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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

彼女は僕の希望だった

作者: nap

なんでこんな作品書いたんだろうって思ってます。

バットエンド注意です!

ハッピーエンドが書きたかった…

『次のニュースです。本日、○○市○○区の踏切で女子高生が死亡する事故が発生しました。警察は自殺の可能性も視野に入れ、調査を続けています。……』



そんなニュースが家に帰ってきたばかりの僕の耳に入ってくる

気になってテレビを見るとそこに映っていたのは、僕のヒーローで、憧れで、大好きな彼女の顔だった



「え…」



彼女の顔が映っている。死亡事故のニュースで

それはつまり…



それに気づいてしまった僕は混乱した

なんで今日なんだ

明日は一緒に星を見に行く約束だったじゃないか!

ずっと楽しみにしてたのに…



辛い日々でも僕と一緒なら頑張れると言ってくれたじゃないか…





ー・-・-・-・-





彼女は、太陽のように明るい人だった

いつも笑顔で、周りの人に温かさを分け与えられるような、そんな人



初めて会ったのは高校の入学式の日だった



小学校から中学校に上がるのとは違い、周りにいるのは初対面の人ばかり

そんな中でも自分から積極的に話しかけて仲良くなろうとしている彼女の姿は、日陰者の僕にはかなり眩しく思えた



自分から話しかけるなんて僕には無理だななんて思っていると、彼女が話しかけてくる

今思い返すと彼女は全員に挨拶をしていたのだから当然のことなのだが、当時の僕は話しかけられることなんて想定していなかった



容姿端麗な顔なのに冷たさを感じさせない暖かな笑顔、アーモンド型の綺麗な瞳、女性にしては少し低いがずっと聞いていたくなるような声



彼女のすべてに魅了されて固まってしまった僕の名前を呼びながら、彼女が大丈夫かと呼びかけてくる



「あぁ、大丈夫。よろしく…」



あの時の僕はそんなふうに返すのが精一杯だった



あとで彼女に聞いた話だと、この時の僕の顔は赤くなっており、熱があるのでは?と思ったらしい。恥ずかしい…



ともかく、この瞬間から彼女は僕の憧れになったのだ





ー・-・-・-・-





僕が本格的にイジメられ始めたのは1年生の夏休み明けだった

1学期の時からクラスの陽キャグループにからかわれて笑われていたのだが、僕はそれを無視していた

それが気に食わなかったのだろう



夏休み明けに教室に行くと、僕の机の上には教室の棚に置かれていたはずの花瓶が置かれていた

なぜ花瓶が僕の机に置いてあるのか不思議に思い手に取る



夏休み前に僕のことをからかってきていた陽キャグループの方からクスクスと笑い声が聞こえてくる



あぁ、あいつらか



こんな絵にかいたようなイジメをする奴がまだ存在したのかと、妙に感心しながら花瓶を棚に戻す



「おもんな」



そんな声が背後から聞こえた気がした





ー・-・-・-・-





そんな日から始まった2学期は文字通り『最悪』であった

日に日に増えていく机のラクガキ、物がなくなるなんて当たり前、空き教室に閉じ込められる、飯を食っていればぶつかられて落とされる…etc.

ありとあらゆるイジメを経験したと思う



クラスメイトは仲良くもないやつを助けて巻き込まれるのを嫌ったのか遠巻きに見てるだけ

担任は僕を犠牲にしてバランスが取れている今の状況を黙認することにしたらしい



そんな教室で周りの奴らが全員敵に見えていた状況では気づくことができなかったけど、人の笑顔が好きで、人が辛そうなのを見て見ぬふりをできない彼女だけは、陽キャグループに直接注意したり、担任に直談判していたらしい



