第十三話 Cブロック③
「はぁはぁ、なんなんだ。お前は...」
「もう、お前に合う戦い方すれば?ちょくちょく、その右手反応してるけど、お前無理矢理左手だけで戦ってるだろ?」
「うるせぇ!!!」
追い込まれるほど和樹は焦りを見せる。
零夜は目隠しをした状態でも、全ての攻撃を避けて、顔に目掛けて蹴りを入れる。
「もう、それ辞めにしねぇか?やってる事は漢らしいけど、行動だけじゃ鬼は殺せねぇぞ?そりゃ、お前に合ってねぇよ」
「黙れ!俺の正義を否定するな!俺の左拳は悪を殺す正義の拳だ!」
「...はぁ、本当言ってる事、あいつ似てるな。似てるが全然違う」
和樹は小声で呟くので合った。
「俺の正義は無敵なんだよ!!」
そして疲れ切った和樹の攻撃は遅く貧弱なものだ。
零夜は和樹の顔を鷲掴みにして地面に叩きつける。
「辞めとけ。語るだけの正義なんぞ夢見るガキの戯言と変わらねぇ。お前の言う悪を殺す正義なんぞ、正義の名を偽る殺戮者と変わらねぇんだよ。この世なんて本当の正義なんてねぇんだよ、くだらねぇ。正義なんぞ悪を正当化させようとする言葉だ」
零夜は目隠しを外しギロリと和樹の目を睨みつける。
観客からには見えないが、赤く染まる瞳は真っ直ぐとこちらを見る光景が一瞬見えた気がするがすぐに零夜に手で和樹の目にそっと置く。
「だが、別に正義そのものを否定する訳じゃねぇ。お前の様に正義を語るバカは俺の親友にもいた。あいつは誰よりも正義バカで、俺が初めて正義とやらを痛感させた漢。お前のその正義の拳は良い拳だ...だが、あいつと比べれば軽すぎる拳だ、悪を倒すだけが正義の拳なんてアイツと比べれば軽すぎる。本当の正義...それを知ったならお前はもっと強くなれると思うぞ?」
「...お前のアドバイスなんていらねぇ。俺は俺の正義は貫く!例え本当に間違えど誰にも負けない正義の拳を見せてやるよ!」
「あはは、そうか。要らないことを言った様だな。なら、いつか見せてくれよ。お前の正義の拳とやらを...」
そして零夜は立ち上がり和樹達の方向の城に歩もうとする。
零夜は親友の顔を思い出し、少しばかり立ち止まるのだった。
「右手は助けを求める者を守る拳、左手は悪を正し...優しく暖かく包み込む拳だっけ?轟和樹、お前ならアイツの意思を受け継げそうだな。奴の正義は俺らに取ってあまりにも眩しすぎた。お前なら受け継いでくれると嬉しいな」
そして零夜は城まで駆け走り核の方を向かう。
核の前にはずっと血だらけの拳で攻撃している勝がいた。
「おい、もう辞めろ!お前の手、やべぇぞ」
零夜は勝を止める。
「神楽沙君...ここに来たって事は、もう倒したんだね?やっぱり、すごいね」
「おいおい、こんなまでやってたのか?」
素手はアザが出来るぐらい核を殴っていた跡がある。
すると勝は謝るのであった。
「ごめんね。やっぱり僕は足を引っ張るばかりだね。任された核でさえ壊さないなんて。本当僕って情けないよね」
「そうか?最初にお前と出会った時より男前になってと思うぞ?」
「え?」
その言葉に勝は呆気のない顔を浮かべる。
「最初はやる前から諦めていた。でも、今は諦めずに核を壊そうとしてたんじゃねぇか。少しだが成長しているよ」
零夜は右腕に雷を纏わせてゆっくりと核に触れる。
そして核に大量の雷を流し込み破壊させたのであった。
『し、試合終了!!勝者神楽沙零夜が率いるチームとなりました!!』
学年一位と呼ばれていたチームが呆気なく敗北した事に司会者や会場がざわめき始める。今の試合を他の観客席で見ていた咲耶は北斗に質問をする。
「あのチームって学年一位じゃなかったっけ?一応私達より実力はあったんはずだよね?」
「そうだね。僕と君がいなかったのもありますけど、一応僕達のチームはリーダー不在のあのチームにボコされているんですよ」
「なるほど。ならそれ以上に貴方の親友のチームは強いって事か...でも、轟和樹は鬼を倒せる程の実力はあるんでしょ?」
以前教員達は和樹の実力は鬼を倒せる実力があると咲耶は聞いていた。
「確かに鬼を倒せる実力はありますよ。でもね、鬼を倒せる人間と鬼を倒した人間、この2つの実力の差は相当離れています。それに零夜はプロ以上のレベルです」
「ふーん...神楽沙零夜ね」
咲耶は少し零夜を気になり、画面に映る凛と話す零夜を見ていたのだった。




