第10話 休日はデート その①
日曜日 朝―――――
俺は今、猛烈に反省している。
朝起きたばかりだが、反省している。
何をかって?
最近の自分の変態っぷりにだ。
自分でも思う。
どうしても、白河を見るとやらしい気持ちになってしまう。
白河だけだぞ。
他の女には、そこまでじゃない。
どうしてあいつだけ・・・・。
これって恋ですか?
いやいや、あいつが天然でイベントを発生させるのが悪いんだ。
そもそも、俺が率先してセクハラしたわけじゃ・・・・若干あるか・・。
でもな、こんな俺をあいつはデートに誘ってくれたんだよ。
こんな変態の俺をだぞ。
マジで嬉しいんだよっ!!
そして、普通に男として見てくれてた事に驚いてる。
だから、今日は絶対にあいつを楽しませてやるんだっ!!
アイドルからの、お誘いだぞ。
たまんね~な、全く。
まあ、ロリなのがちょっとな・・・残念だけどさ。
それでも充分可愛いしなっ!!
「兄さ~~ん、朝ご飯ですよぉ~~。」
下の階から、妹の呼ぶ声。
ん? なんであいつ、こんな早くに起きてんだ?
彩乃も出かけるのかなと思いつつ、寝巻きのままリビングへ。
妹は、いつもの朝の如く朝食を準備している。
「なんだお前、出かけるのか?」
「はいっ!! 兄さんと一緒ですよぉ~~」
目玉焼きをジュージューやりながら、元気良く返事をする妹。
朝からテンション高いなこいつ・・・。
じゃなくて、突っ込むところはそこじゃないだろ。
俺と一緒ってどういう意味?
まさか俺と白河の、甘~~いデートに着いて来る気か?
いや、さすがにそれはないだろ。
じゃあ、あれか。 あいつも今日デートってことか。
「彩乃、お前も今日デートなのか?」
「もちろんですっ!」
そうかそうか・・・。
あいつもやっと、真実の愛に目覚めたんだな。
俺も応援してやらねば。
とか言いつつ、だんだんイライラしてくる・・・・。
あいつ、誰とデートなんだ?
いや、素直に応援したいという一般的な気持ちもある。
けど・・・誰だっ!!
人様の妹に手ぇ出す奴はああああ!!
むむむむう~~~。
ダ、ダメだろっ、折角あいつが普通の女の子として、羽ばたこうとしているのに。
む~、しかし『あいつは俺のもんだ』って気持ちもある。
「あ、彩乃さん? 今日は誰とデートなのかなあ?」
「兄さんですけど?」
ホワッツ? 俺?
「お前と俺がデート?」
「そうですよぉ。昨日の電話、聞いてなかったんですかぁ?」
・・・・・・・・。
聞いてませんでした。
ん~~てことは・・。
「もしかして、今日って三人で行くわけ?」
「いまさらなに言ってるんですかぁ。彩乃を置いていくつもりだったんですかぁ?」
あ、あははははは・・・。
そうだよね~。
白河が俺と二人でデートなんて・・・。
可笑しいと思えよ、俺。
どう考えても、好感度下げまくりだもんな。
いやでも・・・
一応誘ってくれてるわけだし・・・う~む。
既に妹の心配なんて、すっかり忘れている俺だった。
しかし・・・こいつの格好・・・。
もう家を出て、駅へと向かう道中。
彩乃のやつ、めっちゃオシャレしてる。
普段はツインテールの髪も下ろしているし、こいつにしては珍しいヒラヒラのミニスカート。
ちょっとヒールの付いた靴に、白いニーソックス。
そして、フリフリでいっぱいのノースリーブシャツ・・・。
しかも化粧してやがんな、こいつ。
マセてんじゃねぇよ。
いや可愛いよ。
新鮮だしな。
だけどな、こんな気合の入った妹と、兄が一緒に歩いていたらどうよ?
世間的に。
しかも、俺なんか普通にTシャツにジーンズだし・・・。
一応、お気に入りチョイスだけどさ。
ま、いいか。
結局そうなる。
で、いつもの如く手を繋いでくる妹。
いい加減やめろって何度も言ってるんだが、言う事を聞かない。
まあ別に嫌じゃないよ?
いつまでも兄さん兄さんって、甘えてくる妹を嫌いな兄貴なんていないだろ?
だけどさ、これまた世間体ってやつ?