そのことに僕が気付くことになったのは空き教室に閉じ込められて困り果てていたときに、勢いよく開いた扉の先に息を切らした彼女の姿を見たときだった



肩で息をしながら僕の名前を呼ぶ彼女、その姿に僕は救われた

いじめられていた僕に手を伸ばしてくれた彼女は、僕のヒーローだった





ー・-・-・-・-





空き教室で初めて彼女ときちんと話した



彼女は閉じ込めるのは監禁罪で犯罪だと怒ってくれた

そして、クラスメイトや担任に一緒にイジメを止めてくれるように頼んだがダメだった

自分の力不足でこんなことになってしまったと泣きながら謝ってくれた



この頃の僕は心が麻痺してたのだろう

彼女がこんなにも感情を出しているのを見るのが初めてだった僕は、太陽みたいな人にも負の感情があるものなんだと、そう思った



そんなどこか他人事で平気そうな僕を見て、彼女はさらに泣いてしまって困ったことをよく覚えてる





彼女はひとしきり泣いた後に恥ずかしそうにはにかみながら絶対になんとかすると約束してくれた



そんな彼女はやっぱり太陽のようで、僕の心は少し温かさを取り戻せた気がする





ー・-・-・-・-





絶対になんとかする

その言葉の通り、1週間後には僕に対するイジメはなくなっていた



本気になった彼女は校長先生に直談判

主犯だった陽キャグループの生徒は数週間の停学、見て見ぬふりをしていた担任は厳重注意となった



校長先生は担任と一緒に僕に頭を下げて、二度とこんなことは起こさないから警察だけは勘弁してほしいと懇願してきた



どうやら彼女は校長先生に対して何とかしないと警察に通報すると脅しをかけたらしい



こうして僕の最悪の2学期は幕を閉じた





ー・-・-・-・-





最悪の2学期が幕を閉じ、同時に始まったのは『最高』の日々だった



朝、教室に入ると彼女だけが笑顔で挨拶してくれる

それだけで一日が華やかにはじまる



一人で昼食を食べていると対面に座って、一緒に食べようと誘ってくれる

おいしそうにご飯を食べる彼女を見ていると、ただの菓子パンのはずが普段よりも何倍もおいしく感じられた



放課後には必ず名前を呼びながらまたねと言ってくれる



担任が何を思ってか、席を近くにしたのもあるのだろうか

授業でペアを作る時も積極的に組んでくれた



彼女にとってはなんてことないことだったかもしれないが僕にとってはとても特別に感じられた



そんな最高の日々も長くは続かなかった

停学していた陽キャグループが復学する日がきたのだ





ー・-・-・-・-





最高の日々に浮かれて陽キャグループが復学する日なんてことは忘れていた僕は教室について驚くことになる



僕のクラスで廊下まで聞こえる声で誰かが口論している



恐る恐る教室に入ると、彼女の席の周りともう一つ人だかりが出来ている

不思議に思った僕は彼女に声をかける



彼女は僕に気が付くとおはようと挨拶をしてくれたが、その顔はいつもの笑顔ではなかった

同時に彼女のことを気遣うように寄り添っていた女子が事情を教えてくれた



彼女が友達と登校すると机の上に花瓶が置かれていたのだという

誰がこんなことを!動揺する彼女たちの次に笑いながら教室に来たのは、今日復学した陽キャグループだった



話を聞いてもう一つの人だかりを見てみると、陽キャグループに担任がお前らの仕業だろうと詰め寄っていた

陽キャグループは必死に無罪を訴えているが周りの視線は冷たい



結局、陽キャグループの方が彼女達よりも教室に来るのが遅かったことなどから犯人は別だろうということになった





ー・-・-・-・-





次の日、学校に行くと彼女は泣いていた

今日もまた彼女の机に花瓶が置かれていたのだ



ざわついている教室に陽キャグループが入ってくる

彼女の友達がなぜこんなことをするのか陽キャグループに詰め寄っている



昨日と同じように否定する陽キャグループ

誰かが担任を呼びに行く

担任に連れていかれる陽キャグループ



彼らは1時間目の予鐘がなっても帰ってこなかった



