第十一話 斬鬼刀
後から聞いた話だと、城ヶ崎は退学となった。
斬鬼刀はある謎の男から貰い、その男から火炎奏術を教わったと自白した。城ヶ崎はそのまま異端審問官に引き渡され連れて行かれたそうだ。
だが、事件はそこで起きた。覚醒者を裁判する場所に護送中に事故が起きて護送していた車が爆発した。
その中にいた城ヶ崎を含め異端審問官達は、あまりにも強力な爆発に死体すら残らなかったと言う。
「これ、絶対。敵の組織で強くなって、復讐しに戻ってくるよ」
「あはは、俺も思った」
北斗は事故ではなく、何者かがやったと予想する。
どうせ、生きていると分かっている2人だが、あんまり気に留めていなかった。
「よし、君達今日は待ちに待った斬鬼刀だ!」
「「「「うおおお!」」」」
斬鬼刀。
魔滅師にとって必要な武器で覚醒者にしか扱えない、唯一鬼を殺せる武器。美羅はA組の生徒達を連れて、学園から出て隣の建物に入る。
「ここが斬鬼刀を保管している施設でもあるし、作っている場所でもある」
「先生。斬鬼刀はどうやって作られてるのですか?」
初日で問題を起こさなかった生徒が手を挙げて質問をする。
「木村君か。そうだね、あまり言えないが、一年で数十キログラムしか取れないと言われているヒヒイロカネ、砂漠のユグドラシルで取れる1年中太陽の光が当たっている鉱石で出来た陽魔石を加工したのが、一年で2〜3本しか作れない純製の斬鬼刀だ。そして、その2つの鉱石を数単位グラムだけで、他の硬い鉱石で代用している質は下がってしまうが、一年で百近く作れる混製の斬鬼刀。今回君達には混製の斬鬼刀を渡す」
「純製は貰えないのですか?」
「当たり前だ。みんながみんな純製を持てば鬼を簡単に殺せるが、数が少ないんだ。純製が欲しければ出世するんだな。まぁ、それを必要としないリッチな生徒はいるがな。それに何人かは純製待ちの超リッチ生徒もいるそうだし」
美羅は風華や数人の生徒に視線を移す。
「まぁ、そのリッチな生徒は見に来ても良いし、必要ないって帰っても良いぞ」
っと言われると半分ちょいの生徒が帰って行く。
残ったのが零夜、風華、凛、そして数人の生徒達だった。
「ぶっちゃけ僕必要ないんだよね。だから、ここで帰るよ」
「マジ?」
「うん。そろそろチームメイト探しをしないとね」
北斗もそう言って帰ってしまった。
零夜達数人の生徒は建物の中に入って行く。
建物に入っている混製の斬鬼刀を好きなの選べと、良いのを探し回っていた。
「おお!いっぱいあるね!」
「凛。走るなよ」
大量の武器が並んでいる廊下で凛は楽しそうに走り回るのだった。風華は家から純製の斬鬼刀が届くと言う事で必要はないが、零夜と凛と一緒に見たい事で共に過ごしていた。
「へぇ、混製ってこんな感じなんですね...なんて言うか個性のない武器ですね」
並んでいる武器は一見すると普通の剣や刀と変わりがなかった。風華は並んである混製を眺めている。
「先生。あの奥の扉の奥は何があるんすか?」
零夜は廊下の奥にある鎖で覆われている、大きな扉が目に入る。
「あー、あそこは「そこは純製の斬鬼刀があるのじゃ」...学園長?!」
「ジィさん?」
いつの間にか背後にいた、宗一郎が代わりに説明をする。
「おいおい、学園長。どうしたんだよ?」
「ホッホッホ。ちょっと新入生達の顔を見にきたのじゃが。相変わらずA組は少ないのう」
「まぁ、アイツらは名家の奴らが多いからな。こんな学園の混製より自分の家からの方が信用出来るだろ?」
「確かにな」
