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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

白銀の国物語シリーズ

両思いになったらしぬ呪い『BL』 少女セシリアの恋人への備忘録

作者: 大福

人間界、天界、龍界、鬼界がある、白銀の国を舞台にした物語。ファンタジー、異世界、短編

少女目線のBLです。ご注意ください。

愛してると言ったら死ぬΩを愛したアルファと番い契約するオメガの話し【 BL】【オメガバース】と関連した作品です。

私の恋人は両思いになったら、相手がしぬ呪いをもっている。


『すき』といったら、車にひかれた。

全治一カ月。呪力治療により顔の傷はなくなった。

あぁ…別れたくないけど別れ話をしよう。


貴族出身なのに、『モナーク』は広大なあの邸宅には住んでいない。


スラム街の雑居ビルの谷間に元恋人の部屋がある。貴族出身なのに、彼は広大なあの邸宅には住んでいない。

セシリアも高額な学費を払う私立の高等学校の生徒だ。一人で国境ギリギリのスラム街になんて来れない。

送迎の車で無理やり狭い路地裏にある裏ぶれた雑居ビルにやっきた。

一階は庶民的な定食屋だ。

おそる恐るのぞくと、女将が顔もみないで声をかけてくる。


彼の本名はモナートだ。

強力な呪い付きの彼を、周囲は畏怖を込めて『モナーク』とよぶ。

意味は君主や国王を意味する。

彼は女王白薔薇の一番の側近だ。


「モナートはいないよ。階段で1番うえの部屋に登りな」敬称のモナークじゃなく、本名であるモナートで、呼んでいる。

彼はスラム街の住人に好かれているらしい。


「有難うございます。」

静かに返事をするとセシリアは慣れない階段をあがる。モナークはいつも優しくて下校後は転移術式であの部屋に運んでくれた。


だから、この煤けて剥がれたコンクリートの階段は初めてだ。錆びついた手すりをつたいながら、上へと上へと登る。

かすかに、いつものドアは空いていて、誰かの低い鼻歌が聞こえる。

「お前がセシリアか?」

ドア空けても無いのに声が届く。


モナークがお気に入りの長椅子に黒髪の紫の瞳の長身の男が本を読みながら寝そべっている。鍛え抜かれた体躯は常人じゃない。

首にシルバーのタグをつけている。

「あなた軍人ね」


「答えろ。お前がセシリア・ロードか?」


「えぇ。そうよ。モナートに物を返しに来たの。そのタグ。貴方、ヴァルトロメオ侯爵家の軍人の証しじゃない。モナートの政敵の私兵がなんでいるの!」


「あいつは、いまヴァルトロメオ侯爵家の軍門一人だ。俺はモナークの幼馴染だ。

アイツは、親父のソル卿と揉めてから、ヴァルトロメオ派に鞍替えしたんだよ。それを教えなかったのか…宮廷の外で、学生生活を満喫したかったんだな。部屋に入れよ。お嬢さん」


見た目とは違い、静かに話す青年は軍人特有の剣呑さがない。毒気をぬかれてしまい、言われた通り部屋にはいる。


すぐ逃げれるようにドアは微かに空けておく 

珍しい紫の瞳がマジマジと見つめてくる。 

「何よ。顔に何かついてる?」


「モナートがあんたの顔の傷が治ってるか確認してほしいってな。綺麗な顔に赤髪の長身の巨乳。アイツの好みのど真ん中だな」


乱暴な言葉づかいなのに、何故か嫌な気持ちにならないから、不思議である。


「怪我をしちゃったから、女王白薔薇のお姉さん……キャサリンさんの代わりにはならなかったけど」


「キャサリンの代わりには誰も慣れねぇよ。あの人は半龍族、唯一の生き残りだった。」


キャサリンはモナークの初恋の相手だ。

自分の恋人に死んだ初恋の相手の話をするか、、、相変わらずデリカシーがないな。と、男はため息まじりに話す。


「元恋人だから、荷物を返しにきたんだけどね…」

セシリアは手に握りしめた鞄の蓋をあけて、荷物を差し出す。


「あいつ…申し訳なくて会えないってよ。好きになってごめん。だと」

音は長椅子の上でぶっきらぼうに告げる。

不機嫌そうにする姿は大型の猫科の猛獣を連想させた。

いつも優しげなモナートに、強面の友人がいるなんて珍しい。


「そう。モナートが呪い付きだって分かって付き合ったんだもん。このぐらいの怪我は気にしない。治癒術式ですぐに治ったは。むしろ、私の親が新聞社にリークして、王宮にデモ隊がいくなんて、、、」


