第二十話 提案
「正直、君たちに話そう。君達はあまりにも強くなりすぎた。ワシも最初はここまで成長するとは思わなかったのじゃ。どうする?退屈な授業を受けるか?」
風華と凛の傷が癒え、保健室から出ようとした時、いきなり宗一郎がある提案を持ちかけた。
「お前、それ教師が生徒にいう言葉か?」
度々学校の校長とは思えない発言に零夜は苦笑いしていた。
そんな事を指摘された宗一郎は、コホンっと咳払いをして言い直す。
「いやいや、一応授業の一環じゃよ。君達にはプロの魔滅師と一緒に鬼を倒す体験をして貰いたいのじゃ。上の連中は君達の話題で持ちきりじゃよ。お主らを早く戦場に送らせろと...だが、今の君達を戦場に向かわせても強い武器を持っていても意味がないのじゃ。無駄死になるのじゃ...」
「それで、俺達に少しずつ経験を積ませると?」
「そうじゃ。本当ならワシもあまり同じらの青春を取り上げたくないのじゃが...すまんのう。これ以上上の奴らの言葉を無視していると厄介な事が起こりそうじゃな。それでどうする?引きつけるか?」
「風華と凛はどうする?」
正直どっちでも良い零夜は後ろにいた凛と風華に聞いてみた。
「やる!」
「良い機会だと思います、私も賛成です」
「なら、俺も賛成だ」
「ほぉう、それは良き事じゃ。なら、君達4人で明日に福島に行ってもらうのじゃ」
「「「4人?」」」
零夜、凛、風華。3人しかいないのにも関わらず、宗一郎は4人と言った事に首を傾げる。だが、その事を詳しく話さずに職場体験の内容の方を話した。
「田村市で鬼の被害があると言う情報があるのじゃ。どうやらこの鬼がなかなかの厄介で、少しばかり知能があるそうで、逃げ上手なんじゃ」
大体の鬼には知能がなく、力だけの怪物。
だが、稀に知能を持っている鬼がいる事もある。
「目的は討伐ですか?」
「ふむ、少し違う。君達の目的はプロの魔滅師がその鬼と交戦中の時、周りの市民を守る目的じゃ。流石になんも教えていない君達と最初から鬼と戦わせる訳には行かないのじゃ」
「なんだ、鬼とは戦えないのか」
「当たり前じゃ」
「ふーん。えっと」
零夜はスマホで、田村市 観光 おすすめ と調べた。色々とスライドで良い場所がないかと見ていると気になる写真が目に止まり、そのサイトをポチると押す。
「あぶくま洞。ここに行ってみたいな」
「おい、観光に行かせる為に向かわせたんじゃないぞ?」
鬼と戦えないと知り興味を無くした零夜は、観光を楽しもうと他の事をしだした。
「まぁ、別に1週間と伝えてあるからな。すぐに依頼が終わったのならば自由行動しても構わないのじゃ」
「わぁ!本当ですか?!私田村市には行った事がなく、気になっていたのです!」
「なんか美味しいご飯ある?」
「こことか良いんじゃねぇか?」
「...だから、観光じゃなく、職場体験じゃぞ?」
完全に観光目的になった3人をみて、宗一郎は呆れた顔を浮かべるのだった。
「まぁ、決して君達の面倒を見るプロの魔滅師には粗相がないように注意するんじゃぞ?」
「「「はい」」」
「なら、明日の朝7時に校門に集合してくれ」
話が終わり3人で部屋を出る。
「それにしても鬼ですか...実物は初めてですね」
「強いのかな?」
「雑魚鬼自体はそんなに強くないよ」
「零夜さんは見たことあるのですか?」
天朧の時に戦った事がある。
だが、それを隠すのだった。
「ちょっとね...鬼の強みは人間じゃあり得ない怪力なんだ。だが、あいつらには知能がなく、真正面でしか攻撃してこない。だから、奴らの行動が読み取れやすく弱いんだ。でも、中には知能を持つ鬼がいる。そいつらが厄介なんだ」
「なるほど。お父上様もそんな事言っていました」
「なら、強くならないと!」
「それのアリだな」
凛に提案に3人は訓練するのだった。
そして当日を迎える。




