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第九話 事情聴取

「なるほど。城ヶ崎明久(あきひさ)君が自分の婚約者を取られた事に怒りを覚えたって事じゃな?」


あいつの下の名前明久って言うんだ...


「校長。訂正して下さい。婚約者は親が勝手に決めた事で、決して私は認めた訳ではありません」


 城ヶ崎の婚約者だと決めつけられた事に風華は怒り、宗一郎を睨みつけるのだった。美羅と秋山は斬鬼刀を持っていた事に、それを誰から貰ったのか他の部屋で尋問されていた。

 その間、風華、零夜、北斗の3人は校長室で宗一郎から軽い事情聴取を行っている。


「ホッホッホ。それは悪い事言ってしまったようじゃない。次を気をつけるのじゃ」


「それで、城ヶ崎さんはこれからどうなるのですか?」


「うーむ、そうじゃな。十中八九退学じゃな。斬鬼刀の掟は学園のルールじゃなく、国のルールじゃがな。学園のルールなら大目に見る事は可能じゃが、国のルールなら話は別じゃ。これは校長個人としては対象でからレベルじゃない」


「退学って事ですか?」


「そうじゃな。退学どころか異端審問官に引き渡す可能性もあるのじゃ。若者の未来を潰す行為はワシは嫌いじゃが、流石に彼はやりすぎたのじゃ」


「まぁ、ぶっちゃけ。あれ北斗の勝ちだからどっちみち退学だけどな」


「はぁ、危なかった。ギリギリ勝てたよ」


「嘘こけい。最初から斬鬼刀を隠して持ってたの気づいてたんだろ?」


北斗は相手の情報をよく理解してから戦うタイプ。

 城ヶ崎と揉めている一瞬のうちに、彼の体格や癖、そして使う武器や隠し持っている物を探っていたのだ。


「何故分かったのじゃ?」


「僕の目はオーラの流れをハッキリと見えるのですよ。例え、それをどんなに隠そうが、微かなオーラでさえもすぐに気付けます」


「便利な目をしておるのじゃ。さぞかし右目の方はもっと便利なんじゃろうな」


「あはは、これは怪我で隠しているだけです」


「ふむ。生徒がそう言うなら教員としてのワシもそれを信じるしかないのじゃ」


何かを隠す北斗に宗一郎は無理に聞こうとはしなかった。


「ふむ、ご苦労じゃった。あとはワシ達に任せてくれ。君達は教室に戻ってくれ。今日の授業は中止と帰らせてくれ」


宗一郎はそう伝えて事情聴取を終わるのだった。

 3人は部屋を後にしようとドアを開けると、宗一郎は何かを思い出したかの様に呼び止める。


「そうじゃ!ちょうど良い。神楽沙零夜と空条北斗は残って欲しいのじゃ」


「?」


城ヶ崎の事なら風華が知っているはずなのに、一体自分達に何を聞くのかと首を傾げる。


「えっと、なら私は先に教室に向かっています」


風華はお辞儀をしてから部屋を後にする。

ソファーに座ってくれたと言われ、2人は大人しく座るのだった。


「ふむ、単刀直入に言おう。そうだね、神楽沙零夜君。名家と言える城ヶ崎家の息子と敵対して、君は何故一条家の娘を助けたのじゃ?」


「は?そんな事か?それ今重要?」


「うむ、重要じゃ。両家が決めた縁談を邪魔したのじゃ。君1人で両家を相手出来るのか?まだ、知り合ったばかりの人間の為に君は自分自身を危険にさらすことになるのじゃ」


宗一郎はデスクの上で手を組み、零夜を真剣な目で見る。

零夜は馬鹿らしい質問に対して鼻で笑ったのだ。


「当たり前だ、風華は俺のチームメイトだ。仲間の為なら俺は平気で茨の道に飛び込んでやっても良い。それが仲間って事じゃないのか?名家だろうが、五大名家だろうが関係ねぇ。風華を不幸にする奴らは俺が許さねぇ。凛も同様だ」


「ホッホッホ。知り合ってからまだそんなに時間は経っておらぬじゃろう?何故そこまで一条家の娘...いや、君のチームメイト2人の為だけに頑張れるのじゃ?」


「仲間だからだよ。時間なんて関係ない。俺はあいつらの野望が叶う瞬間を見てみたい。それ程俺はあいつらを気に入ってる。理由はそれだけだ。他に必要か?」


「うむ、充分じゃ。そうか、仲間の為なら頑張れるのか。なら、それは君より圧倒的な力を持った人間が君及び仲間に立ちはだかった時、同じ行動は取れるのか?例えば、君達の身柄を狙うワシだとしても?のう、天朧?」


「「?!!」」


 宗一郎が殺意をこもったオーラで威圧する、2人の背筋が凍るような感覚が走ったのだ。だが、2人が驚いたのは自分達を呼んだ名前だ。


「ジィさん。なんの事かな?」


「ホッホッホッ、とぼけても無駄じゃ。入学式の時変わったオーラが目に入ったのじゃがのう。調べたら正解じゃった。神楽沙零夜、君は天朧の元(ヘッド)じゃろう?」


零夜は知らない顔をするが、宗一郎は確信をついていた。



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