星は散る
苦しい。
時刻は深夜。僕は今自室で寝ているだけなはずなのに、寝てるだけでは感じようもなさそうな苦しさに襲われている。
薄目を開けると、薄暗い室内がぼんやりと見える。
ベットの天蓋と…あと、人影。
そう、僕は首を絞められていたのだ。苦しい、苦しい。
誰かが、僕のベットに入り込んで、僕に跨って、今まさに僕の息の根を止めようとしている。
「な、んで…?」
気がついたら問いかけていた。その人影に見覚えがあったから。見覚えなんてあってほしくなかった。しかもその正体がわかるほどに見覚えがあるなんて。
「ど、うして…きみが、…」
ぎゅうう…と、僕の喉を絞める手がより一層強くなる。
「っが…ぅ…」
呻き声が喉から漏れ出る。苦しい、痛い、苦しい。
僕はこんな状況になっても、目の前の君を憎めていなかった。今まさに殺されようとしていると言うのにも関わらず。僕はまだ君をこれまでずっと優しくしてくれていた君と切り離せていない。
端的に言ってしまえば、君が好きだった。そうだよ、愛してたよ。
僕の口からそれを伝えることは終ぞ叶わなかったけど。大好きだった。君だけが僕をちゃんと見てくれてた。
それも全部、嘘だったの…?本当は僕を、ずっと殺したかったの?
ごめんね、ごめんね。君がどれだけ僕を憎んでいても、どうしても僕は君を嫌いになれない。ごめんね。
ああ、もう一度君に触れたい。僕は手を伸ばした。どうしようもなく腕が重い。それでも、どうしても、触れたかった。もう一度でいいから、もう一度だけ…
「ごめんね…」
僕の目から涙が溢れた。体が強張る。もうすぐ死ぬと、本能で理解する。それでも僕は手を伸ばそうとするのをやめなかった。
ふに、と、ほおに手が掠った。触れると言うより指先が軽く掠っただけだった。
全身の力が抜ける。視界が狭くなる。上げていた手が、ベットに放り落ちた。
最後の最後に見たのが君でよかった。でも、僕には分からない。どうして君がそんな顔をするの?
ごめんね。僕にはもう、何も、分からないんだ…