「どうじゃ?あの中に入ってみるかい?特別に入れてやってもよいのじゃ?」
「いや、別に興味「本当!!入ってみたい!」
あまり興味がなかった零夜だが、後ろで聞いていた凛が興味津々だった。
「特別に君達3人は入れても良いのじゃ」
宗一郎は他の生徒に聞こえないように、3人に近づきて小声で話。
「純製って言う生ぬるい武器じゃなく、神製を見せてあげるのじゃ。内緒だぞ」
「「神製?」」
「なっ?!」
パッとこない零夜と凛だが、風華だけは驚いていた。
神製とは、ユグドラシの宝具の一つで上位種の鬼が持っている事や、ユグドラシルのどこかに宝として眠っている人間が作れない最強の武器。神製は10年に1〜2本しか発見されない希少な武器。今まで発見された数は22本しかないと言われている。だが、神製の斬鬼刀は魂が宿っていると言われており持ち主を選ぶと言われている。
「秋元君。この子達はワシに任せてくれ」
「え?分かったよ...もしかして奥に入るのか?」
「そうじゃ」
「バレたらヤバイですよ?いくら学園長でも、無断で入る事は...」
「秋元君。こんな言葉を知らないかい?バレなきゃ犯罪じゃないのじゃ」
それ、学校の偉い人が生徒の前で言って良い言葉なのか?
だが、バレずにとは言うがこんな大きな扉を開ければバレそうだが、どうやって入るのか疑問が過ぎる。
「ワシについてくれ。くれぐれも足を止めるのじゃないぞ?」
零夜達3人は宗一郎の後を追うのだった。
だが、扉の前に近づいているのにも関わらず止まる気配がない。
すると宗一郎が扉をすり抜けたのだ、零夜達3人は驚くが宗一郎の言葉を思い出し足を止めずに進むと自分達も扉をすり抜けたのだった。
「時空を操るの、それがワシの能力じゃ」
「「「おおおお!」」」
何か宗一郎が喋っていたが、そんなのどうでも良いと思うぐらい内装が豪華だった。黄金に輝いている壁に、ガラスの中に大切に保管されている武器達がある。
「おいおい、純製ごときに驚いていたら、このもっと奥にある部屋の神製の保管庫なんて心臓止まってしまうのじゃないか?」
「早く行こう!」
「ちょっと気になってきたな」
「ちなみに何があるのですか?」
「ふむ、よくぞ聞いた。この学園には世界で22工しかない内の5工は保管されているのじゃ。その内の一つはかの英雄と謳われていた桃太郎の龍爪腕が保管されているぞ」
「え?!是非見せてください!」
「ホッホッホッ、良いのじゃ」
宗一郎は嬉しそうに髭を撫でながら案内をする。風華と凛は楽しいそうに周りを観察しながら後を追う。だが、零夜だけは少しだけ宗一郎に対して何か思う気持ちがあった。
「ジィさん。何か企みでもあるのか?」
「ふむ、なんの話じゃ?」
「いや、この学園の校長として、こんな数ある生徒の中でなぜ俺たちを、こんなに特別扱いをしている?何か裏があると思うんだが...」
「裏か...あるにはあるのじゃが、決して悪い意味ではない。ただ、少しだけ君達に賭けてみただけじゃ。安心するが良い、決して君達を不幸にする訳ではない」
「そうか、それなら良いけど。もしもだ、あの2人に危害を加えるならお前だろうが殺す。例え俺より強くても、地獄に引き摺り下ろしてやる」
「ホッホッホ。怖いのう」
赤黒く濁る零夜の瞳を見て、宗一郎は髭を撫でながら笑うのだった。
そして辿り着いたのはまた大きな扉だった。いや、扉と言うより門と言った方が近いものだ。
「足を止めるのじゃないぞ?」
零夜達は扉をすり抜け奥に向かった宗一郎の後を追うのだった。




