第二十六話 対青鬼③
「秋元先生。おらっしゃいますか?」
職員室に北斗は足を運んだ。
要件はチーム申請だった。美羅に紙を渡し見せる。
「すぐに解散する恐れはありますが。一応このチームで組んで人工ユグドラシルに潜ろうと考えています」
「うーん、確かに悪くないチームだ。だが、この子は君たちの様なのんびりとコツコツと言うタイプと合わないんじゃないか?」
「あー。出雲咲耶か...確かに彼女は誰よりも力に対して渇望していますからね。一分一秒でも強くなりたいという気持ちが凄いですからね」
「まぁ、彼女なりに過去に色々あったからな。それで、どういうネタで彼女を君のチームに引きつけたんだ?」
「簡単ですよ、それは彼女が望んでいる力です。彼女には零夜のチームに入って貰えれば確実に強くなる。それに彼女の頭脳はあのチームに必須なんです」
「ん?君でもなく彼女でもなく、神楽沙の為に動いてるのか?」
「まぁ半分正解で、半分は僕の為です。彼には強くならないと困りますからね...まぁ、そういう事なんで、よろしくお願いします」
そう言って北斗は職員室を後にするのだった。
一方その頃零夜達は青鬼と交戦中だった。抱き抱えている風華の腰に視線を移す。
「風華、怪我はないか?」
「...はい。ありがとうございます」
「そっか。なら良かった。風華が怪我しなくて本当に良かった。あとは俺に任せろ」
っと、零夜はニカッと笑うのだ。
「それは反則です!」
そんな笑顔に風華の耳は赤くなるのだった。
そして風華を下ろし、青鬼の所に歩む。
「白髪!!!白髪ハ嫌イ!!!殺ス!」
「んで?それが遺言で良いか?」
「遺言?死ヌノハオ前ダァ!」
少しばかりの挑発に引っかかる青鬼は零夜を襲う。
切り落とされた両腕は再生して、激しいパンチの連打を放つ。
打撃を避けながら壁を踏み台にして天高く飛び上げる。そして、柄を強く握り空中を蹴って青鬼に突っ込んだ。
「三日月流睦月・月影牙華」
残像すら置き去りにする程の一瞬の間で放たれる一太刀でまっ二つに胴体を切る。
「ちっ、空中からの居合は勢いあまってズレたか...もっと強くならないと」
「クソ!オイ!俺ヲ守レ!ソンナ奴ラヲ無視シロ」
すると赤鬼は大きな叫声を放った。
近くにいたプロの魔滅師達はあまりにも大きな声に反射的に耳を塞いでしまったのだ。その隙に獣の様に青鬼に近づく。
「童子琉壱ノ番炎刃轟獄!!」
上から凛が降ってきて回転する勢いで赤鬼の首を斬った。
不意打ちとは言え、学生が鬼の首を一太刀で飛ばした事に杉浦達は驚くのだった。
「はぁはぁ。零夜速い...全力疾走で追いかけたけど、追いつけなかった...」
「マタ!マタ人間ガ増エタ!!クソガァ!!ドコマデ俺ヲ邪魔スル?!!」
「...もうコイツの試し斬りを終わった。少しばかり本気を出して終わらすぞ。三日月琉卯月・明鏡夜桜」
斜めに振り下ろした一閃で、地面を抉りながら前方へ向かう5つの斬撃を飛ばす。斬撃を浴びせられた青鬼は怯み、その隙に刀を鞘にしまう。
「睦月・月影牙鷹」
「オ前ダッタカァ!!ソノ忌々シイ瞳ハ忘れ...」
スパッと黒炎の刃で青鬼の首を刹那の一太刀で斬り飛ばします。
青鬼に見られた瞳を零夜は片手で覆って隠す。
「...危ねぇ。この刀に対してちょっと気が荒ぶってしまったな。本当に良い刀だ」
「あの...硬い首を簡単に...」
黒恵ではビクともしなかった鋼鉄の首を頭容易く切り落とした事に驚いていた。
「もっと、まともに戦いたかった!!」
初めての鬼との戦闘をもっと味わいたいと、不意打ちで倒した事に凛は後悔するのだった。
学生でもあるのに、鬼を倒した零夜、凛、風華と黒恵のチームを見た杉浦達は関心するのだった。特に自分が手も足も出なかった青鬼を簡単に倒した零夜に対して。
それから処理はプロに任せて、4人を一旦ホテルに帰らせた。杉浦は頭を何度も下げて感謝を述べていた。
「やはりですか...残念です」
そして、杉浦から後に聞いた話で風華は涙を流す。
今回の作戦で市民の被害はなかったが、魔滅師に亡くなった者がいた。ほんの短い間だったが先輩の様に教えてくれた前園。
風華達は魔滅師はどれほど危険な職業なのか実感するのだった。