セシリアは目線を下におとした。

口に出すのも嫌だ。悔しくて唇をかむ。


「お前の親父さん、いま儲かってないんだろう。

1人娘をだしにして賠償金をがっぽり貰う算段に、モナートがハマっただけ。自分をせめんなよ。」

男がセシリアを慰める。

「でも……!」

セシリアは悔しかった。自分が「好き」って言ったことでモナートが傷ついた。


「お嬢さん。アイツに本気だったんだろう?」

優しげな眼差しを向けられた。

この男は何処まで自分の事をしっているのだろう。軍門の名家、ヴァルトロメオ家の軍人だとしたら、何もかもお見通しだ。優れた諜報機関を持っている。

「セシリアでいいわ。馬鹿にされてる気がするから、、、両思いにならなかったら、モナートに迷惑をかけなかったのに」

セシリアの目から涙がこぼれた。

親にも友人にも言えない感情が、不思議と男の前では吐きだせた。


「泣くなよ。モナートが誰かに本気になるのは、滅多にないから。

それも覚悟の上だろ。そのヘアバンド、何かわかるか?賢者の石を装身具にして恋人におくるとは恐れいった」


「これを返しに来たんだけど!賢者の石ですって!あと、本も!」


男の発言に目を剥いた。そんな、とんでも無い物を持たされていたとは。


「その本は、ソル公爵がモナートの誕生日に送った本だ。それに、王宮で窃盗がおこなわれたとか、、、研究所がひっくり返るほど騒いでいた。こんなところにあるとはね。あいつの本気はわかっだろう?別れないでやり直せば」


「できないわ。親が何をしでかすか分からないし」


「そんな親は捨てちまえ。邪魔な奴は捨てろ」

セシリアの胃がキリキりと痛い。

捨てられたらどんなに良いか。


「私は親を捨てれないわ。恋人と別れると決めたの。モナートは優しいから、また、恋人に戻れるだろうけど。私はそんな弱い私が嫌なの。

今より強くならなければ、ずっと彼の足をひっぱるだけ。モナートに伝言をたのめる?」

声をはりあげて強く決意を宣言する。


「いいぜ。つたえる」

「ありがとう。ごめんなさい。って…最後に軍人さん。貴方の名前を聞いていい?」

モナークへの恋心を振り切るように男を一瞥する。


「アレクサンダーだ」


「アレクサンダー、もう会うことは無いわね。

貴方、モナークのこと好きでしょう?」

男の様子にセシリアは、ある推測をした。

モナークは女の子が好きで、周りに男性をよせつけない。邪険に邪険にする。

多分、この男もそうされているはずだが….どうも、自分の知らないモナークをしっているらしい。


「はっ!無類の女好きが。男を好きになるかよ。」

鉄面皮の男が慌てる。

図星だ。

アレクサンダーは咳き込みながら、続ける。

「ヘアバンドはやるってよ」

「記念にもらっとくわ。真っ赤になってるのは、図星ね。ここは東の都よ。同性婚もできるんだから!モナートのこと宜しくね。いま押せば付き合えるかもよ。じゃ、さよなら」


本をアレクサンダーに投げ渡す。

セシリアは、車のエンジン音がする階下をかろやかに降りていった。

足音が消える。


すると、部屋の壁が歪んで金細工のような少年が現れた。呪力でモナークは隠れていた。


「いい子だな。本当に別れてよかったのか?」

アレクサンダーは呆れた眼差しをなげる。

戦友の恋愛の仲裁を頼まれるのは、今後、一切お断りしたいと顔に書いてある。


「いま僕に聞く?追いかけたいのに!」

モナートの顔は涙と鼻水で、ぐちゃぐちゃだ。


「顔…治ってよかったな。美人だったじゃん」 

「あたり前だよ。僕の恋人だった…過去系になっちゃったよ」

面食いにも程があると、アレクサンダーはため息をつく。


「未練たちきれよ。また両思いになったら、呪いの効果で事故るぞ」


「もう、セシリアのほうが断ち切ってるよ」

未練たらたらなモナークである。

涙と鼻水を引きずって、恋人を振ることもできない優柔不断な男だ。


この国の戦力の半分を支える強力な呪いつき『千本腕のアリス』を従える男にはみえない。


そこには、年相応の、不恰好で不器用な同い年の少年が恋に敗れて泣いていた。


それが、たまらず愛しくてなってた。


「じゃ、俺たち付き合わないか?」

アレクサンダーの口から予想外の言葉がでた。モナークは一瞬、固まった。


「えっ、誰と誰が….」


「5年だ。戦場であってから5年。

お前が女ずきだから、諦めてた。俺はそのあたりの女より頑丈だし。俺は、人工義体だから、能核の神経を弄れるから呪いの発動にはならない」


「傷心の身に告白。えげつないなぁ…」


「女好きのお前に告白するのはいましかないだろ」


逃すまいと、身を乗り出すアレクサンダーにモナークは天を仰いだ。


「あーまじか、師匠が言ってたことが本当になっちゃうな」


「なんだ?」


「女よりも、戦闘中に背中を預けれる戦友が一番信頼できるって」


「………」


「僕、淫乱だから。覚悟してね?」


「女好きのお前が、男の俺でいいのか?」


「だってアレクサンダーが男しか駄目って知ってたもの」


「いつ、ばれた?!」


「女の子はべらしてても、つまんない顔してた時」


「かえる!」

「失恋したばかりだから恋人のチューしていいよ」

「しるか!」

「これから、宜しくね」


開かれた7階の窓からアレクサンダーは飛び出した。これは、モナークとアレクサンダーの二人が十六歳の時の物語。

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