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夏のホラー参加作品

帰れない


「オイ、俺たちを睨んでいるババアがいるけど、あいつを知っている奴は誰だ?」


「アー、俺だわ、ハァー」


「そうか、気の毒だが俺たちは先に帰る、頑張れよ」


そう言って仲間たちは俺を置いて塒にしている刑務所に帰って行く。


物資を調達に出かけた帰り道、出逢ってしまったのだ、文明が崩壊する前の世界で俺をストーカーしていたババアのゾンビに。


ストーカーしていたババアのゾンビの後ろには10体のゾンビがいて、ババアのゾンビと同じように俺に狙いを定めている。


映画やテレビの中のゾンビと違い現実のゾンビはあのババアのゾンビもそうなんだが、何故かああなる前に執着していたものババアの場合は俺なのだがを見つけると、手に入れるまで……否違うな腹に入れるまで追尾してくるのだ。


1度見つかると匂いなのか音なのか気配なのか分からないが、何処までも執念深く追尾してくる。


その上、ゾンビ菌が蔓延する前に俺に執着していたのはババアだけだったのに、何故か執着心が周りの約10体のゾンビに伝染して一緒に追尾してくるのだ。


ババアのゾンビだけを倒してしまうと、残った10体のゾンビが持つ執着心がまた周囲のゾンビに伝染して、今度は110体のゾンビに追われる事になる。


だからババアだけで無く、後ろにいるゾンビ共も一緒に倒さなくてならない。


アメリカのゾンビ映画の主人公たちと同じように自動小銃が手元にあれば、1弾倉分の弾丸でババアとその後ろにいるゾンビ共なんて簡単に倒せるのだろうけど、生憎ここは日本そんな物なんてない。


まあ所持していても使わないけどな。


ゾンビは音に寄って来るから、銃を撃てば撃つほどゾンビを此処に集めてしまう。


そのいい例が、今日俺たちが物資を調達に行ったスーパー。


ゾンビ菌が世界に蔓延し始めた感染拡大初期、自衛隊かアメリカ軍の基地から持ち出したのか銃砲店で手に入れたのか、多数の銃を所持したグループがスーパーの出入り口をバリケードで塞ぎ立て籠もった。


そいつら止せば良いのに、面白半分だったのか暇潰しだったのか知らないが、駐車場に集まり屯していたゾンビの駆除を始める。


結果、銃声を聞き集まって来たゾンビの大群にバリケードを突破され皆喰われたのだ。


まあそのお陰で、あと10数回調達に来ても全部を持ち出せるか分からない程、缶詰やレトルト食品などの食料や生活必需品が大量に残っていた。


持っていると撃ってしまう可能性が高いため俺たち調達班は銃を所持していないが、塒の刑務所には銃が多数ある。


グループに合流した、自衛隊やアメリカ軍の生き残りの隊員や兵士が持ち込んだ銃がね。


その銃を持った仲間、大抵は合流した自衛隊の隊員やアメリカ軍の兵士たちが、刑務所の高い塀にそって建つ監視塔の上から狙いを定めている。


狙うのはゾンビじゃ無い、人だ。


今ババアとその連れのゾンビ共に追尾されている俺のように多数のゾンビを引き連れた奴が刑務所に逃げ込むと、引き連れて来たゾンビが騒ぎ立て周辺にいるゾンビを集めてしまい頑丈な門が破壊される事は無いだろうが出入りが出来なくなってしまう。


それを避けるため銃声で周辺に屯しているゾンビを多少集めてしまうリスクがあっても、ルールを破ってゾンビを引き連れたまま刑務所に逃げ込もうとする奴を殺った方がマシなのだ。


だから俺はババアと連れのゾンビ共を倒さないと刑務所に帰れないのさ。



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― 新着の感想 ―
[良い点] このあとどうなるのでしょうね。 無事、帰れるといいのですが……。 ダメなような気がします。
[一言] ゾンビもの! これはなかなか書くの難しいよね。 こんな終末はイヤだな~。
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