第二十五話 対青鬼②
「鬼は粛清対象だ」
杉浦は刀の先を向けながら飛び込んだ。
「赤鬼!時間を稼げぇ!」
「がぁぁ!!」
青鬼が逃げる間に赤鬼が時間稼ぎをする。
だが、一瞬で杉浦以外の魔滅師が赤鬼を抑える。
逃げる青鬼の背中を追う杉浦は後少しの所で刃が届き得るのだった。
「...はぁ、弱い」
その光景を建物の上で見ている深くフードを被っている人物が立っていた。
男に右目には大きな傷があり義眼であり、左目だけで青鬼を逃げる姿を見て呆れていた。
「銃も色々あげたのに、なんだそのみっともない姿は...もう、いいや。少し頭の良い野良の鬼がいてどんな行動するか気になったが、所詮は鬼なんだな。なら、無理やり喰種鬼に進化させてやる」
義眼の人物は持っていた砂時計を握りつぶした。
そして、逃げる青鬼に批判が起きる。いきなり心臓が苦しくなりその場で転がる様に倒れたのだ。
「間抜けが!」
ただ転んだと思った杉浦はすぐに飛び込み倒れている青鬼の首を刃を向かわせた。
「アアアアア!!!」
血の様なものが杉浦を巻き込み爆発した。
(何故だ...何故いつもこうなる。俺は逃げてばかりの鬼なんだ...人間が憎い...本当は俺は逃げてばかりの鬼じゃなかった...この俺に人間の恐怖を与えた...あの神奈川百鬼事変の...白髪の男)
白髪に仮面の奥から輝く赤い瞳の男の姿が脳裏によぎる。
すると青鬼は身体が変化して先程の赤鬼より一回り大きくなる。
それを見た義眼の人物は舌打ちをする。
「ちっ。まともに進化も出来ねぇのかよ。もう、いいや」
義眼の人物はその場から砂の様に消えるのだった。
そして、強化された青鬼は爆発で傷だらけになった杉浦に向かってタックルをした。
「ガハッ!」
「人間殺ス!オ前ラハ許サナイ!!」
腕を薙ぎ払っただけで、風圧で壁が崩れて吹き飛ぶ。
「くぅ、外の街にいる魔滅師にも緊急要請を申し込む!レベル2の鬼が現れた恐れがある!」
セージで他の魔滅師に連絡を飛ばした。
自分のチームに視線を移すと赤鬼とまだ交戦中だった。
「流石に1人じゃ、キツイな...」
「なら、力を貸します!」
人手が足りないと気づき、風華と黒恵が駆けつける。
「ダメだ、運良く鬼を倒せただけだ。君達にはまだ危険すぎる」
「...」
(確かに、タイムリミットは1分切った。戦ってる最中に強制解除されたら逆に足を引っ張る可能性がある。どうしよう...零夜さんなら、同じ状況ならどうしてたのでしょう)
「早く逃げろ!肋骨は折れているが、なんとかなる。速く他の魔滅師を呼んでくれ!」
確かにここは魔滅師に任せた方が良いと判断する。素人同然の風華達がいても逆に足を引っ張るしかないと言われた通りに行動しようとした時、脳裏にある予想がよぎるのだった。
もし、あの人が死んで市民に危害を加えたら?
魔滅師は鬼を倒す仕事でもあるが、市民を守る者でもあった。
自分から逃げる行為は魔滅師として...勇者になりたい自分としてそんな選択肢は選べられなかった。
「おい...逃げるならお前1人でしろ...ボクは鬼に背を向けるなんてしない...」
迷う風華に黒恵は言葉を発した。
黒恵の鬼に対しての執着心を見て、逃げる選択を放棄した。
「黒恵さん。出来るだけあの鬼に近づかせて下さい」
「...やってみる」
「おい!!」
2人がアイコンクトを送った時、青鬼に向かって同時に踏み込んだ。風華は黒恵の後ろで走り向かう。目の前にいた黒恵に青鬼はパンチを入れるが、大鎌で受け止めて食い止める。
「やるなら、今!!」
「ありがとうございます!!天武一式・羅生ノ渦!!!」
飛び込み青鬼の顔に目掛けて、回転する打撃を放った。
「嘘...」
「オ前貧弱」
「いっ!」
「馬鹿者!今助ける!」
「ちっ」
青鬼の顔に傷をつけられなかった。それは当たる直前にガントレットを強制解除され、青鬼の大きな素手で掴まれてしまう。黒恵達は助けに向かうが、そんなのは間に合わず餌食になってしまう。風華の目の前には大きな口があり、死の恐怖で思わず目を瞑ってしまった。
「アァッ!!」
「え?!」
いきなり青鬼が悲鳴を上げて、目を開けると手首が切断されていた。
落下する風華に、閻羅を持っている零夜が抱えてキャッチする。
「遅くなって悪かった」
本気で心配した顔で風華の顔を見つめる。
そんな目を見て風華は...
「...零夜さん!!」
「死ネ!!!!!」
左手で零夜の背後からパンチで潰そうとする。
「うるせぇ」
すると左腕がいきなり切断される様な光景が見えた。
だが、良く見ると零夜が超高速で閻羅で切り落としたのだ。
「斬鬼刀...こんなの一年前にあったら...」
その凄まじい切れ味に関心していた。
「コノクソガァ!!」
「...おせぇよ」
足で踏み潰そうとするが、そのまま避けて距離を取った。
「ハァハァ。イタイ...オ前何者?」
「あ?こいつの友達だ」
っと、風華の頭に手をポンっと置いて言った。
これが、風華や凛そして黒恵が初めて零夜の本当の力を見る事になるのだった。




