第二十八話 夢
(...うーん、なんか空気重くね?)
部屋の中で夕食を食べる4人。
今日の夕食は旅館の醍醐味のフルコースだ。刺身の盛り合わせ、伊勢海老、超高級牛肉ステーキ、炊き込みご飯、イクラが乗っているアワビステーキなどと超豪華料理だった。
どれも一級品で美味しいのにも関わらず、何故かみんなは暗い表情で料理を口に運んでいた。
「こ、この茶碗蒸し美味いな...」
「「「...」」」
(あ、あれ〜?お、俺なんか変な事言ったかな?ど、どうしよう...やっぱり、あの人の死は悲しいよな...)
「零夜さん」
「え?はい」
零夜がモグモグと美味しそうに飯を食っていると、どこか泣きそうな顔で零夜の顔を見るのだった。
「六道眼...」
「?!」
その名前を言われた事に背筋に冷たい風が通るような感覚が走る。
知られたくなかった真実を知られてしまったからだ。冷や汗をかきながら話を逸らそうとする。
「その目六道眼ですよね?」
「り、六道眼?何それ?」
「...そうですか。勘違いならすみません」
「...勘違いな訳ないだろ」
無理に聞こうとしてもダメだと思い、そのまま勘違いのまま話を終わらそうとしたが、横で黒恵はボソッと呟くのだった。
みんなの反応を見て、自分の目が六道眼だと確信している事に、隠す事を諦めて正直になる。
「そうだよ、これは六道眼だよ。一定以上の感情が昂ぶった時に赤くなるんだ。それが六道眼...って、説明しなくても分かってるか」
六道眼は世界最悪七大災害術の一つ。
六道眼は生まれつきに所持するものだが一度開眼すれば国家転覆が可能な程に強力となる。瞳は奪う事もでき、その美しさにコレクターにする者やその強力な力に自分の者にする者が多いと言われている。
そして六道眼の開眼条件は、地獄のような環境で絶望した中で、目の前で大切な者を失う。
「まぁ、昔色々あってこの眼が出来た訳だよ...あまり、昔の事は話したくないけど...少しだけ俺の事を話そう。そう言えば、まだ俺の夢を話してないね。風華は勇者、凛は剣帝、黒恵はどんな夢を持ってる?」
「鬼に対しての復讐...」
「違う。その後の夢を聞いてるんだ」
「え?...」
風華とほぼ同じ事を言われた事に目を見開くのだった。
「...ボクの野心は...本来ボクがしたかったユグドラシルを探検して...全ての財宝を集め、そしてユグドラシルとこの世界の真理を追求する魔導王になりたい...」
その夢に零夜はニヤリと笑う。
魔導王、それは桃太郎の時代誕生の世代で戦場では戦う事はなかったが、自分を魔導王と名乗りユグドラシルの謎を解明しようとした男がいた。当時はユグドラシル攻略なんて夢のまた夢の話だとその男の話はバカバカらしく思っていたが。だが、当時は不死身な鬼を倒す方法は全身を燃やす事しか分からなかった。だが、魔導王は鬼の弱点が首だと解明させたことから、魔導王と言う名前がユグドラシルを追求する者の称号と変わっていった。
「勇者、剣帝、魔導王、やっぱりすげぇよ。みんながみんな高い夢を持っている。俺も同じみんなと負けられない程に高い夢があるんだ」
「零夜の夢って何?」
「零夜さんの夢...」
「...」
「俺は...神格者になりたい。それが俺の夢であり、親友と誓った夢」
それは神に選ばれた者、即ち人間の王となる称号。
世界最強に相応しい称号。桃太郎からその座に君臨した者は1人も存在しなく、神格者になるには鬼や人間の世界を制覇する事がシンプルな条件。それに一歩手前に辿り着い12人の戦士。
「だから、まずは俺は12冠に上り詰める。これは俺だけじゃない、勇者、剣帝、魔導王を夢見るお前達も目指す道」
12冠
それは最強の称号の一歩手前の称号。勇者、剣帝、魔導王を目指すならばまずはその称号で認めさせるもの。世界で最も強い12人の戦士だから。
「だから、風華。勇者を目指すお前からの誘いは嬉しかったんだ。でも、俺1人じゃその夢を叶えられない。俺って弱いから...だから、俺の足りない部分を教えてくれ。俺は本気で神格者になりたいだ」
零夜は3人に頭を下げた。
すると零夜の手をギュッと風華が握る。
そして凛もその上から手を添えた。
「零夜ならなれるよ!だって、零夜は強いんだもん!」
「当たり前ですよ、仲間なんですから。だから、私の足りない部分の力になってください。私達のリーダー」
「...ふん、良いんじゃない?」
「ありがとう。でも、俺はリーダーって言う器じゃないけどな」
そう笑う零夜だった。この4人の誓いこそ世界を大きく変える事は今の4人には知る由もなかった。
(...俺は神格者になり、世界を変えるんだ。あいつと...アリスとの誓い...人間と鬼の誓いを...争いのない楽園を...)