花瓶を教室に置くことは禁止となった





ー・-・-・-・-





次の日、彼女の机は暴言で埋め尽くされていた



教室に陽キャグループはいない

どうやら彼女の机を囲んで何かしているところをクラスメイトが発見、担任に連れていかれたらしい





ー・-・-・-・-





彼女は学校に来なかった





ー・-・-・-・-





放課後、僕は彼女の家にきていた

プリントを渡して帰るだけのはずが、なぜか彼女の部屋にお邪魔していた



彼女は最初こそ気丈にふるまっていたが、そのうち弱音を漏らし始め泣いてしまった

なんでこんなことをするのか、誰がこんなことをしているのか、陽キャグループの様子は噓を言っているようには見えなかった、じゃあ他のクラスメイト?それとも?



自分にされたことも辛いのだろうが、優しい彼女だからこそだろう、誰かを疑うのも辛そうであった



そんな彼女を見ていられなくて



「僕がなんとかするから、泣かないでくれ」



あの日彼女が僕を救ってくれたように僕は彼女に約束するのだった





ー・-・-・-・-





現実は非情である

明るく、社交的であった彼女と違い、僕には友達がいない



そして僕の時とは違い犯人が明確になっていない

彼女と約束したにもかかわらず僕は何もできなかった



僕が手をこまねいているうちに事態は悪化してしまう

彼女の自作自演であるという根も葉もない噂が広まってしまうのだ



最初は信じていなかったクラスメイトも徐々に信じ始めてしまう





ー・-・-・-・-





彼女は登校するようになったが、彼女の周りに居た人は少しずつ減っていた

彼女が笑顔で挨拶しても嫌そうにする人が増えた



イジメはなくなっていたが、彼女の笑顔に影が差すようになった

そんな彼女を少しでも支えたいと思ってなるべく一緒にいるようにしていた



2学期が終わるころには彼女の周りに居るのは僕だけになっていた



結局犯人を特定することも、噂を払拭することもできずに冬休みを迎えてしまった





ー・-・-・-・-





冬休みの間、僕は彼女とずっと一緒にいた

昼は一緒に出かけて、夜は抱き合って眠る



最初の頃は彼女の両親に嫌な顔をされたが、僕と一緒にいると彼女の笑顔がかつての太陽のような笑顔に戻るのを見たら何も言えないようだった



元旦、人気のない神社で初詣を済ませたあと、僕は彼女に愛を誓った



僕だけは一生君の味方でいると

これから何があっても互いに支えあっていこうと



彼女は泣きながら、でも太陽のような笑顔で受け入れてくれた



ー・-・-・-・-





新学期が始まって2人で登校する

学校でも家でもずっと一緒

周りの視線は冷たかったが、僕たちには関係なかった





ー・-・-・-・-





バレンタインデーに彼女が星を見に行こうと提案してくれた

学校をサボって県外に旅行に行こうと



悪いことを提案する彼女の顔がすごく素敵だった





ー・-・-・-・-





事故から1週間



この1週間、僕は入院していた

ニュースを見たショックで気を失い倒れた僕は、頭を打ったらしい



退院してすぐに僕は花を買って事故現場に来ていた



1週間、病院のベットの上で散々考えた

なんで君が自殺してしまったのか



ちゃんと君のことを幸せにできていたはずなのに…





ー・-・-・-・-





遮断機が下りる



警告音がけたたましく鳴り響く中、彼女の亡霊の口が動く



『き・み・が・は・ん・に・ん・だ・っ・た・ん・だ・ね』



あぁ、そうか、気づいてしまったんだね



花瓶を置いたのも、机を暴言で埋め尽くしたのも、噂を流したのも



全部『最高』な日々を守るためだったんだよ


電車が迫る





ー・-・-・-・-





『次のニュースです。先週事故のあった踏切でまたもや事故です。』

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