第一話 ただいま桃月学園
「ふむ、どうやらお主らが鬼を仕留めたそうだね。ふむ、あっぱれじゃ!...って言える雰囲気では無さそうじゃな」
校長室にて零夜達4人は集められ職業体験の報告を聞いて、零夜達で鬼を仕留めたと嬉しそうにしていた。
生徒の身で鬼を倒した事は素晴らしい偉業だが、それを誇らしいとは思えなかった。何故ならば死人を出してしまったからだ。
「これも良い勉強じゃ。この仕事は死と隣り合わせ。隣にいた魔滅師がぽっくり死ぬ事は珍しくないんじゃ。いちいち人の死を悲しんでいたら辛いぞ?もう慣れるしかない...魔滅師になるのならばな」
「ですが...やはり人の死を慣れるなんて出来ません」
「そう、それが当たり前じゃ。なら、死なせたくなければ己が強くなれば良い。ならせめてお主の隣にいる仲間を守れるような力をつけるのじゃ」
「仲間を守れる力を...」
風華は自分の周りにいる、零夜、凛、黒恵を見渡した。
仲間、黒恵自身は自分の事をどう思っているかは分からないが、零夜と凛と黒恵は自分にとって大切な仲間達。
(私は全ての人間を救いたい...例え全てを救えなくても...この3人だけは...)
「ふむ、少し暗い表情をさせてしまったのじゃ。この話は終わりとするのじゃ」
4人が何か思い詰めた表情を浮かべてる事に宗一郎は気づき、明るい話に切り替えた。
「来週から体育祭じゃ」
「「「え?」」」
「...」
「クラス対抗じゃなく、チーム対抗じゃ」
「ちょ、ちょっと待てって。体育祭?なんだそれ?来週からか?いきなりすぎじゃねぇか?」
いきなりの事すぎて、零夜たちは驚いてしまう。
修行して、職業体験をした。この1ヶ月半近くは色々と忙しくて学園行事どころか学園の情報を知る術もなかった。
「この1ヶ月、殆どの生徒はシックスマンセルを完成させている。お主らは人工ユグドラシルの成績は良かった...だが、今はどうだい?一年で進行度一位だったチームが今は21位まで下がってしまっているのじゃ」
「...21位だと?」
入学してから零夜達3人はコツコツとユグドラシルを潜っていた。今は6階層までが1ヶ月前の記録、その時は学年一位のチームだったのに、今は21位まで下がってしまっていた。
「それに、トップ30の中でお主らのチーム人数が1番少ないぞ?体育祭はシックスマンセルとしての種目が多いのじゃ。今のままの3人じゃ少々キツいぞ?そろそろ仲間探しをするべきじゃ」
「お爺ちゃん。3人じゃない...ボクを入れて4人...」
「はぁ?!黒恵!どう言う事じゃ?!チームには興味ないのじゃないのか?!それにチームに入るのならばこの学園に入籍しないといけないのじゃ!」
「なら、入学する」
黒恵は本来学園長の補佐役を建前に、自分の手で修行をつける予定だった。黒恵は学園という生活が気になり入学したがっていたのだ。だが、名門校でもある桃月学園に入学するのは困難だ。
「ダメ?...」
可愛いらしく首を傾げて宗一郎に向ける。
「学園長権限でA組の入学を認めよう!」
「ジィさん...」
「子煩悩ですね...」
「ねぇ、話終わった?」
退屈そうにしていた凛がソファーから立ち上がる。
「体育祭?あたし達4人で楽勝よ」
「ホッホッホ、そうかそうか。だが、斬鬼刀は利用不可じゃぞ?」
「ジィさん。もしかして俺らの強みは武器だと言いたいのか?」
「ホッホッホ。どうじゃろうな...まぁ、今年の一年はお主ら以外でも意外と強いぞ?」
「良いじゃん。それの方が燃えてくる」
「ホッホッホ。今年は楽しみじゃのう。それに、学園に興味がなかった黒恵もまさか入学したくなるとは、今日は良い気分じゃ。それで、どう言う風の吹き回しじゃ?いや、孫娘が青春に興味出した事は本当に嬉しい事じゃが、純粋に気になってのう」
復讐にしか興味がない黒恵が、わざわざ学園に入ると遠回りな行動をしている事に何があったのかと気になっていた。すると黒恵は零夜の服をギュッと握る。
「レイちゃん...と一緒にいた方が...強くなれると思って...」
「は?レイちゃん?おい。この職業体験でのこの1週間に何があったのじゃ?神楽沙零夜君?返答次第では...」
職業体験はほぼ初日で、今回のは旅行みたいなものだ。
1週間も同じ部屋で過ごしていれば、仲良くなるのに決まっている。だが黒恵が零夜の事をあだ名で呼ばれている事に、もしやと最悪な事態を考えてしまった。
「別に、アンタが思ってる展開はねぇよ。だから、殺意を沈めてくれ」
「体育祭ですか。桃月学園の体育祭って日本においてビッグイベントですよね」
桃月学園の体育祭の盛り上がりは世界オリンピック並みと言われている。桃月学園の体育祭は全国中継をする。それは有名な魔滅師の事務所にスカウト目的や、世間に優秀な魔滅師の卵がいると安心させる二つの目的があるからだ。
この体育祭で、零夜達率いるチームや桃月学園の新入生の実力に注目を浴び、新たな世代の開幕と言われるのだった。