こんなところ、坂崎にでも見られたりしたら・・・・・別にいっかあいつなら。
いやそれよりも、クラスの女子に見られた時の方がやっかいだろ。
シスコンの烙印を押され、影口叩かれるのは目に見えてる。
今以上にモテなくなるのは辛い。
なんとか知人に見つからないよう、祈るばかりだ。
「兄さん兄さん、今日はいっぱい絶叫マシーンに乗るんですよっ!」
楽しそうに、繋いだ手をぶんぶん振る妹。
あれ?
こいつ絶叫マシーン苦手じゃなかったっけ。
確か、だいぶ前に行った時は『やだやだ乗らないですぅ』とか言って、怯えてなかったか?
「お前も乗るのか?」
「頑張ってみますっ!! ・・・あぁ~でもぉ~白河さんと楽しんで下さいねぇ~」
俺を覗き込み、その後「ふふふ」とこっそり笑みを浮かべる、我が義妹。
何か企んでやがるな、こいつ・・。
そんな影でニヤリとされたらバレバレなんだよ。
まあどうせ、大した事じゃないだろ。
程なくして駅に着いた俺達は、電車に乗って、白河との待ち合わせ場所を目指す。
合流ポイントは、3つ先の駅。
白河のマンションからの、最寄駅だ。
電車を降りて、ホームで待つ。
白河はまだ来ていないみたいだ。
まあ、約束の時間まで15分あるからな、そろそろだろ。
5分程、ボ~っと佇んでいたら、妹に電話がかかってきた。
「はい、彩乃ですっ! おはようございますぅ~―――――――はいっ・・・えっ?そうなんですか?・・」
恐らく電話は白河だな。
ちょっと遅れるとか?
「え~でもぉ~・・・・はい・・・ほんとに先行っちゃっていいんですか?」
先行けってかっ。
どんだけ遅れるんだよ、あいつ。
「兄さん兄さん」と、妹が困った顔で俺の手を引っ張る。
「先行けってんだろ?」
「はい・・そうなんですぅ」
まあ妹が心配するのも当然だな。
遠出で遊びに行くのに、先行けってんだから。
でも、実は問題無いんだよ。
あいつは例の能力があるからな。
たぶん、連絡無しのピンポイントで、俺らの前に現れるだろう。
心配顔の妹に、面倒なので大した説明もせず、とりあえず現地を目指した。
少し時間は戻り、白河の自宅――――――
私は悩んでいた。
今日、なに着て行こうかと。
昨日、あらかた中学時代の服は出しておいた。
こうして、部屋にいっぱい並べて、どれにしようか考えているところ。
だってね、絶対彩乃ちゃん、オシャレしてくるもん。
彩乃ちゃんって、凄く可愛いしモテると思うのよね。
だから、一緒にいると注目されちゃうし・・・。
あ、別に対抗してって訳じゃないんだけど・・・。
い、一応・・私の方がお姉さんなんだし、負けたくないっていうか、そのぅ・・。
並べた服を見返す。
どれも、なんだか子供っぽい感じがする。
「彩乃ちゃん、どんな服でくるのかなぁ」
想像してみる。
脳裏に浮かぶ、彩乃ちゃんの可愛い姿。
うん、きっと可愛い系でくるに違いない。
そう思ったのには、理由がある。
実は私も、可愛い系しか持ってないんだよね・・・。
「い、今はちょっと大人っぽいのだってあるんだからっ」
誰に言い訳するでもなく、つい呟いてしまう。
どれがいっかなぁ~~♪
黒いミニスカートを手に取る。
3段カットのフリル。
これなら、ボリューミーでいい感じかも。
ちょっと子供っぽいかなぁ~。
とりあえず履いてみる。
そして鏡の前で、飛んだり跳ねたりクルっと回ったり・・・。
うふっ♪ 可愛いぃ~~。
ミニだけど動いても殆どめくれないし、これにしよっと。
と思ったけど、こっちのパニエもいいなぁ~~。
これだったら、上は・・・・・。
一時間経過――――――
よしっ、完璧っ! 絶対可愛い。
鏡に向かってアイドルポーズ。
うん、満足。
結局、下はシフォンの黒いパニエ。
で、銀の花柄ラメのキャミとぉ~、白いニーソックス。
ニーソックスはピンクのフリル付きだけど、網状だから大人っぽい。
もう一度鏡を見る。
や~~~やっぱりダメぇ~~~~。
なんだか、キャミから露出してる、ブラの肩ヒモが子供っぽい・・・。
う~~~~このサイズだと、大人っぽいのないのよねぇ~~。
恨めしく自分の胸をさする。
これかぁ、どうしよ・・・。
光沢のある、ピンクのブラを取り出す。
着けてみるけど、やっぱりサイズが大きくてパカパカする。
でもこれにしよっ。
しょうがないんだもん。
ちょっと大きいけど、我慢する。
どうせ当ててるだけなんだし・・・。
ふと時計を見る。
「やっば~~~いっ!! 時間ないじゃないっ!!」
急いでお化粧する。
日焼けが気になるから、ファンデして。
リップは薄めで。
う~~ん、幼い・・・・。
当然だけど・・・。
目元を弄りだす。
ラインを入れて、ちょっと吊り上げる感じで大人っぽくして・・・。
・・・・・・・・・・。
はっ!!!
