エッセイ・短編 命・言葉・愛・感謝・希望等をテーマにした作品です
『ありがとうは、魔法の言葉』
ありがとうは、
魔法の言葉。
目の前の誰かに伝えることもできるし、
もう会えない誰かへ、心の中で手渡すこともできる。
気づいたとき、
胸にそっと浮かぶ——
たとえば、蛇口をひねれば出てくる水。
何気なく通る道に灯る、夜の明かり。
日々の食卓に並ぶ、ごはんや野菜。
それらはみんな、
誰かが見えないところで手をかけてくれたもの。
誰かが「大丈夫」と、見守ってくれた結果。
当たり前に思えることの中に、
ほんとうは、無数の「ありがとう」が眠っている。
気づけたその瞬間、
たとえ言葉がなくても、
私たちの心は魔法を知っている。
ありがとう。
たった五文字で、世界が少し優しくなる。
たとえ、言葉にならなくても——
そっと差し出した手。
何気ない微笑み。
ふいにこぼれる涙の中にも、
きっと「ありがとう」が棲んでいる。
だからこの言葉を、
今日も小さな魔法として、
大切な人に、手渡していきたい。
拙文、読んで下さりありがとうございます。