プロローグ
少し唐突だが、一つ君たちに質問してみたいと思う。
『魔滅師』とはなんだろう?————————
はて?聞いた事がない言葉だ?っと答える者が多いに違いない。それもそうだ、今から200年前にそんな言葉は存在しなかった。
今から240年前の2023年の話に遡ろう。
なんの予兆もなく訪れた、この宇宙の遥か向こうには地球と似て非なる別の惑星が存在していた。科学的な説明によると、その惑星は日々日々に地球に近づいてくると判明する。
すると、その惑星は粉々に砕けてしまった。
そして、その破片が地球に飛来し、地球と融合し始めたのだ。世界に『ユグドラシル』と名付けられた大きな木の様な塔が世界中に7つも現れる。
ユグドラシルから、異世界の歪んだ自然法則と怪生命体が地球上に蔓延る事になった。たった、1年も経たないで、地球上に存在する人間の3割は死滅され、そこはもう人類所有権が奪われてしまった...
突然現れた、地球上のこの招かれざる客達に対応するために、人間達の能力ではとても敵う相手じゃなかった。
———————だが、幸いにもユグドラシルからもたらしたのは災害だけではなかった。科学では説明できない、人間の自然法則によって決められた潜在能力の限界を打ち砕かれたのだ。
これを我々ら人間は『覚醒者』と呼ぶ。
覚醒者となり、拡張された才能の範囲は人それぞれだが、鍛錬を通じて自分達の潜在能力を鍛え、人類は再びユグドラシルに立ち向かった。
地球を人類の所有権を取り戻す為に立ち上がり、ユグドラシルから現れる『鬼』を倒す為に、『魔滅師』となった...
初代覚醒者達は、ユグドラシルを攻略する未来の子達を託す為に、鬼を滅する勇敢な『魔滅師』を早期育成する機関を各国に建てた。
そんな中日本では、最も優秀な青少年の教育機関であり優れた魔滅師が絶え間なく現れるのだった。
世界にその名を輝かせた学園こそが『桃月学園』だった。
そして覚醒者の時代には必ず英雄が存在していた。
その英雄達の言葉によって、人々は前に進むのであった。
———————人間を舐めるなよ!
始まりの覚醒者で、勇者桃太郎の世代は鬼に立ち向かうために次々と覚醒者が現れ、鬼を操り地球を侵略しようとした魔王を倒した世代を世代を誕生の世代と呼んだ。
———————大丈夫。誰1人死なせないさ。この私がいる限りは...
誕生の世代から約50年後に現れた最強鉄壁の男。ユグドラシルから大量に雪崩れ出た鬼達は人々を襲った。だが、たった1人の人間、勇者ガロンに初めその世代の覚醒者達は全人類を守った世代を英雄の世代と呼んだ。
———————人類は進化し続ける。諦めない限り鬼には負けていない。
英雄の世代から約100年後。人類は初めて7つあるユグドラシルの一つを攻略した。ユグドラシルの番人にトドメを刺した月姫と呼ばれた如月夢に初め多く才能を持った魔滅師がいた世代を黄金の世代と呼んだ。
そして、黄金の世代から約60年後。黄金の世代の様に才能を持った覚醒者が数多く誕生するのだった。後にこの世代を...
「おお!レベル2のミノタウロスか?」
「迫力あるね」
「零夜さん!凛さん!そんな無防備に近づいたら危ないですよ!」
半人半牛の怪物。大きな斧を持って俺ら2人の前に近づくのだった。俺と凛はあまりにも感心するか様に近づいている事にリーダーでもある風華に叱られてしまう。
「はわわわ!し、死にたくない!」
「京香落ち着け!お前なら簡単に倒せるだろ!」
「むむむ、無理です!咲耶が倒してよ」
「京香本当にうるさい。少しは黙って落ち着いて...」
「黒恵〜」
「うっとしい」
京香は泣きそうな顔で黒恵に抱きつこうとするが、黒恵は面倒そうに引き離すのだった。風華は後ろで泣き叫ぶ京香をほっといて、レイヤにアイコンタクトを取るのだった。
零夜はウンっと頷き、鞘から刀を抜いてミノタウロスに向けた。
「あんなミノタウロスと比べると、知性がないお前程度なら、今の俺らを止められないぞ。俺らを殺したいのならせめてレベル4を連れて来い」
「うししし、本当面白い奴らだな。お兄ちゃんのチームは」
「マスター。戦闘の準備して下さい」
—————全ての始まりは一年前の春。
魔滅師を育成する機関『桃月学園』に入学してからの物語は始まるのだった———————