今何時!?
キャァ~~~~~~~~
もうすぐ待ち合わせの時間じゃない!!
急いでバックを片手にかけ玄関に。
そして振り向く。
もう一度、鏡の中の自分を見る。
「あ~~ん、リボン着けてなぁ~~~いぃ」
中学の時、よく着けてた黒いリボン。
あれがないと決まらないのよっ。
探す。 探す探す探す・・・。
でも・・・見つからない。
「あ~~~んどうしよぉ~~~」
どうしよっ、どうしよどうしよ。
どうしても、あきらめきれない自分の性格を呪いつつ、
「電話しよっ」
という結論に至る。
ダメだ、彩乃ちゃんに先行っててもらおう。
ちょっとずるいけど、例のあれですぐ追い着けるし・・・。
彩乃ちゃんに電話して、その旨を伝える。
ごめんね、彩乃ちゃん・・・・・。
結局、準備が整ったのは30分も後だった。
よしっ! いくよっ。
気持ちを集中させ、周りの気配を感じ取る・・・。
すると、ドアの向こう、そして駅、大勢の人達の気配を感じる事が出来る。
「もっと遠く・・・」
彩乃ちゃんを探す・・・。
いたっ!
やっぱり電車の中。
あれ? 見つけたけど、もう一人知っている人の気配を感じる・・・。
「ええ!! なんであいつがいるの~!?」
一緒にいるのは、あの変態。
うそぉ~~~どうしよぉ~~。
でも、今更行きたくないなんて言えないし・・・。
・・・・・・・・。
ちょっと考えて、下着を履きかえる。
見られてもいいように、もう少し大人っぽいのにした。
「ち、違うんだからっ。べ、別に見せる為じゃなくって・・・」
だって、あいつ覗くかもしんないし・・・。
変態だから。
あ、やばっ!
気配を見失っちゃう!!
もう一度集中し、ポイントを定め・・・・
そこにジャンプするイメージを頭に強く浮かべる。
自分の気配が、彩乃ちゃんの隣に現れるのが分かる。
すると「シュッ」という音を残して姿が消える――――――
電車の中、俺は妹と、ドア付近で向かい合っている。
あいにく混んでいて、座る事は出来ない。
ま、別に疲れてねーし。
妹は、携帯を弄くっている。
「白河さん、今どの辺ですかねぇ・・メールしてみますっ」と言って、現在操作中だ。
しかしこいつって、ほんとメール打つの遅いな。
料理や裁縫とか凄い器用なのに、機械的なものが絡むとからっきしダメだ。
未だにテレビの録画失敗して、ぎゃーぎゃー言ってるもんな。
良く解らん。
「ふぅ~~、送信っと・・・」
大した長文送ったわけでもないのに、酷くお疲れの我が義妹。
「ん~~返事きませんねぇ」
今送ったばっかりだろ。
暇なので、心の中で突っ込みをしていると、俺と妹の間に風が起きる。
ん? 変だな、窓開いてねーのに・・。
「うおっ!!!」
突然何かに弾かれて飛ばされる俺。
そのままゴロゴロと反対側の壁に「ゴンッ」と衝突する。
「痛え~~~~、何だよ・・・・」
壁にもたれるような体勢で元の場所を確認すると、俺がいた場所には白河がいる。
なんだあいつかよ・・・。
酷くね? 俺ふっ飛ばして登場って。
しかも、俺がん無視で妹と話してるし・・・。
「彩乃ちゃ~~ん、ごめんねぇ。ちょっと用意に手間取っちゃって・・」
「あ、はい・・って、えぇ!? どうして白河さんの妹さんが・・・」
「え? 妹? なんのこと?」
あ~~しまった。
俺のついた嘘で、会話が噛み合ってないな。
白河にバレるとやっかいだ。
面倒だったが、二人に割って入るか。
「おう、白河。遅かったな」
「あれ? いたの、君?」
おや?
