第二十三話 初任務
「前園さん、魔滅師の人数を知りたいのですが」
風華は勉強の為、何人で出動しているのか気になる。
「討伐隊は5人、サポート隊は5人、救助隊は4人が基本となっている。でも、今回は君達が関わった事でサポート隊の2人を救助隊に回して、君達はサポート隊に関わる作戦となった」
「なるほど。お答えありがとうございます」
それを横で聞いてた零夜は人数に対して不満を抱いていた。
(たかが鬼3匹に大掛かりすぎだろ。もしかして神奈川の鬼と比べ物にならないぐらい強いのか?俺らタイマンでも張り合えてたぞ?)
「そう言えば討伐隊と救助隊の皆様は?」
周りを見渡すと前園を合わせた3人の魔滅師と零夜達しかいなかった。もしかして討伐隊と救助隊は別々の所で見回りをしているのかと考える。
「救助隊は別の所で見張ってもらっている。討伐班は体力を温存する為に、ある建物で待機しているんだ。すぐに動けるような体勢でね」
「前園さん」
すると、同じサポート隊の男が前園に耳打ちをする。
前園は何か納得したかような表情を浮かべる。
「うん。我々らもそうしよう。えっと、今私達は7人いるから、3と4で別れてもらう。私は一条と神里を担当しよう。君達2人は緋村と神楽沙を指導してくれ」
「「はい!」」
相手は知性がある鬼。
魔滅師が固まって行動している事が目立つ事に、いち早く気付かれ逃げられてしまう。なら少数で別れて鬼を探した方が効率が良いと上からの判断が下される。
そして前園の指示を従い二手に分かれて、鬼の捜索を開始した。
「君達一年と聞いたが、俺達の足だけは引っ張るんじゃないぞ」
「...うす」
「はぁ、本当あの学園何考えているんだが。何でこんな重要な任務にこんな入学してから間もないガキをよこしてきたんだが...」
どうやら、前園以外の魔滅師は零夜達を良くも思っていない様だった。それもそうだ、ずっと逃げられている鬼に対してピリピリしている状況に素人同然の子供を指導してくれた言われれば誰だって怒るのも無理もない。
五感が鋭い2人にとって、今の愚痴はハッキリと聞こえていた。こっちも無理に付き合わせたのもあるため何も言えないが、凛がムスットした顔で頬を膨らませていた。
「凛」
トントンっと凛の肩を叩き、耳元で聞こえないように言葉を発した。
「気にするな」
「...うん!」
そして、前園が率いる風華と黒恵は裏通りの道を歩いていた。
「いや〜まさか五大名家の娘が2人も来るとはね。最初は聞いて驚いたよ。どう?学園は楽しい?」
「えっと...はい、楽しいです」
1ヶ月授業も出ずに零夜達と修行していたことに、ほぼ学園の生活を送っていなかった風華は嘘を言ったことに少し心苦しかった。
「そうかそうか、良いね。桃月学園は楽しかったよ...うん、ここも安全だね。本当、今回の鬼のリーダーは厄介だな」
前園は周りを見渡し鬼がいないと確認をする。
物静かさに前園は寂しそうな顔を浮かべる。
「いつも、こうも平和だと私達も楽なんだけどな」
「?!前園さん!」
風華がいち早く気づいた。
空からトラックが降ってくることに。
「っぶない!」
前園は咄嗟に風華と黒恵を強く飛ばした。
そしてトラックは前園の頭上に落ちるのだった。それを目の当たりにした風華は絶句するのだった。目の前で人がトラックに潰れるのを見て。
「クククク。バカ女がお前らの探索ルートは漏れてるんだよ」
空から黒髪で上半身裸の青い肌の鬼が降りてきた。その後ろに全長2メートルの赤い鬼が2体後ろにいた。
「あれぇ?君達2人は知らないな?...まぁ、良い。殺せば良いんだから」
「黒恵さん!」
「分かってる!」
風華は麒麟を鞘から抜いて戦闘体勢に入る。
(今私たちの位置情報を送らないと)
「おっと、そうはさせない!」
セージで自分達の居場所をみんなに送ろうとした瞬間、青鬼が何かのボタンを押して電波を送る。するとセージに砂嵐が起こり使い物にならなくなった。
「それは厄介だ。だから、壊させてもらう!」
「なるほど。対処されてますか...やはり、思った通りこれは邪魔ですね」
風華はセージを投げ捨てる。
「黒恵さん、簡単で良いのでバトルスタイルを教えてください」
「...前衛」
「なら、私は黒恵さんのサポートに回ります」
「...期待してる」
そして先に動いたのは黒恵。
黒恵はアタッシュケースの持つ部分のボタンを押した。
「滅鬼術 天々骨喰」
アタッシュケースに大きな刃が現れて青鬼を守っている赤鬼を斬った。そしてアタッシュケースは棒状に変化して大鎌に変わる。
鬼は回復力が高く普通じゃ死なない。鬼が死ぬ時は首を斬られた時。だが、黒恵の攻撃では鬼の太い首は切断出来なかった。
「ちっ、浅い...なるほど、本物にはもっと力がいる...」
「ガァァア!」
「黒恵さん!」
斬られた箇所を抑えている赤鬼は目の前にいる黒恵に殴ろうとした。
すると、風華が斬られた箇所に麒麟で更に追い討ちを掛ける。
「鬼丸琉壱ノ番紅夜叉衣!」
風華には剣の才能はなかったが、これでも努力だけで鬼丸流下ノ段まで取得していた。
「くっ」
「ちっ...タイミングは良かった...でも、力量と経験が浅い」
首を切る事は出来なかった。
何故なら、鬼の首の筋肉では風華の力ではビクともしなかったからだ。2人は距離を取り3匹の鬼と睨み合うのだった。




