつものパターンではある。


斉賀の野郎も気になるが、身体の事も知りたい。


しかも、俺は既にバイト代を貰っている。


何も無くても、顔は出さないといけない。



さらに、いろいろ考えながら研究所まで辿り着く。


目の前には壁。


いつものように手をかざす。


すると、ウィーンと予想もつかない音を立てて壁がスライドする。



部屋が現れ、中に入った瞬間、


「あ、神崎く・・・ぷっ、アハハハハなにそれぇ~~。」


白河に笑われた。


口を押さえ指を指しながら、俺を見て笑ってやがる。



「お前だって人の事、笑えねえぞっ。」



そう。白河も幼くなっていた。


見た目中学生の俺に対して、こいつ・・・・。



「ぷっ、クククククククク・・・・・」



「わ、笑うなぁ~~~。しょ、しょうがないでしょぅ・・・しばらくこのままだっていうしぃ・・」



「ぷっ」ダメだ。



こいつ、見た目小学生だよ・・・ぷっ。


しかも、こ、声まで・・・ぷっ・・クク・・妙に高くなって、声変わり前じゃね~か。


面白すぎる。



「な、ななな・・・なによっ! その、哀れむような馬鹿にしたような目線はっ!! そ、そんなに見ないでよぅ~~もぉ~~~っ」



俺の突き刺さる目線を気にして、手で必死に身体を隠す白河。



そんなんで隠れるわけねえだろっ。


超うける。



まあしかし、さすが白河だな。


こんなチビッ子なのに、きりっとした猫目だけが妙に大人っぽいし、


そこがさらに美少女さを強調している。


恐らく、全国のロリ大好き男が見たら、たまらんなこりゃ。



という事で、真実は告げてやらねばならん。



「お前、どう見ても、小学生だぞ」


「!!!! し、失礼ねっ、さっき身長測ったけど、中一の時位はあったんだからっ!!」



嘘付け・・・どんだけチビッ子なんだよ。 



「だからなんなのよぉ~~~、その疑いの目はぁっ。仕方ないでしょ、私、中学の時が成長期だったんだからぁっ」


「もぉー」とむくれながら腕を組んで、そっぽを向く白河。


その仕草は、まさに小学生。



「しかも何だ?そのセーラー服」


なんだか子供が背伸びして、お姉ちゃんの学校の制服着て見ました、みたいな感じになっている。


「ええ~~?これぇ? こ、これは・・・・そのぅ・・中学の制服よ・・・悪い?」



ぷっ、「悪い?」だって・・。


親に反抗する子供みたいな顔で・・・ぷっ。



笑いを堪えつつ、横目でちら見してやると、


「だって・・・私のせいじゃないしぃ~~」と小さくなって、自分の太ももをつんつんしている。



ふふんだ。俺を笑った罪を3倍返しでお見舞いしてやったぜ。



しかし、勝ち誇ったのも束の間。


俺の目は、ある一点に注がれた。



「お、おい白河・・・。手をどけてみろ」



胸に当てた手をどかせる。



そこに現れた、おぞましい光景!!!



「ペタンコ」



「お、俺の・・・俺の、Eの70があああああああ!!!!」



ゲシッィィィィィィィィィッッッ!!!!!



瞬間、額に拳の強打を受ける、俺。


ナ、ナイスストレート・・・。



「ペタンコって言うなっ!! しかも、Eの70って・・・・もぉぉぉぉぉ~~~だから何で君が知ってるのよっ!!」


「お、俺のEの70・・・・・」


ガクッとその場にうなだれる。


「そ・・・そんなの、お前じゃねえ・・・」


「あ、あのねぇ~~、私の胸は君のものじゃないしぃ、しかも、なんでそんなにへこむのかなぁ~~。君ってさぁ、私の胸にしか興味ないわけぇ?」



「バカ言ってんじゃねえよ、俺がそんなくだらない男に見えるか!?」


俺は真顔で言ってやったさ・・。


こいつこそ、くだらない事言いやがって。


「えっ・・・そ、そんな急に怒らなくってもいいじゃない・・・」


ちょっと強気に出ると、すぐに小さくなる白河。


それ以上、小さくなるなよ。


そして俺は言ってやったさ、真の男というものを!



「俺は、お前の牛丼のような胸と、たまに見せてくれるパンツに興味があるんだあああああ!!!」



ポカーンとする白河。


どうだ。


分かったか?男という生き物がっ!