予想以上に冷たい対応なんですけど・・・。
可笑しくね? 一応誘ってくれたんですよね?
「いたの?って、なに言っちゃってるかなー、俺がいたらまずいのか?」
「まずくはないけどぉ、良くもないわね」
う・・・・・冷たい視線を投げつける白河。
ああ、まだあの時の事怒ってるのかなー。
先日の、ブリーフ見せつけ事件。
あれは確かにやりすぎだった。
事実、あれから殆ど口を聞いてなかったもんな・・・。
「で? どうして君がいるわけ?」
「ひゃい!?」
思わず声が裏返っただろっ!
なぜに、誘ってないのにいるの的な・・・
考えて、原因に辿りつく。
お前だろっ!
彩乃をジト目で見る・・・・。
じーーーーーーー。
対する彩乃は、そっぽを向いて、鳴らない口笛を吹いている。
「あ~~や~~の~~」
「てへっ」
てへっじゃねえよ!
可愛くはにかんで、舌出してんじゃねえっ!!
「はぁ~~。 彩乃ちゃんが誘ったんだ・・」
「・・ぁ・・はいぃ。 嫌でしたかぁ?」
思いっきり甘えた口調で、白河に問い返す妹。
自分の武器を最大限に生かしているな。
なかなかに腹黒い。
さすが我が義妹。
そんな調子で妹と白河のやりとりが続き、やっと存在が認められる俺。
そこまでしないと、同行出来ないのかよ・・・。
しかし、ふと気付く。
「白河、お前って無賃乗車だろ」
「・・・あ・・・・」
今気付きましたとばかりに、ビクッとする白河。
しかも、実はさっきからずっと注目の的なんですよ、俺達。
そりゃそうだろ、突然女の子が現れたんだ。
まあ、吹っ飛んだ俺が目立ったから、気付いてる人少ないみたいだけど。
でも対面にいる女の子グループは、ひそひそこっちを見ながら、ずっと何か話してるし・・・。
「あ、あははははぁ~~。じゃあ私、先に行ってるね」
ヒラヒラと手を振る白河。
ん? その右手でヒラヒラさせてるのって・・・・まさか・・・。
「お、お前・・・その手に持ってる物って・・・」
「え?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
白河が、慌てて持っていた物を広げた。
そしてそれが何なのか、はっきりと分かる。
ピンクの布地に、黒い水玉模様。
間違いなくそれは、『パンティー』
一瞬場が固まる・・・。
もうそれは、対面の女の子達をも巻き込む静寂・・・。
そして目が合う俺と白河・・・。
「キャ・・キャアーーーーーーーーー!!!」
本気で叫びやがったっ!!
「バ、バカお前っ、こんなとこで叫んでんじゃねえっ!!」
「し、知らないわよっ! この変態っ!!」
ゲシイイイイィィィィィッッ!!!!!
パンツ握り締めた手でグーパンチされる俺。
そして勢い余って後ろによろめき、ちょうど開いたドアのせいでホームに投げ出される。
なんてタイミング。
「痛ててて・・・・」
そしてドアが閉まり、行ってしまう電車・・・・。
何度も言うけどさ、酷くね?
朝も言ったよな、俺。
案の定、早速イベント発生ですよ。
今の見ただろ?
絶対、俺のせいじゃないよな。
普通さ、パンツ手に持ち歩いてる美少女なんているか?
いたら会いたいよな?
