第8話 侵入
「それで、フィナ。この後どうする?あの女将さんが言ってた様にフィナのお父さんとお母さん、そしてお兄さんは捕われている可能性が高い。」
「今すぐ助けに行くわ。」
そう言ったフィナは今にでも駆け出しそうになりながら俺に言った。
「フィナ、落ち着け。」
「落ち着いて居られる訳ないじゃない!お兄様が殺されてしまうかもしれないのよ!」
まあ、そうだよな家族が人質に取られている様なものだからな。しかも殺されているかもしれないと言われたら尚更。
「わかった。すぐに助けに行こう。」
「なら!」
「だが!真正面から行っても人質にされてお終いだ。分かるな。そして落ち着け。」
そう力強い目でもフィナを見つめたら少し冷静さを取り戻した様だ。
「っ!ええ、そうね。」
そう言ったフィナはとても悔しそうな顔をしていた。
「フィナ、もう一度確認する。落ち着いたか。」
「ええ。」
「なら作戦を考えるぞ。」
そうして俺とフィナは路地裏に入った。
「フィナ作戦を考える上で城の地形を知りたい。」
「分かったわ。」
そう言いフィナは地面に王城の内部構造を書いた。
「こんな感じよ。」
フィナが書いた内部構造を見ると地下を合わせて6階で、地下は牢屋があり、王族を襲ったりした者を尋問する場所で、一階はメイドや執事が住む部屋で中庭があり、2階が食堂と文官が働いているオフィスで、3階が大臣などの重役が働いている部屋と会議室がある、そして4階が王の仕事部屋があり5階に王座があり裏に回るとこの王都を一望できる場所がありそこから演説をするらしい。
「なるほど、なら王様たちはどこに捕われていそうか分かるか?」
「分からないわ。推測でもいいなら後宮にお母様が閉じ込められていると思うわ。」
そうか、ならフィナのお母さんを助けて情報をもらうのが良さそうだけど。いるか分からないからな、でも動かないと分からないからな。
「ならまずは、後宮に捕われているかもしれないならフィナのお母さんを見つけるために後宮に向かう。その後にお父さんと兄さんを見つけて助ける。そして第二王子の身柄の確保でいいな。」
「ええ、分かったわ。」
「フィナ、作戦を実行する前に聞きたい事がある。」
「何かしら。」
「家族の特徴だ。それと誰が敵なのか」
探し人の特徴が分からないとまず始まらないからな。
「お父様は金髪の髪で筋肉質よそして顔の右目に大きな傷があるわ。お母様は銀髪でブレスレットと月の耳飾りをつけているわ。そしてお兄様は金髪で身長はリョウタと同じくらいあるわねそして銀のブローチをつけているわ。敵は多分、王城にいる奴全てだと思うわ。他の者たちも捕われている可能性が高いわ。」
「分かった、ありがとう。それなら後宮に向かうぞ。」
「それなら私についてきて。近道を知っているわ。」
「なんでそんな場所を知っているんだ?」
「王城から良く抜け出していたのよ。警備の目を盗んだりしてね。」
「ははっ、おてんば娘だったのか。」
「む、昔の話よ!それに今役に立っているからいいじゃない!」
「それもそうだな。」
そう話ながら王城の近くまできた。
「正面からは流石に無理か。なら、裏手に回ろう。」
「う、裏手って裏手側は崖なのよそして崖の上に壁があるのよそれに飛んだら羽の音でバレてしまうから無理だし、どうするのよ。」
フィナは少し焦っているようだな、まあ空を飛んだら音でバレるからな、だけど俺の植物魔法があれば大した問題じゃない。
「フィナ、忘れたか俺の魔法を」
「そ、そうだったわね。」
フィナは崖を登る時を思い出したのか少し顔を赤くして言った。
「だから俺に掴まれ。」
「分かったわ。」
そう言いフィナ恥ずかしそうに俺につかまった。
「行くぞ」
そう言い崖に腰に刺していた枝を植物魔法で操り崖を登った。
「ついたぞ。」
「ここって。」
「ああ、城壁だそして後宮の裏側だ。王城の後ろが後宮だったのは楽だから良かったな。」
そしてこの後どうするか考えた。
「ここまでこれたのは良かったが戦闘になるとすぐに敵が集まって来そうだしなどうしようか。俺としては隠れながら行きたいけどフィナは無理そうだな。」
俺は森で狩をしているから隠れるのは得意だから隠れて行けば良いけど、フィナがいるから隠れるのは無理かな。
「なら私が囮になってその隙にリョウタがお母様を救うのはどう?それに私は王女だから大丈夫よ。」
王女は関係無いと思うが。言っても城は敵の本拠地、そこに逃げた王女が戻ってきたらすぐ捕まって終わりだろう。
「大丈夫なんて保障はない違うか。」
「うっ」
「だからその作戦は却下だ。だから俺が囮になる。」
「なっ!ダメよリョウタにそんな事させられないわ。
それにこれは私達の問題よだから危険なことは私がやらなきゃいけないのよ。」
「いや、俺がやる。それにこれは俺にしか出来ない、それにフィナのお母さんもフィナが助けに来た方が安心できるだろう。」
そう俺が話てフィナを見ると泣き出してしまった。
「なん、で、なんでそんなに優しの、まだあったばかりの私なんかに。」
いきなり泣かれて焦ったがすぐに答えが出た。
「それはフィナが良いやつだと分かったからだ、まだあったばかりかもしれない、だけどフィナは良いやつだから助ける。だから俺に頼ってくれ、しかも俺は人を見る目があるんだよ。」
そう言い少し茶化すようにウインクをした。そうしたら泣き止んでくれたようだ。
「取り乱したわ。」
「もう大丈夫か。」
「ええ。」
そうは言ったがフィナは顔を向けてくれない。
「いや、分かったならこっち向けよ。」
「今私酷い顔してるから嫌よ」
「いや、俺は気にしないぞ。」
「私が気にするのよ!」
そんなものか?それから数十秒後
「落ち着いたか。」
「ええ、落ち着いわ。」
「よし、なら囮は俺で良いよな。」
「ええ、お願いするわ。」
「お、人にちゃんと頼めて偉いな。」
「子供扱いしないで!怒るわよ。」
「すまんすまん。」
「もう。」
「さて、これから作戦を行う。その前にキュキュ。」
そう言い服からキュキュを出した。
「キュ?」
「キュキュはフィナの護衛だ。頼めるか?」
「キュ。」
そう言いキュキュはそっぽを向いた。
「キュキュはフィナのこと嫌いか?」
「キューキュキュ。」
「別に嫌いではないと。」
「キュ。」
「ならなんでそっぽを向くんだ。」
「キュ。」
「気に食わない?なんで?」
「キュ、キュ〜。」
「俺に構ってもらえないからって。可愛い奴だな。なら後でいっぱい構ってやるから護衛頼めるか。」
そう真剣な顔で頼むと。
「キュ!」
元気な返事をくれた。
「そうか、ありがとうキュキュ。」
「と言うことでフィナ、キュキュをお願い。この子は強いから大丈夫だと思うけど何か会ったら大声で俺を呼んで、飛んでいくから。」
「分かったわ。頼りにしてるわよ。」
「それでお母さんを見つけて助けられたらその部屋にいてくれ俺が後で合流するから。もし敵がいたら倒せるか?」
「もちろんよ、それに私は王族としてある程度戦闘はできるのよ。」
「それは頼もしいな。それじゃ、作戦開始。」