「ふ~ん。君って、私をそういう目で見てたんだ。へぇ~。しかも、いつ私が見せたって・・・・?」


「ほら、言ってみなさいよ」と指ポキポキで近づく、ロリ河。



俺は知っている。



この指ポキは、なぜか蹴り百烈券の合図なのだ。



この後、どのような惨劇が繰り広げられたかは、後日語られる「白河真琴の暴虐」で話す事としよう。



・・・・・・・・・・・。



そうしてぎゃーぎゃー騒いでる俺達の横で、如月さんが何をしていたかと言うと・・・・


ビデオ撮影をしていた。



「あのー、如月さん。俺達の横でなにしてるんですか?」


「撮影中だ話しかけるな」


「話しかけるなって・・・。俺、聞きたい事あるし」


「話しかけるなと言っている。こんな貴重な白河君を見れるのは今だけなんだぞ。一週間もすれば、君達は元に戻ってしまうのだからな」



は、はあ。


俺の聞きたかった事、さらっと言ってくれたよ、この人。


一週間で戻るのか・・・。


そりゃ良かった――――――――



・・・・・・・・。



如月さんに「後は頼む」と言われ、俺は今、ビデオ撮影をしている。


もちろん、ロリ河の・・・。


なんでも如月さんは、奥の部屋で2号(白河クローン)の体内調整だの、言葉を学習させたりだの、忙しいらしい。


「私は忙しい。白河君のクローンを、早く日常生活が出来るようにしないといけない。後、私の妹という設定にするから宜しく」


そう言って、ビデオを手渡されてしまい、今に至るってわけ。


特にその設定については、突っ込んではいない。


なんだか、物凄い張り切ってるみたいだしさ。



じーーーーーーーーーーーーーー。



「いいね、もっと笑って?」


「そんな簡単に笑えないし」


「じゃ、はにかんでみて」


「に、似たようなものでしょっ」



ただ、撮影するのは難しい。



「しかもこいつ、ロリの癖に言う事聞かないし」


「聞こえてるんですけどっ」



全く、面倒な事引き受けちまった。


そういえばこいつ、アイドルの仕事とかどうしてんだ?


まあ、こんな姿、他人に見せられないだろうけど・・・。



「お前、仕事大丈夫なのか?」


「あ、うん。いろいろあったし、しばらく休暇をもらって。まあ、元々仕事キャンセルしてたから問題ないんだけど・・・」


と言って俄然元気が無くなる白河。もといロリ河。


「再来週には、ファーストライブがあるから、ちょっとね・・・・心配かなって」


どうやら、ライブへ向けてのレッスンが受けれなくて、不安らしい。


しかも、一発目で武道館だって話しだから、そりゃ大変だ。


「あ~でも、自宅で振り付けの練習とかしてるから・・・たぶん大丈夫ぅ・・かな?」



くっ、センチメンタルな雰囲気出しやがって。


そういう表情に男は弱いんだよ。


ロリなのに反応してしまう、ダメな俺。



・・・・・・・・・・。


しかし、振り付けっていうと、妹を思い出してしまう。


テレビ見ながら、良くアイドルの踊りを真似してたっけ。


・・・・・・・・・・。


白河を見る。


こいつ、彩乃よりチビッこいぞ。


「お前、彩乃より、ちっこかったんだな」


思わず、話しの流れに関係ない台詞が出てしまう。


「え、うそっ、ほんと!? 彩乃ちゃんより・・・・」


ん? そんなに意外だったか?


「妹もロリっちゃロリだが、今のお前程じゃないぞ?」


「えぇ~、そうなのぉ。ん~~、そうかなぁ~。彩乃ちゃん、彩乃ちゃん・・・・」


なにやら、考え込んで妄想中のご様子。



別にいいじゃねえか、またすぐ元に戻るんだし。



「彩乃ちゃんかぁ~~」



シュッ



あれ?



ビデオカメラに写る白河が消えた。



そして、リアルも居ない。



へ?



辺りを見渡すが、本当に居ない。


俺、今あいつと話してたよな。


普通、話しの途中で消えるか?


いやいや、そういう問題じゃない。


消えた事自体が不自然だろ。


まさか透明になったとか?


「おーい、白河~~~出ておいで~~~」


むなしく響く、俺の声。



どうなってんだ?


可笑しくね?


気配も無い。


念の為、奥の部屋をノックして如月さんに確認するが、居ない。



なにがなんだか、さっぱり分からない――――――――――






所変わって、中等部、家庭科室。



彩乃は、料理していた。


彼女は家庭科部。


そして今日は煮物を研究中。


彼女自身の料理の腕は、既にその辺の主婦に引けを取らないものを持ってはいるが、同じ部員である日向葵ひなたあおいの為に、ちょくちょく得意料理を披露している。


そう、彼女は、煮物や魚料理といった、古風なものが実は得意であったし、自分も好きであった。


大根、ジャガイモ、人参などを切る。


切った野菜はフライパンで炒める。


そして炒めた野菜を鍋に移して、水、みりん、めんつゆを適量入れる。


煮物だが、先に炒める事によって火が通り、時間が短縮出来るのだ。


最後にシーチキンを缶から出し、ほぐさずそのまま投下。


これは、彩乃の得意なスピード料理。ブリ大根ならぬ、シーチキン大根のアレンジバージョン。


「うわぁ、言い匂いしてきたぁ。」


隣で見ていた葵が、感嘆の声を出す。


「うん。後はぁ、しばらく煮込むだけですぅ。向こうで座ってましょ、葵ちゃん。」


二人は炊事場から離れ、椅子に腰掛る。


そして葵がお茶を入れて、なにやら雑談を始めた。



「そういえば、部長こないねぇ。」


「そうなんです。来てくれないと困りますぅ。」


う~んと、考え込む二人。



家庭科部の部長は、もう一ヶ月以上、顔を出していなかった。


加えて、元々少なかった他の部員達も、ほとんど来ない。


結果、ここ家庭科部は、幽霊部員だらけと化し、将来廃部濃厚となっていた。



「なんだか、毎日私の為にお料理してもらって、ごめんね?」


「え?いいよいいよぅ、彩乃はお料理好きだしぃ」


「でも、来年は廃部になるかもねぇ」


「うん。困ったよぅ。新しい人、入ってくれないかなぁ」



そんな事を話していた、その時―――――――――



入り口の前に、一人の女の子が立ちすくんでいるのが目に入った。



そしてその女の子は、「え?ここどこ?うそ、なんなのぉ~~」


となにやら、うろたえている。




白河は思った。




私どうしてここにいるの―――――――――――










第9話に続く。





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