ここにいるぜ。
・・・・・・。
置いてかれちまったな・・・。
それでも、俺はヘコみつつ次の電車に乗って目的の駅まで着いた。
そこには、ホームでボツンと待つ妹の姿。
「あ、兄さ~~ん」
こっちですよぉ~と手を振る我が可愛い妹。
はあ~~癒されるぜ~~。
妹と合流した俺は、目的地まで歩く。
白河は、電車が着いたと同時に、消えてったらしい。
先に行って待ってるんだとさ。
便利なやつ。
駅の前で待ってりゃいいのにな。
「兄さんっ、白河さんに妹さんなんて、いないじゃないですかぁ」
そういえば、そんな事もあったっけ。
「あっはっは~~、ジョークジョーク、気にするなあ」
「もぉ~~彩乃に嘘ばっかりつくんですからぁ」
ちょっとムクれているが、怒ってはいない我が妹。
さすが彩乃さん、お前のそういう所が好きだぜ。
「でも不思議ですね、白河さんも幼くなってるなんて」
ボソっと呟く彩乃。
だよなー。
説明が面倒くさかったが、俺と同じで『実験の効果』だと伝えると、
「へえ~そうなんですか」
と、相変わらず動じない我が妹。
もう少し驚いてくれないと、こっちが拍子抜けなんですけど。
そのまま二人で、だべりながら歩くこと15分。
目的地付近に到着。
遠目に白河を見つけると、向こうも気付いたらしく、次の瞬間には目の前に「シュッ」と現れる。
使いまくってんな、そのスキル。
俺はつい周りを気にしてしまう。
「遅かったじゃないのぉ~~」
いやお前が早いんだし・・・とは言わず、「おう」と挨拶してやると、後は妹にまかせる。
まだ微妙に怒ってるからな、妹のほんわかパワーで柔らかくしてもらわねば。
前を歩く二人を眺める。
既に電車の中から気になってたけど、白河の私服がめっちゃ可愛い。
いや、白河が着るから可愛いのか・・。
しかも化粧してるみたいで、幼いくせに妙に色っぽくなりやがって。
ロリなのに、俺をドキッとさせるなよ・・・。
そのままボケ~と、白河ロックオンで歩いていたら、なにやら二人が立ち止まる。
「あん? どうした?」
「兄さん、はいっ」
手を出されたので、そのまま手を繋いでやる。
「ほらぁ、白河さんもですよぉ~~」
「えぇ~~無理だよぉ~~、勘弁してよ彩乃ちゃ~~ん」
空いてる手で、白河を引っ張る妹。
へ? 何がどうなってんだ?
「ダメですよぉ、そんな子供の姿なんですからぁ。迷子になったらどうしますかっ!」
「でもさぁ~~携帯とかあるしぃ~」
「ダメったらダメですっ! 世の中には、怖い男の人がいっぱいいるのですっ!!」
きっ!と白河を睨む、我が妹。
珍しく気合入ってんな、どういう事?
「うう~~~、分かったわよぉ~・・・」
何だか、赤い顔で近づいてくる白河。
そして俺の隣に来て・・・・え?え?
そっと手を繋いでくる。
えええええええええええ!!!
全身が身震いしてしまう俺。
「ちょ・・ちょっとぉ!変な動きしないでよぉ~~」
「・・・は・・はい・・すみません・・」
な、なんですかこのシュチュエーション。
左手に我が義妹。
そして右手には、ロリ化したアイドル。
なぜかそのまま進む俺達。
妹は、鼻歌まじりで手をぶんぶん振って楽しそうだ。
白河は、俯いて表情が分からない。
しかし、やばいのは手だ。
何がやばいって、妹は普通に手を繋いでるだけだけど・・・
白河は、なぜか恋人握りなんですよっ!!!!!
俺からじゃないからなっ!
こいつが自然にそう握ってきたんだよっ!!
指と指の間に感じる、柔らかい感触・・・。
初夏の暑さで、薄っすらにじむ汗・・・。
や、やべええ~~~~~~
ドキドキしてきたあ~~~~
たかが、手を握ってるだけでなんでこんなに・・・。
ま、まあ妹以外とこんな状態になるのは、初めてだけどさ。
あ・・・さらにやばい・・・。
Hイベントでもないのに、俺の砲台がマックスパワーに・・・。
ど、どうするどうする・・・・。
頼むっ!!
俺のジーパンよっ!その姿を覆い隠してくれたまえっ!!
天に祈りを捧げ、前屈みで歩く俺。
「神崎君? 大丈夫ぅ? お腹でも痛いの?」
普通に心配して、横から見上げる白河。
大きな猫目が、俺を見つめる。
ダ、ダメだ・・・今のお前は、可愛さ10倍界王券だ。
ロリなのに、ロリなのに・・・・・
めっちゃ可愛いんですけどっ!!!
こ、これ以上は、身体がもたんっ。
きっと第三者から見たら、小学生に反応している変態にしか見えないぞ。
でもな、中身は白河なんだよ~~~~。
心を落ち着かせようと、妹を見る。
妹は、俺の股間を見つめて顔を赤くしている。
え、ええと・・・彩乃さん?
ダメですよ、そんなところ見てちゃ・・。
すると、ふいに俺を見上げて、ニヤっとする我が妹。
げっ!!
妹に、そんな目で見つめられる兄って・・・・。
お、お前でこうなったんじゃないからなっ!
誤解しないでくれっ!!
その後入場するまで、一言もしゃべれない俺だった・・・・。
その②へ続く・・・・